「嬉しかったのはもちろんあるんですけど、いままでにない役柄をいただいたので、自分がどんな感じになるのかなっていうワクワク感と、うまくできるのかなっていう不安感の半々でした」
「そうなんです、つけまつげ命、携帯命のギャルです(笑)。今までは受け身の役が多かったのですが、今回は何かと攻めていく、アクションを起こす役でした。私は父親に対して結衣ほどひどくないですが(笑)、同じ高校生だったら「お父さんのこういうところがうざい」、「お母さんのこういうところがちょっとね」っていうのがわかってくれるんじゃないかなって思います。学校のシーンも少しありましたが、ほとんどのシーンが家族の中での結衣ちゃん。家族に対して素が出るので、取り繕わずに好き放題に言うんですよね。結衣ちゃんがどういう子なのか、悪い部分もいい部分も見える話になっていると思います」
「今振り返ると、当時は大変だったと思います。でも、やるしかないという状況で、鈴木家4人もスタッフさんもサバイバルだったから、大変だって愚痴をこぼしたり、辛くて帰りたいっていうのはなかったです。みんなで頑張ろうという気持ちが大きい現場でした。お芝居をしているだけでは味わえない、身体的疲労感を心地よいと思う自分がいました(笑)。何もない風景の中走ったり、豚を追いかけたり、自然が好きなので開放感を味わったり…終わったときは、ものすごい達成感でした。2ヶ月半という長い期間の現場はなかなかない上に、身体能力も試されたので、お疲れ様!!って感じでしたね」
「3人とも本当に家族のよう。移動の車も鈴木家用のものがあって。行き帰りも、待っているときもごはんも一緒で家族みたいに和気藹々と過ごしました。3人とも本当によくしてくださって、勉強の話や将来の目標も聞いてくださって楽しく過ごしました」
「私からは恐れ多すぎてどう言葉にしたらいいのかわからないんですけど…お二人のことをすごく尊敬しています。素敵なというと陳腐な言葉になってしまいますが…。お父さんとお母さんとして、泉澤さんや私を愛してくださって。女優さん、俳優さんの先輩としても、役や作品に対する向き合い方、現場での振る舞いなど、素晴らしくてすごく尊敬しています。毎日一緒に過ごす中、素敵なことがたくさんありすぎて、言葉にするのが本当に難しいんです。今まで考えたこともないことを考えるきっかけになったり、本当にたくさんのことを勉強させてもらいました。ご一緒させていただけて、本当に幸せだったなと思います。小日向さん、深津さんに泉澤さん、そして監督やスタッフさんとご一緒できたことは、とてもスペシャルな時間で、自分の中ですごい意味のある作品となりました」
「飄々とした方で、「その崖を下ってみましょうか」ってさらっとおっしゃるんです。けっこうな高さの崖だったんですよ(笑)。このとき素足だったので、ここを下るのか?ってドキドキしました。あと、「結衣ちゃん、この唐辛子食べてみましょうか」っておっしゃるので、「辛いですよね?」って聞いたら「甘いですよ」って(笑)。監督は飄々とした中に、矢口監督ワールドを突き詰めるシビアさ、厳しさを感じました。それはプロとして当然のことですけどね。最初は、監督の中の結衣ちゃん、鈴木家のイメージにハマるのが大変だったんです。私自身、コメディタッチのものをちゃんとやるのも初めて、役柄も初めてのもので馴染むまで時間がかかってしまって。でも、後半段々結衣ちゃんのテンション感が自分の中でピタッとはまるときが出てきて、そこからは楽しい!楽しい!の連続でした」
「鈴木家は同じ家に住んでいるのにお互い無関心。でも、鈴木家だけでなく、現代はそういう家庭が多いと思います。一緒に外食に行っても、注文してくるまでの時間、それぞれの携帯をいじっていて、それは今の当たり前になっている。そういうどこにでもいる家族が、ある日突然電気がなくなってしまうという状況に陥ったとき、どうなっていくのか。電気がなくなるという、ありえそうで考えたことがなかったことが、本当にリアルに迫ってきます。130年前には電気がなかったのに、電気が発明されてからはそれが当たり前の世界になってしまった。その当たり前になっていることは、もしかしたら危険なことなんじゃないかなって。情報社会にもいいところはあって、ネットがあるから多くの人と繋がれて、新しい形の絆が生まれたりしていますよね。その一方で、もしかしたら人間本来の生き方や生活が大事なのかもしれないという面も描いています。私自身は自然や動物が好きなので、この映画のメッセージは胸に響きました。すべてを取っ払って、完全自給自足にするわけでなくても、今の時代であっても、毎日の生活の中でちょっとだけでも自然を感じるとか、家族に感謝したり、当たり前じゃないって感じることができたら、豊かになると思います」
「結衣の見どころは、サバイバルの中でどう成長していくかだと思います。この作品で髪の毛を染めたんですけど、サバイバルが進むにつれてプリンになっていったり、ネイルがはがれていったり、時間を感じるような工夫もされていて、リアル感が伝わってくると思います。コメディタッチの作品なので、鈴木家と同じような気持ちを楽しみながら味わって、ドキドキしてほしいです」
「10歳からこの仕事を初めて、今年10代最後なんですよね。毎年いろんなことに挑戦させてもらっていますが、2016年はドラマのレギュラーや主人公の役をいただけたり、違ったことが経験できた年でした。その中で共演させていただいた周りの方から受ける影響が大きかったように感じます。休憩の空き時間、ほんの5分ぐらいでも、誰かが話している話を聞いているだけで発見があって。いい意味で他人の言葉に敏感になって、誰かと関わる、自分以外の周りの人がいることを認識することが大事だと思うようになりました。そして、進路のことや、自分について考えることも多く、いろんなものを感じてみようという革命が起きた1年ですね。今年はその考えたことを放出する年にしたいです。放出して、誰かに伝えたいです。10代ラストスパートとなる今年。20歳過ぎたときに10代有意義だったと思えるように、一歩一歩踏みしめていきたいです。早く20歳になって大人になりたいです!」
Writing:杉嶋未来
MOVIE
2017年2月11日(土)公開
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