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社会奉仕がモットーの地元密着型ヤクザ「阿岐本組」の奮闘を描いた今野敏の人気小説「任侠」シリーズの中から、経営不振の高校の建て直しを図る「任侠学園」を、木村ひさし監督が西島秀俊と西田敏行のダブル主演で実写化。少々血の気が多くひねくれているが、根は真っ直ぐで正義感が強く、中身は“おっさん”という学園一の問題児・沢田ちひろ役を演じた葵わかなに、役作りの苦労や撮影の舞台裏について聞いた。

普段の自分にはない役柄を演じさせていただけるのは、すごく嬉しかったです

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―― 学生時代は優等生で「スカートの丈も長かった」という葵。本作で演じたちひろ役には「共感するところがなかった」と完成披露試写会で明かし、会場の笑いを誘っていたが……。

「普段の自分にはない役柄を演じさせていただけるのは、すごく嬉しかったです。でもワクワクと同時に、『うわ、これ、できるのか?』っていう不安もありました(笑)」

―― 赤く染めた髪も新鮮だ。

「脚本を拝見した際には金髪をイメージしていたのですが、監督から『赤にしよう』とお話しいただき、どんどんちひろというキャラクターが構築されていったと思います」

―― 劇中では『バッカじゃねーの!』といった捨て台詞や巻き舌など、男勝りの言動がたくさん登場する。カレーを食べて、「うんめ~!」と声を挙げるシーンも、これまでの葵のイメージをくつがえすほど豪快だ。

「いつも事前にしっかり役作りをしていくところを、『あえて役作りをしないで現場に臨む』というのが、今回の自分なりの挑戦でした。演じる前は『すごく難しいだろうなぁ』とか、『どうやってやったらいいかわからないなぁ』と思って、怖かったです。もともと私には考え込み過ぎてしまうところがあるんですけど、今回はちひろ自身も自分のことがあまりよくわかっていない、という設定の役柄だったので、事前に役を固めすぎてしまうのも違うのかなと思っていて。大まかな枠組みはイメージしつつ、後はその場でやろうと思って現場に飛び込みました」

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―― “おっさん要素”は、監督からの要望で現場で新たに追加されたとか。

「なぜ“おっさん”キャラになったのかは分からないんですけど(笑)。監督はその場で演出を付けて下さる方。もともと台本には、『荒んでる女子高校生』としか書かれてなかったのですが、監督から現場で『もっとおじさんぽくして欲しいんだよね』と言われて、さらに「任侠映画が好き」という設定も加わりました(笑)。『お前ら雁首揃えて』っていうのも任侠映画の影響だし、『チンコロ』って言われて、『あ、密告か』って即座に理解するシーンとかもそうですね」

―― 荒っぽい言葉が飛び交うなか、ところどころに散りばめられた『ありがとう』が、本作の重要なキーワードであるとも言える。

「西島さん演じる日村に『ありがとな』って言われて、ちひろが「ズバーン!」って胸を打たれるシーンですよね。西島さんと2人でのお芝居はその時が初めてだったのですが、現場でも『すごくいいシーンだな』って感じました」

―― 池田鉄洋演じる料理上手の武闘派組員・健一に、「おい、眼鏡! カレーうまかったぞ」と声をかけるのも、実にちひろらしい表現だ。

「台本にはなくて、その場で監督が演出してくださいました。現場でどんどん付け加えていく演出方法は、私自身、初めてかもしれません。すごく新鮮だったし、現場で監督と一緒にみんなで作りあげていく感覚を味わえました。監督がその場のひらめきをキャストの皆さんに提案されていたのが、とても印象的でした」

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―― 夜の校舎に忍び込んでダンスを練習するシーンも見どころの一つだが、「ダンスは全然得意じゃない」という葵。日村をブン殴る衝撃的なシーンにも思わず目を見張る。

「このシーンを撮った日は、クランクインしてからまだそれほど時間が経っていなかったのでドキドキしてたんですけど、西島さんが日村みたいに殴り方を教えてくれたんです。西島さんはすごく兄貴肌で面倒見が良い方なので、まさしく日村の役柄とピッタリでした」

