「初めて舞台のオーディションを受けたのもミュージカルでした。初めて宝塚版のロミジュリを観たときに、ジュリエットは今しかできない役、いつかやってみたいと思っていました。出演が決まったとき、とても嬉しかったのですが、やりたいと思っていた役が本当にできることにすごく不思議な感じがしました」
「やりたい気持ちはあっても、非現実的なことと思い、すぐには口にしませんでした。でも、何かのタイミングでミュージカルやジュリエットに対する想いを言葉にしてみたら、『難しそうだけど、いいね』というポジティブな反応が返ってきました。自分が思っているほどありえない話じゃないんだなと思い、じゃあ、次は役に受かるためには何をしたらいいのかと考えるようになりました」
「普通の舞台と違うのは、やはり音楽があるところ。すごくキャッチーで耳に残る素敵な曲が多いのがミュージカル版の魅力だと思います。音楽の力を借りて、ストレートプレイをよりわかりやすく、ドラマティックにお届けできると感じています」
「ミュージカルはセリフが少ないのが特徴だと思っていて、少ないセリフの中で、どうやってジュリエットらしさを出したらいいのか、最初は定まりませんでした。いつもなら、台本を読んでセリフの行間から考えるのですが、セリフが少ないミュージカルではそれが難しい。なので、まずは原作を読みました。台本では2行のところも原作では8行で書いてあり、ジュリエットの気持ちを汲み取ることができました。もちろん、原作と違うシーンもあるので、ジュリエットの想いを想像して演じる部分もありますが、原作を読むことで、より自分らしいジュリエットを作るための情報を得ることができたと思います」
「3人それぞれ違います。まず声が違うので、歌の印象がまったく変わります。個々の性格も役に反映される気がしていて、同じ人を演じているのに違う人に見えます。木下晴香さんのジュリエットは上品なお嬢様、生田絵梨花さんのジュリエットは芯が強くて天真爛漫という印象です。映像でチェックしましたが、私の場合は、意志の強いジュリエットだと思いました。ロミオのタイプも違うと思います。お芝居の感覚でいうと、古川雄大さんは攻めるタイプ、大野拓朗さんは受けるタイプです。古川さんは、毎回なにかしら違う攻めを感じる気がするので、それに対して返したい、ついていきたいという気持ちが芽生えます。大野さんは、すべてを受け止めてくれる安心感があるので、自分から何かやってみようという気持ちで演じることができます」
「舞台もミュージカルも未経験の私がいきなり有名な作品に出させていただくことになったので、稽古に入る前はもっと他に適役の方がいらっしゃるんじゃないかなと思いました。ジュリエットという役を演じることに対しての緊張やプレッシャーは不思議となく、それはこの作品が、演じる人によってちょっとずつ色が違う作品だから。何回観ても発見があって面白いと思いますし、自分なりのジュリエットを演じることが、先生そしてお客様が観たいものという気がしています」
「最初の頃は稽古の時間もとても長く、歌も歌うので、とにかくヘトヘトになりました。でも毎日歌い続けることで喉も体も慣れてきました。演技についても最初は違うとダメ出しされる部分も多かったのですが、そうです、いい感じですと言われることが徐々に増えてきたら、気持ちに余裕ができて、疲れの感じ方にも変化が出てきました」
「立体感のあるジュリエット像を作るようにとアドバイスを頂いたので、自分の中でジュリエットという役を掘り進めていきたいです。たとえ自分の満足するジュリエットを演じることができたとしても、それをなぞるだけの演技はしないように心がけたいです。お話の中で、毎回生きて、毎回死んで。新鮮な感じをお届けできたらと思っています」
Writing:タナカシノブ
インタビュー:2019年2月8日
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