「めちゃめちゃ嬉しかったです。前作は全身全霊をかけて取り組んで、撮影が終わったときに、「まだまだこれからなのに」という思いがありました。撮影を通じて信の気持ちになっていましたから、「天下の大将軍になるまでやりたい」と思っていました。監督やキャスト、スタッフみんなで、熱い思いを込めて作った『キングダム』の続編が撮れるというのは、本当に嬉しかったです」
「最初から最後まで面白くて、読んでいてすごく熱くなりました。前作は、「玉座奪還編」が丁寧に描かれていましたが、今回は信の初陣である「蛇甘平原の戦い」が描かれていて。伍を組むところから始まり、本能型の大将軍や知能型の大将軍の姿を目の当たりにし、縛虎申という仲間の思いを背負って戦う隊長の生きざまを目撃する。そのエピソードを丁寧に描いていけるというのが、信を生きる自分としてはすごく嬉しかったです。それに前作同様、原作者の原先生が脚本に参加してくださっていて、映画ならではのシーンができていたのも嬉しかったです」
「前作での信は、周りに巻き込まれて、翻弄され、成長していくキャラクターでしたが、パート2では自分が引っ張っていくようになるので、リーダーとしての資質が見えればいいなと思いました。内面的には、前作で一番の親友である漂を亡くすというとても悲しい出来事があり、そこを乗り越えた経験を糧にして、強さと優しさを身につけている。それに加えて、信のもともと持っている素直さ、真っ直ぐさが、仲間を引っ張っていく力になると考えました。僕自身も、日々の撮影で先頭を切って頑張ることによって、『キングダム』という映画を引っ張ることができればと思っていました」
「身体に関しては、前回は戦争孤児なので、なるべく痩せた細い体にしていたんです。アクションも自己流で荒々しい感じでした。今回は自らの意志で一歩を踏み出していきますし、信なりにいろいろ修行もして鍛えていたと思うので、ちゃんと筋肉をつけつつ、柔軟に動ける体を作って、たくさんの戦に備えました」
「信は、相変わらず泥臭く野生的、本能的なアクションが多いです。逆に清野菜名さんが演じる羌瘣は、舞のように華麗でスタイリッシュです。その対比を出したいと思いましたし、楽しんでいただけると思います。今回は一人対大勢のアクションが多いので、戦い方も見せ方も変わってダイナミックになりました。監督の(佐藤)信介さんやアクション監督の下村(勇二)さんが僕のことをよくわかってくださっているんですけど、どうやら僕特有の動きがあるみたいなんです。その僕の動きに相手役のスタントマンの方々がタイミングを合わせてくださって、予定調和にならないリアルな生っぽいアクションになりました」
「寒さですかね。それがリアルなんでしょうが、伍のメンバーたちは、服が薄い布切れ一枚だけ、という感じなので寒いんです。あとはアクションで言うと、今回は一対一の戦いというよりは、大人数を相手にしたり、複数人で戦ったりすることが多かったので、息を合わせないとOKが出ないカットもたくさんあって大変でしたが、とにかく一番気合を入れよう、と。強い気持ちだけは常に忘れないようにしようと思っていました。自分だけが上手くいっても、他が上手くいっていなければ意味がないですし、その逆もありますが、誰もがよりよいアクションシーンにしたいという思いで取り組んでいたと思います。映画ってみんなで作り上げる、総合芸術なんだとあらためて実感しました。大変なことももちろんありますけど、ずっとモチベーションを持ち続けられるぐらい、『キングダム』は魅力のある、熱くなれる作品なんです。それに信のように、感情をまっすぐ吐き出す演技は、やっていて気持ちよくて。たとえ疲れたりしていても、信を演じるとスッキリして、また力が湧いてきます」
「二人と一緒のシーンからスタートできたというのは、すごく嬉しかったです。雰囲気がよく、ブランクも感じず、『キングダム』がまたここから始まるんだと実感できました。この日の信のセリフも、「いっちょ派手に暴れてくるぜ」とかだったので、役に入りやすかったです。吉沢さんは嬴政として、堂々と立っていてくれるので、隣にいて安心感がありました。今回、嬴政や河了貂と一緒にいるシーンはほぼずっと一緒にいた前作に比べると少ないですが、離れたところにいても、同じ方向を向いて頑張っている。それぞれが自分の夢のために邁進しつつ、お互いのことを思っている。目指しているところは一緒ですし、強い絆がある、いい関係だなと思います」
「男だらけの現場でしたが、清野さんは自然にそこにいてくれたので、伍のみんなも一緒にいて楽しかったと思いますし、何よりも、羌瘣のキャラクターをとても魅力的に演じていらっしゃいました。羌瘣のアクションはかなり難しいと思うんですが、すごく努力されていて、素晴らしいアクションシーンになっていました」
