「台本を見たときにいっぱい映画の題名が並んでいて…その中で私が実際に観たことがあるのは『スタンド・バイ・ミー』くらいでした。劇中では私が演じる彩香と津嘉山(正種)さん演じるおじいちゃんが一緒に映画を観るシーンもあって、そこでは『道』を観たんですけど、ちょっと難しかったですね。親にも“撮影で『道』を観たんだけど、あれは難しい映画だね”と言ったら、“大人になるとわかることがいっぱいあるよ”って(笑)。あと“『ローマの休日』を観たことがない大人がいたなんて”という台詞があるんですけど、私はまだ観ていないから大人になる前に早く観なくっちゃ!」
「実際に画面に映像が映っているわけではないんですが、監督に言われてどういうシーンかわかるということはその映画を知っているということだし、ちゃんとそういう気持ちでお芝居をされていてすごいなぁって。映画を観たあとはお見舞いに行ったおじいちゃんがおばあちゃんと毎作品感想を話し合うんですけど、その内容もとても面白いんです。自分の“観たいリスト”にもちゃんとメモしてあるので、私もこれからゆっくり観ていこうと思います」
「高校2年生なのでちょうど私と同い年なんですけど、スゴく頭のいい子ですね。また、自分の将来の夢に向かって一生懸命勉強をしているんだけど、なかなかその夢がお父さんに理解されなくて悩んでいたりもして…いわば、どこにでもいるようなごく普通の女の子。だからこそすごく共感できる部分も多かったで す。彩香の中のシンボルとして思い出の場所の観覧車があるんですけど、そこでおじいちゃんに夢を語るシーンとか、勇気を持ってお父さんに将来の夢を打ち明けるけど気持ちが伝わらずに落ち込んでいるシーンとかは特に彩香の心情がわかったので、そこの台詞は自分の言葉で上手く伝えられたな、という実感がありました」
「彩香の夢も女の子にしたらちょっと困難だけどやりがいのある大きな夢ですし…だからこのドラマ、実は女の人がすごく頑張っているお話でもあるんですよ(笑)」
「先輩の役者さんばかりなので最初は緊張もありましたが、とにかくみなさんお芝居に対するこだわりがある方々で、その熱量にひきずられるように私もスゴく熱くなれたなっていう実感があります。リハーサルのあとに“やっぱりここはこうしましょうか?”と活発に打ち合わせされているのも頻繁でしたし、そのときにホントに細かいところにまで気を遣って考えて提案されているのを聞いて、“あ、どんな小さなことでも気になったら監督に聞いてもいいんだ”って思って。今までの自分はちょっと気になった部分があってもとりあえず自分なりの答えを見つけ、それから撮影に臨んでたんですけど…それが合っているかどうか確認したことはありませんでした。むしろ、確認したくても“私、子どもだし”って (笑)、どこか遠慮していたところがあったんだと思うんです。でもこの現場にいることで自然と“そんな遠慮はいらないんだ。聞きたいことは聞かなくちゃ” と思えるようになりました」
「台詞に“……”とあったらそこは黙ってるってことだと 思ってたんですけど、あるシーンで津嘉山さんが“ここはハイとかウンとかあったほうがいいじゃないですか?”とおっしゃって、“ハイ”とひと言入れることになったんです。そうしたらその“ハイ”があるだけで、黙っていたリハーサルのときよりもずっと強く津嘉山さんのおじいちゃん像が浮かび上がって来て、伝わってくるものがあり ました。そのシーンそのシーンで一番伝えたい台詞を伝えるのはもちろんだけど、そこへ行くまでの流れの中のひと言ひと言にもちゃんと注目して積み上げていくことでよりキャラクターの魅力が伝わって来たり、その人がどんな人なのかが感じられるんだ、返事ひとつでこんなに変わるのかと、改めて気づかされた思いでした。台本に忠実にお芝居するのは大前提だけれど、これからは“そこから先”を読み込んだり考えたりすることにもっと目を向けたいし、自分の中から生まれるモノに敏感になって、現場でディスカッションすることにも臆せずにいたいです」
「本当に集中し、充実した現場でした。おじいちゃんとキャッチボールするシーンでは津嘉山さんが彩香がシューッと上手に投げられるようにフォームを教えてくださったり。緊張感のある本番と、温かい気持ちで過ごせる合間の時間とがあって、みんなでまさに家族のように過ごせたと思います。生活の中に素敵な映画がプラスされることでいろんなことがいい方向に行くっていうこと、世代を超えてそんな体験ができるよって教えてくれるのがこのドラマの魅力なので、みなさんにはぜひそういうところも愉しんでいただきたいです。そして、“ドラマで観たあの映画を観たい”って思ってもらえたらさらにいいですよね」
「うわっ、そうなれたらいいんだけど…でも、この『いつ も まぢかに』でもお芝居について本当にたくさん勉強することができたので、これからもその経験をしっかり生かし、丁寧に作品創りに参加していけたらと思います。やっぱりドラマも映画も作品を観ていただくことが一番ですからね。自信を持って“観てください”と言えるのは、ちゃんと頑張って演じることができたからこそだし、“面白かった”と言っていただけるのは、観てくださった方にその思いが記憶に残る作品として届いたということなので…これからも一作一作、みなさんの心に届けられるモノを残していけるように頑張ります」
Writing:横澤由香
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10月1日(木)21:00~BSイマジカにてO.A
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