―― もっとも難しかったのは、校舎の窓ガラスに石を投げて割るシーンだったという。撮影用に割れやすいガラスを使ったのかと思いきや……。

「いやいや、普通のガラスだったので、全然割れなくて緊張しました。石もすごく重いので、何度も練習して。3枚連続で割らなきゃいけないので、1枚割れても『2、3枚目が割れなかったらどうしよう』って、結構プレッシャーでした」

―― 「一歩踏み出せば世界は簡単に変わる」という日村のセリフが印象的だが、葵にとってはまさにこの役柄を演じることこそが、新たに踏み出した一歩だと言っても過言ではない。

「私にとっての“新たな一歩”は、やっぱり役作りをせずに現場に行ったことです。役によってももちろん違うと思うんですけど、今回はそれがすべて良い方向に働いたと思います。監督と『そうきたか』『じゃあ今度はこうしてみよう』みたいなやりとりを繰り返すなかでキャラクターが徐々に形成されて、それがどんどん濃くなっていく感じが毎日面白かったです。もちろんその分『今日はうまくできるんだろうか?』っていうプレッシャーとか緊張もあるんですけど、それを上回るドキドキ感というか。本当に“生”な感じがして、『やっぱり挑戦してみないとわからないことってあるんだな』って、実感しました」

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―― この現場を通して発見した事とは?

「挑戦する時って絶対、まずそれをやるかやらないかを選ばなきゃいけないじゃないですか。やる方を選択するのは怖いけど、常にやる方を選んでいけるようにするためには、こうやって挑戦してみて、うまくいった記憶を積み重ねていくことが大事なのかなって思うんです。『やってみたら楽しかった』っていう単純なことが、ものすごく自分の糧になっている気がします」

―― 葵にとって、逆にこれまで「やらなきゃよかった……」と思ったことはあるのだろうか。

「それが、実は改めて振り返るとないんですよね。もちろんすべてにおいて100%良いことなんてない。私からすれば100%良いかもしれないけど、誰かから見たら100%悪いかもしれない。だからあくまでも自分にとっては、ということにはなるんですけど、やらないより絶対やったほうがいいなって思います。新しいことをやる時って、自分でも普段以上に頑張るじゃないですか。それ自体、すごく大事なことだと思うので」

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―― 『任侠学園』を通じて「新境地」を切り拓いたとも言える葵にとって、今後取り組んでみたい役柄とは?

「今回は『こういう役を葵わかなにやらせてみてもいいかな』って思ってくださったこと自体がすごく嬉しかったので、これからも「こんな役をやらせてみたら面白いかも」って思っていただけるような人になりたいし、ちひろみたいな自分とは全く違うタイプの役柄のオファーが来たときに、ちゃんと打ち返せる人でいたいとも思います。お芝居はこの先もずっと続けていきたいので、『お芝居ができるなら、どんな役でもやらせてください!』って感じです」

―― 最後に、葵にとって『芝居の面白さ』とは何なのか訊いてみた。

「大人になるにつれて、日常生活で心が揺れることって少なくなっていきませんか? でも、映画や舞台を観て心が動かされることもあると思うんです。それはお芝居をしている側も同じで、自分も悲しい場面だったら心が揺れるし、何かが解決すると心がジーンとするし。そう考えるとお芝居って、日常をよりエモーショナルに生きるために欠かせないものなのかなって思います。違う人の人生を借りて経験できる感情は豊かだなって思うし、それが観ている方にも伝わったらいいなって思います」


Writing:渡邊玲子

インフォメーション

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(C)今野 敏/(C)2019 映画「任侠学園」製作委員会

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『任侠学園』

9月27日(金)公開


世の中のルールは絶対守る、社会貢献が大好きな「ありえないヤクザ」阿岐本組。
組長(西田敏行)は文化事業に目がなく、次から次へと厄介な案件を引き受けてしまう。今度はなんと、経営不振の高校の建て直し。いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組NO.2の日村(西島秀俊)は、学校には嫌な思い出しかなく気が進まなかったが、“親分の言うことは絶対”!子分たちを連れて、仕方なく学園へ。待ち受けていたのは、無気力・無関心のイマドキ高校生と、事なかれ主義の先生たちだったー。

▼公式サイト
https://ninkyo-gakuen.jp/



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