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広島県北部に伝わる伝統芸能の神楽を題材にした「舞え!KAGURA姫」がBSプレミアムでオンエアされる。東京から広島に移り住んだ咲子が、神楽と出合い、神楽甲子園を目指して仲間とともに成長する姿を、迫力の神楽シーン満載で描く青春エンターテインメント・ドラマだ。神楽の猛特訓を経て咲子を演じた葵わかなと、彼女を神楽の世界に導く女子高生・珠希を演じた中村ゆりかが作品への思いを語る。

全国各地の方に神楽の魅力が伝わってほしい

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――神楽に出合う女子高生の咲子を演じたのは、自身も18歳で高校生の葵わかな。彼女も本作を通して神楽を初めて知ったという。

葵わかな(以下、葵)「台本を読んで、『舞うシーンが多い……!』と覚悟しましたが、それも含めて楽しみでした。クランクインの1ヵ月前に、広島から先生が東京に来て、神楽を教えてくださいました。広島の神楽は跳んだり跳ねたりとアクロバティックで、しかも重心を低く保つので膝が悲鳴を上げてしまい、整体にも通いました(苦笑)」

――咲子を神楽の世界に誘う、地元の女子高生・珠希を演じる中村ゆりかも、葵と一緒に毎日5時間の練習に勤しんだ。

葵「練習は午前の部と午後の部があったので、学業の合間を縫って、参加しました」

中村ゆりか(以下、中村)「部活みたいだったね。わかなちゃんはこんなに細い体でよく頑張ったと思います。広島でロケが始まってからも、その日の撮影が終わってから、夜は神楽のお稽古をして」

葵「特に後半は怒涛の毎日でした(笑)」

中村「私はわかなちゃんに比べるとゆとりのある日もあったので、役では咲子を見守り、私自身もわかなちゃんを見守る日々でした」

2週間のオール広島ロケ

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――中村が言うように、本作はオール広島ロケで撮影された。地元の協力に支えられた2週間の撮影は、2人にとって忘れがたいものになったという。

葵「実家のシーンは市役所の方のおうちでしたし、地元の神楽団がお稽古をする集会所で神楽の練習や撮影をさせてもらいました。本当に地元密着という感じで、地元の方とお話する機会もたくさんあったので、「がんばってね」と声をかけていただくたびに、「もっとがんばらなきゃ!」とやる気になりました」

中村「私は長期の地方ロケが初めてだったので、地元の方と馴染めるか不安でした。でも、わかなちゃんが言ったように、地元の方が快く受け入れてくれて、私達が自然体でいられる空気をつくってくださったおかげで、居心地がとてもよかったです。地方ロケならではの心のつながりといいますか、一体感を感じる現場でした」

葵「しかも、事務所が同じで、年齢も近いゆりかちゃんと一緒だったので、全然寂しくなかったです。共演は初めてだけど面識があったので、すぐに緊張も解けました。一緒に御飯を食べに行ったり、スーパーに買い物に行ったりするだけでも楽しかったです」

中村「よかった! 私も全然帰りたいなんて思わなかったな」

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――現場では、加藤諒がムードメーカーとなり、神楽部の4人の空気づくりをしたという。加藤は葵に「ワッカーナ」、中村に「ユリカッティ」、先輩役の中村梅丸に「ウメタソ」というあだ名を付け、お互いにそう呼びあったとか。ひとつ気になるのは、加藤のあだ名がなんなのか。

葵「ないです。加藤さんは加藤さんです(笑)」

中村「加藤さんはあだ名をつけてほしそうだったんですけど、そこはあえての加藤さんで(笑)」

静と動、真逆のキャラクターをどう演じたか

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――咲子は自分の気持ちを飲み込む優等生。一方の珠希は自由奔放で、いわゆる空気を読まないタイプ。動きが少ない咲子と、予想外の動きをする珠希は、静と動の対比を生み出していた。

葵「咲子は家族のことでいろいろと悩んではいるけれど、大まかにいえば普通の子。他の3人のキャラがわりと濃いので、もうちょっと暗めに演じたほうがいいのかなと考えました。でも、これは神楽を知ってもらうドラマなので、視聴者の方が咲子の目線で作品の世界に入っていくのが正解だから、あまり癖のある子じゃなく、普通の子だと念頭に置いたうえで、咲子の悩みや感情の起伏を演じていきました」

