「最初に読ませていただいたとき、また音楽を映画でできるんだと思いました。ギターの経験はあったのですが、ピアノは初めてでした。原作を読んで、絵で音は表しにくいと思うんですけど、この漫画からは音の良さが伝わってきたんですよね。今回の映画には登場しませんが、公生とライバルたちの音の違いもちゃんと伝わってきて、素晴らしいと思いました。ストーリーも、公生とお母さんのことだったり、かをりと出会って変わっていく姿など、いろんなことを伝えられる作品だと思いました」
「公生はすごく繊細な人間です。母親のことがあってピアノをやめた彼をどう演じるのか。丁寧にひとつひとつの心情を演じられたらいいなと思いました。外見では、原作と同じくメガネが公生の一部なので、メガネをつけることでぐんと近づけました。公生は僕が今まで演じたことのない役だったので、新鮮でとても楽しかったです」
「うまく見せるのって本当に難しいと思いました(笑)。最初は音を実際に出すことから始めました。J?POPの曲で練習するんですけど、最初は右手だけで、慣れてきたら左手も添えて。そのときに姿勢を正されたり、鍵盤と椅子の距離とか、手首を寝かしすぎないとか、目線など細かいところを修正していきます。簡単な曲で基本を自分の体になじませていって、「愛の悲しみ」とか「バラード」を徐々を練習にしていきました。ヒューマンメトロノームと呼ばれていて、精密なミスひとつない動きを求められましたね。それぞれの曲で正しい弾き方を習って、そこに公生の思いを乗せていくことを大事にしました。ピアノで一番難しかったシーンですか? 音が聴こえなくなってしまってから弾くシーンが難しかったです」
「ピアノの作り自体も面白いと思ったのですが、クラシックに触れて、その魅力に初めて気づきました。どんな音楽が流行っても廃れないだけあって、素晴らしいですよね。ピアノは、今後も時間があるときにやっていきたいです」
「すずちゃんは、明るくてほわんとしている女の子というイメージがありました。でも、実際に会ってみたら、イメージよりもしっかりしていました。僕は21歳で、すずちゃんは年下ですけど、18歳とは思えないほど、芯が強い人でした。すずちゃんはバイオリンで、僕はピアノと楽器の種類は違いますが、初めての楽器に一緒に挑戦して、それぞれ全力を尽して、一生に頑張ろうと支え合っていました。かをりは、「君はいつも突然現れる」というぐらい、本当に突然現れて周りを華やかにし、笑顔がキラキラしている女の子です。どこかつかみどころのない感じもありますが、バイオリンを弾いたときの本気や情熱が素敵だなあって」
「最初は距離があったんです。僕は大志とは共演したことがあってすごく仲がいいんですけど、すずちゃん、杏奈ちゃんとは初共演で。大志はすずちゃん、杏奈ちゃんと共演したことがあるので、クラインクイン前にすずちゃんたちとつないでね、ってお願いしました。でも、いざ撮影が始まったら、大志もなぜか人見知りしてて(笑)。撮影が進んでいく中で、すぐ仲良くなりましたけどね。4人が仲良くなったこともあって、撮影中ずっと楽しかったです。面白かったのは、かをりと公生が川に飛び込むシーンで、僕が携帯をポケットに入れていて水没してしまいまして(笑)。すずちゃんが先に川に飛び込んだので、その様子をからかいながら写真や動画で撮ったんですけど、データが全部消えました(笑)」
「公生をとりまく現実は、すごく悲しくて切ないですよね。でも、公生は母の死を乗り越えたことによって強くなっていきます。かをりについては、公生にとって初恋だと思います。ずっと続けてきたピアノをやめて光が見えなくなっていたときに現れたかをりが光になった。自分に光を与えてくれた、かをりがいなくなってしまうかもしれない。死を前にどうしたらいいのかわからない、大切な人がいなくなってしまうかもしれないというのはずっと考えながら、演じていました」
「クランクインする前、新城毅彦監督の作品を何作か拝見し、映像が美しく、切なさや温かさがあると感じました。今作はそれに加えてキラキラ感があってカラフルだなって。青春のキラキラ感と、公生、かをり、椿と亮太たち4人のキャラクターが作り出すカラーがいいなって思いました」
「そのときの感情に嘘をつかないことです。キャラクターが生きていることを大事にしています。何が正解かわからないですけど、生きようと思っています」
Writing:杉嶋未来
MOVIE
9月10日(土)全国東宝系ロードショー
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