「10周年記念の動画撮影の際に、当時刊行されていた漫画を43巻まで読破して、今回の撮影の前には1巻から5巻をひたすら繰り返し読みました。あまり歴史に詳しくない人でも楽しめるのは、『キングダム』ならではの魅力。原作同様、映画にもアクションシーンが多く、何度もカット割りをする必要がありました。同じテンションを保った状態で、つながりを意識しながら激しいアクションをこなすのは大変でしたが、とにかく気合で乗り切りました。僕自身『キングダム』への思いが強かったからこそ、どれだけ辛い状況でもやり抜くことができたと思います。自分が掲げた目標に到達するためには、とにかくいま頑張るしかないんです。『いま頑張らなくて、いつ頑張るんだ!』って、気持ちを奮い立たせて取り組みました」
「佐藤監督からは衣装合わせの際に『信という男には伸びしろがあって、どこまでも可能性が広がっている』との演出を受けました。役者を信頼してくださる監督なので、現場ではかなり自由にやらせていただいたのですが、幼馴染で親友の漂が去った後、信が一人で修業を重ねるシーンには、佐藤監督のこだわりがたっぷり詰まっていると思います。中国ロケのシーンは、もはやセットとは思えないほどスケールが大きくて、まるで本物の王宮に行った感覚が味わえました。当時の雰囲気をリアルに感じられたことは、『キングダム』の世界観を作り上げるにあたってものすごく役に立ちました」
「原先生からは、『漂が死ぬシーンは、本当に大事に演じてほしい』とのお言葉をいただきました。漫画『キングダム』の成功の秘訣もそこにあるから、と。同じ夢を目指していた大事な友を失い、友の分まで頑張ることを誓うシーンです。たとえくじけそうになっても、いつもそこに立ち返ることで、軸がぶれることなく前に進むことが出来るんです。坂口拓さん演じる武官『左慈(さじ)』と信が戦うシーンで、原先生が映画オリジナルのセリフを書かれているのですが、そのセリフが本当に素晴らしくて。僕自身、その台詞を口にするたび自然とパワーがみなぎってくる感じがありました。格闘シーンも1分半もの長回しで、『本当に殺されるんじゃないか』と思うほど、緊迫感溢れるシーンに仕上がりました」
「映像で本格的なアクションは今回が初めてということもあって、撮影に入る3ヶ月ほど前からトレーニングを開始しました。長いときには1日4~5時間くらい練習していたのですが、いつもトレーニングの最後の方はヘトヘトで……。僕はもともとサッカーをやっていたから、どうしても球を蹴る筋肉の使い方や腰の回し方になってしまうんです。特に大変だったのは、相手に飛び乗り、そのまま後ろに倒して回転しながら戦いを続けるシーン。最初は自分でもまったく出来る気がしなかったんですが、何度も練習を重ねていくうちに、ある日突然出来るようになりました。撮影でもワイヤーを使わず、自分の跳躍力だけで『誰よりも高く』飛べた気がします(笑)。信はずっと自己流で修行してきたから野生的な部分が強くて、型にハマらない荒々しさがあります。感情が先走りすぎてカメラのフレームに収まりきらなかったところもあったりするのですが、結果的にその方が信らしくなったんじゃないかな。受け身をしてくださったのは主にプロのスタントマンの方々だったのですが、皆さんめちゃくちゃかっこいいんですよね。勢い余って木刀が当たってしまったときでも、絶対に痛いはずなのに『全然大丈夫だよ』ってクールに振る舞われていたのが印象的でした」
「ムタは毒矢と触手で襲い掛かってくるので、めちゃくちゃウザイんですよ(笑)。ペチペチ当たるだけだからそれほど痛くはないのですが、擦り傷がだんだん増えていくことでダメージを受け続ける感じを出すのが意外と大変でした」
「お亮と環奈ちゃんと一緒だったおかげで、ハードな撮影の合間もすごくリラックスできました。信と漂が木刀で対戦するシーンも、お亮と『ウェイウェイ』言いながら楽しく練習していたんです。ガッツリぶつかる場面もあったんですが、セリフの掛け合いもすごく面白かった。『本当はもっと冷静にやるはずだったのに、演じているうちに自然と声が大きくなって、思わず熱が入りすぎちゃった』って、お亮が言ってきてくれたこともありました。そういう自然なやりとりこそリアルだし、お芝居の醍醐味だと思います。そして、サイズ感も含め、河了貂を演じることができるのは、環奈ちゃん以外には考えられないんじゃないかな。実は、河了貂の藁の中には、いろいろなものが装備されているんですよ! 環奈ちゃんから『ねぇ、これ見て! パンが入ってるの』って言われてメロンパンが出てきたときは、本当に面白かったです(笑)」
「『天下の大将軍になる』という信の夢は、すごくシンプルであるからこそ、同じ男として共感できたし、もちろん『信のような強さを持って生きたい』という憧れもあります。低い身分から頑張ってのし上がっていく信に、僕自身すごくパワーをもらいました。だからこそ信が唯一の夢を叶えるまで、『キングダム』シリーズを撮り続けるのが僕の夢。観客の皆さんとも熱を共有しながら、一緒にあの世界を生きていきたい。そして生涯をかけて、僕も「天下の大俳優」になりたいです(笑)。どんな時代の、どんな境遇にいる人にも力を与えられる『キングダム』って、本当に最高だなって思います」
Writing:渡邊玲子
MOVIE
4月19日(金)公開
pagetop
page top