「すごく好きなシーンです。信は、普通の人が言いたくても照れてしまってなかなか言えないような言葉を、一発で、素直にまっすぐに言うことができる。みんなが言ってほしい言葉を言ってくれる。それができる信はかっこいいなと。自分ならここまでストレートに言えないけど、信を演じているから言えるし、気持ちよく台詞を言わせてもらいました。原先生の魂も乗っかった、熱くなれるシーンになっていると思います」
「めちゃめちゃ嬉しかったです。10代の頃から一緒にいて自分の弱い部分とかも全部知ってくれている人で、本当に何でも話せる友達なので、近くにいてくれて、とても心強かったです。一緒に撮影していて楽しかったし、尾平の演技も素敵でした」
「長い撮影になるので、やっぱり大事なのは人柄というか、最終的には人だと思うんです。それが今回、すごく魅力的な方たち、本当に優しくていい方たちに囲まれて、大好きな『キングダム』の撮影ができて嬉しかったですし、とにかく楽しかったです」
「これだけの大作になると、前もって膨大な検証がされていて、俳優部はそこに立ってあんまり動かないでほしいとか言われる可能性もあると思うんですが、「ここはこういう気持ちでこういうふうに動きたいんです」と伝えると、佐藤監督は広い視野で、「じゃあこうしよう」って、臨機応変にプランを変えてくれたり、相談に乗ってくださるんです。役者の意見をしっかり聞いてくれて、人柄も優しくて、いつも笑顔で。監督が現場を一番楽しんでいるなというのが伝わるんです。これだけいろんなものを背負っているのに、監督は飄々としていて、全く動じることもなく、頼もしかったです」
「泣いてないです。……まあ、泣きましたね(笑)。絶対泣かない、泣くもんかと思っていましたけど、泣いちゃいました。普段は全然泣くタイプじゃないのに、なぜか『キングダム』のクランクアップだけは泣いてしまうんです。何でなんですかね? 関わっているキャスト・スタッフの数が多いからか、あと、信を演じているからかもしれないです。信は周りに対して壁がない人だから、感情がパカンと解放されている状態で。信としてクランクアップを迎えるので、涙も自然に出てしまう。今回もすごいことをみんなで乗り越えたという感覚がすごくありましたし、これで終わりという寂しさも少しありました。信と仲間たちの関係や、描かれている物語など、全部が撮影とリンクするというか……。人間の感情のシンプルなところ、根本の大事な部分をすごく揺さぶられる作品だなと思います」
「信はどこか僕自身の部分もありますし、今も体の中のどこかに信がいるという感覚はあります。信を演じたことで、以前よりも確実に前向きになることができていますし、たぶんめちゃくちゃ強くなっていると思います。精神的にも、肉体的にも。信を演じているとめちゃくちゃ強くなった気になるんですよ。それは自分にとって、プラスのことだと捉えています」
「本当にいろんなご縁があって、信を演じることができていると思います。自分一人だけじゃなくてみんなの思いを背負ってやらせてもらえているなとすごく思うので、自分がこの俳優人生を歩んできて、信と出会えたというのはかなり意味があることなのかなと。『キングダム』という作品に出会えて、信という役に出会えて本当によかったと思います」
「『キングダム』でしか感じ得ない熱さだったり、ストレートな気持ちの表し方だったり、生きるパワーだったり、仲間だったり、実際に生活を送る上でも、ものすごく大切なことだと改めて感じることができました。これから自分が仕事をしていく中で、また1人の人間として生きていく中で、信のような熱い気持ちを持っていきたいと思っています」
「よく言ってもらいます。自分ではわからないんですけどね(笑)。信は1作目では巻き込まれて戦っていましたが、その戦いを乗り越えて、続編では自分の意思で戦場に出て戦います。仲間を絶対死なせたくないから、自分が前に出ていくというリーダーシップを発揮します。僕自身、こういった大作で主演をしているという意味で、信と重なる部分がありました。もし表情が変わったんだとしたら、そういった精神的な部分が影響したんだと思います」
「とにかくめちゃめちゃスケールが大きい作品なので、ぜひ映画館で見てほしいです。新たなキャラクターがたくさん登場し、いろんなところで同時にドラマが起こります。そして、それぞれの戦い方があって、全編見せ場となっています。『キングダム』は、すごく熱くなれて、見た後に生きるパワーがもらえる作品です。見てくださった方たちが、信たちと一緒に熱い気持ちをもって生きていける作品だと思うので、公開を楽しみにしていただけると嬉しいです」
Writing:杉嶋未来/Photo:持田薫
MOVIE
7月15日(金)公開
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