「ちょうど『ラ・ラ・ランド』と『グレイテスト・ショーマン』を観た直後に今回のお話をいただいて。福田さんに『最近ミュージカル映画が気になってるんですよね』って言ったら、『まさにそれ!』『あれを観て自分も“やれる!”って思ったんだよね』って言葉が返ってきました(笑)。僕はダンスに対して苦手意識があったのですが、福田監督は舞台でもミュージカルを沢山手掛けられている方なので、そこは安心してお任せしました。そもそもミュージカルって『なんでいきなり歌うのかなぁ』って不思議だったんですけど、今回自分でやってみて『楽しければいいんじゃないか』って思うようになりました。“ヲタク”の世界と相性がいいというか、こういう題材だからこそいきなり踊ったり歌ったりしてもそれほど違和感がなくて、ギャグっぽいところも“スッ”と入ってきやすかったりするんですよね」
「気持ちとしては1年くらいやった感じがあるんですが(笑)、実際にダンスは1ヶ月くらい練習したんじゃないかな。歌はもともと好きだし、自分でも“音痴ではないな”と思っていたんですけど(笑)、ボイトレをやってからめちゃめちゃ声が出るようになりました。今回の撮影で一番大変だったのは、やっぱりダンスのシーンです。ヒップホップっぽいステップを入れながら『ヲタ芸』をする場面がすごく難しくて。最初、福田さんには『ダンサーとしての血が流れてないなぁ』って言われて、内心『クソ~』って思いながらも『まぁ、やるしかないな!』って必死に頑張っていたら、ある日ついに『ダンサーの血』が流れ出した瞬間があって(笑)。1つ1つの動きがつながったというか、スムーズになった瞬間が自分でもわかりました。福田さんにも『流れたね!』って言ってもらえました(笑)。実は、事務所に入るときに『歌』と『ダンス』と『演技』の3つの選択肢があったんですけど、僕の場合は消去法で『演技』になったんです。でも今回の『ヲタ恋』で克服できたので、これからはオールマイティですね(笑)」
「高畑充希ちゃんと斎藤工さんが、それこそ『ラ・ラ・ランド』さながらの振り付けで屋上で歌うシーンがあるんですけど、僕が歌う場面は、割と動きが止まってることが多かった。だからもしまた機会があれば、朝ベッドから起きていきなり歌い出すところから始まって、踊りながら服を着替えて外に出ていくような、まさに『ラ・ラ・ランド』みたいな長回しをやってみたいです。『ヲタ恋』の撮影中は、頭の中で『ラ・ラ・ランド』のオープニングの曲が流れている状態で街を歩いていましたから(笑)」
「充希ちゃんは、僕が言うまでもなくお芝居に安定感があります。そして、普段は大人っぽくて落ち着いているのに、いざ喋りだすとめちゃめちゃ明るくて面白い。もはや充希ちゃんにしか出せない雰囲気というか。圧が強くなくて柔らかい感じの人だから、一緒にいるとどこか安心するんですよね。何よりすごく笑ってくれるのがありがたい(笑)」
「実は今回僕が演じた二藤宏嵩は、“ゲームのしすぎで表情筋が固まって動かなくなっちゃった”っていう設定なんですけど、それを聞いて僕も納得しました。ただ単にクールな奴っていうだけだと、ちょっと理解しにくいところがあるじゃないですか。でもこういう風にバックボーンがしっかりあると、演じる上でもやりやすい。今回は『成海がヲタ用語をアツく連発している姿を、宏嵩が横で冷めた目で見るのが面白い』って福田さんからアドバイスされたこともあって、常にそういう目で見るように心がけました(笑)。僕自身は多分、宏嵩よりは表情筋が動くと思います(笑)。油断すると眉毛が動きすぎちゃうみたいで、『おでこにシワが寄ってる!』ってよく注意されました(笑)」
「いやぁ、正直あれはキツかったです(笑)。とにかく、距離感が近いんですよ! 賀来くんとは会社の同僚で『デスクが隣』っていう設定なんですけど、あまりにも接近しすぎて、もはや僕の視界に入らない角度でいきなり大声を出したり、急に優しくなったりするんです。賀来くんの表情が見えないから、余計に頭の中で想像が膨らむんですよね。今回、宏嵩は『笑ってはいけない』キャラ設定だったので、本当に地獄でした(笑)。ムロツヨシさんとの共演シーンももちろん面白かったんですけど、ムロさんのせいで僕が笑い転げて、NGを出すっていう程ではなかったんじゃないかなぁ……。あ、でも今の話をムロさんが聞いたら、ちょっと凹みそうですね(笑)。まぁでも、今回はムロさん以上に賀来くんが仕掛けてくる回数の方が多かったから、仕方ないです(笑)」
「もし自分が好きになった子に熱中しているジャンルがあったとしたら、一度は僕もそれを試してみるんじゃないかな。で、実際にやってみてハマらなかったら『俺はちょっと……』って、正直に言っちゃうと思います。あ、でももしそれ自体、僕にとってはつまらなかったとしても、彼女と一緒にやっている時間が楽しかったら、それはそれでOKだったりするかもしれません。お互いに無理をしすぎないことが、きっと一番大事なんじゃないかと思います」
「普段の僕は、本当に何の変哲もないような男なんですよ(笑)。だからいつかハマれるものを見つけて、何かの“ヲタク”になりたいです。絶対にそっちの方が楽しそうだなって思うから。芝居について考えるのは楽しいし、唯一ハマっていることなのかもしれないですけど、出来れば仕事以外にも熱中できる何かが見つかればいいなって思います」
「実際のところ、役に入る上ではやっぱりビジュアルが一番大事じゃないですかね。アクションとかダンスとか、何か練習すべきことがある場合は、それをやりながら徐々に掴んでいく感じです。作品にもよるんですけど、半分ぐらい自分の中で考えてから入って、あとの半分は現場で生まれるパターンが多いような気がします。『福田組』は平和で楽しい現場なんですが、笑いを生み出す上では、独特の緊張感があるんですよ。台本上では全然笑いのシーンじゃなかったはずなのに、現場に入ると『あれ!? もしやここは笑いの要素を入れるべきだったのか……!?』って、訳が分からなくなったりすることも。ちなみに今回はバーのシーンで僕が提案した“顔芸”が採用されているので(笑)、是非チェックしてみてください!」
「ズバリ、この映画の見どころは『歌』と『ダンス』です(笑)。いろんなコスプレをした人たちが一堂に集まって踊るところと、『こんなヲタ芸あるか!?』っていうくらい、激しいヲタクダンスを踊るところ。普通は、サイリウムをあんな風に振って激しく踊らないらしくて(笑)。どこかヒップホップっぽいのは、福田さんならではの味つけだと思います」
Writing:渡邊玲子
MOVIE
2月7日(金)公開
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