中村「私は今までにない役を通して、神楽にもふれる日々が楽しかったです。青春ドラマって今しかできないじゃないですか。年齢を重ねていくうちにどんどん機会が減っていくと思うので、今回、思いっきりできてよかったなと思います」

――中村はこれまで、『富士ファミリー』や『奇跡の人』など、「大人のなかにいる若者」という役回りが多かった。

中村「撮影前の本読みで、監督から『10歳下げて』って言われたのですが、それくらい、前の作品の落ち着いた喋り方を引きずっていたんです。今回は演出を受けながら前の癖をどんどん除去して、キャラクターをつくっていきました」

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――初の方言となる広島弁の台詞が、役作りにプラスに働いたという。

中村「事前にいただいた方言指導CDを何度も聞いて、声に出して練習して、それでも本番になると崩れてしまったり、直していただいたり、難しかったです。でも、もともとイントネーションに癖があるし、人よりも喋るテンポが遅いので、今回のように自分からかけ離れた広島弁の台詞を言うことで、快活で騒々しい珠希というキャラクターをつくれたと思います」

葵「ふだんはゆっくりと柔らかく話すので、珠希のガツガツとしたきつい話し方がけっこう怖かったです(笑)」

中村「珠希の面倒くさい性格を表現するたえに、リズムやスピードは相当意識しました」

葵「咲子も面倒くさいけど、自分のなかでごちゃごちゃ考える面倒臭さ。珠希は周りに迷惑をかける面倒臭さだよね(笑)」

中村「空気を読まないから」

葵「本人はスカッとしていていい子ですよね。私は好きです」

中村「よかった! 私も嫌いじゃないです(笑)」

代役なしで神楽の舞に体当たり

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――見どころはやはり、クライマックスの神楽甲子園で、咲子が神楽を舞うシーンだ。2日かけて行われた撮影において、葵は代役なしで、すべてのシーンを自分で演じたという。

葵「当初は1日で撮る予定だったんですけど、どうしたら神楽がよりよく見えるか、咲子が舞い終わったあとに面を外して見せる表情のタイミングをどうするか、監督といろいろ話し合って、2日かけて撮ることになりました」

中村「近くで見せていただいたんですけど、わかなちゃんは、本当に、本気でした」

葵「ドラマでこれだけ長い準備時間をいただけることが貴重だったので、吸収できるものはすべて吸い上げて本番で発散せねばという心境でした。やっぱり、地元の人たちが大切にしてきたものを、それを全然知らなかったよそ者に手渡すのって、気持ちがいいものじゃないんだろうなとも思ったんです。私が地元の人の立場だったら、応援はしますけど、本気でやってもらえなければ、納得できない。だから必死にやりました」

――2人は「この作品に出てよかった」と口をそろえる。

中村「神楽という広島の伝統芸能を題材にした新しい試みの青春ドラマにわくわくしながら参加しました。個人的には、今回の新しい役柄への挑戦を機に、役幅をもっと広げていきたいです」

葵「このドラマを通して、神楽の魅力が全国各地の方に伝わったらいいなと思います。私はこれまで伝統芸能に対して、敷居が高いものだと思っていたんですけど、この作品を経験して、意外とそうでもないことがわかりました。伝統芸能にかぎらず、何事もよく知らないのに印象で決めつけず、踏み込んでいきたいなと思っています」


Writing:須永貴子

インフォメーション

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TV

広島発地域ドラマ『舞え!KAGURA姫』

11月30日(水)22:00~、NHK BSプレミアムにてO.A


広島県北部に伝わる神楽をテーマにした青春エンターテインメント・ドラマ。両親の離婚をきっかけに、東京から、母・美土里(大塚寧々)の故郷・広島に移り住むことになった高校生の咲子(葵わかな)は、その土地に江戸時代から伝わる伝統芸能の神楽と出合う。咲子は転校先の同級生・珠希(中村ゆりか)に誘われ、憧れの先輩・道郎(中村梅丸)や同級生の司(加藤諒)らとともに、夏の一大イベント「神楽甲子園」を目指す。それまで自分の気持ちを口にしない優等生だった咲子は、彼らとの交流を通して成長していく。

▼公式サイト
http://www.nhk.or.jp/hiroshima/kagurahime/


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