「圭太は不器用でまっすぐな男なので、同時にふたりを好きっていうことはないんです。ただ、一子とつき合っていても純粋に希のことを応援したいと思っていて、箸を渡したり電報を送ったりしたんだと思います。それに対して一子が怒っている理由がわからなくて、『一子も箸が欲しいんだな!』と単純に箸をプレゼントするんだけど、また怒られて(笑)。女心が分からなくて、年下の一徹に指南されることもあって。圭太としてはいい加減な気持ちでは付き合っていないので、大阪との遠距離恋愛になってからは電話で話せる時間を心待ちにしていたり、バレンタインデーに帰ってくるかも!?とウキウキして待っていたりと可愛い面もあるんですよ。だからこそ、サプライズで大阪に会いに行ったときの一子の態度がショックで。『能登のことを忘れることもあるし、圭太のこともたまに頭からいなくなる』と言われて、男としてのプライドを傷つけられたわけです」
「大阪で冷たくあしらわれたことから一子と距離を置くことにしたものの、男として大きな心で見守ってあげられない不甲斐なさも感じたと思うんです。夏だったら一子も参加できると思って成人式を計画するのですが、やはり戻っては来なかった。一子の気持ちを分かってあげられない自分が悪いと思いつつも、都会に染まってしまった彼女に腹が立ってしまって。一子からは『圭太はつまらない』とか落ち込むことを言われてしまうのですが、希は『そこが圭太のいいところだ』と言ってくれるんですよね。そこからまた、希に対する気持ちに変化が生じたのかもしれません」
「能登で家族や友達のためにケーキを作る姿は何度も見てきたけれど、仕事として頑張っている姿を見て、グッとくるものが圭太にはあったと思います。輪島塗の器に合うケーキを真剣に考える姿や、トラブルに対応する姿など一生懸命な希を見ていて、希に対する自分の気持ちに気づくんですよね。展示会の準備中は一子に『つまらない』と言われてネガティブになっていて、「薪地(まきじ)」という輪島塗の器を自分に例えてみたりして。薪地はほかの輪島塗に比べ地味なのですが、実用的なものなんです。圭太はきらびやかなものよりも地味だけど生活に密着したこの器をもっと広めたいと思っていて、希にもこの器を使うよう熱く語るのですが、見向きもしてくれなくて(笑)。ますます、自分と薪地が重なって見えてくる。そこの希と圭太の掛け合いは演じていて面白かったし、男としてはじれったいなーと思う部分でもありました」
「希から地味で漆バカだけどそこが圭太のいいところだと言われて嬉しかったし、展示会に向けて共同作業をしたことで絆が深まったところもあり、今まで仲間として応援してきたけれど本当の気持ちに気づいたんです。でも、希は大輔さんとつき合おうとしていて……。タイミングが悪いですよね(笑)。お互い不器用で鈍感だから、気持ちに気づきながらも行動にうつせなくて。高志の歌が背中を押してくれました。この歌がとっても良くて、素敵なシーンになったと思います」
「希のことは好きだけれど、輪島塗の職人になる夢は圭太にとってとても大切なこと。もちろん、希も一人前のパティシエになる夢に向かって歩きはじめたばかりですからね。2年半って長いし、距離も離れているから不安もあったと思うけれど、覚悟がないとできないし、お互いが支えになって頑張れたんだと思います。2年半が経ってからの行動も圭太らしいというか……。心の支えがいることで一層頑張れると思うんです。いつもピンチのときにそばにいたのは誰か、と考えると希なんです。圭太にとっては自然なことだったのではないでしょうか」
「ひたすら真っ直ぐなところかな。輪島塗に対する思いは誰にも負けないし、職人として一人前になりたい、輪島塗を繁栄させたいっていう熱い気持ちを持っているのが圭太のいいところだと思います。それ故に周りが見えなくなってしまうこともあるけれど、一本筋が通っているところは男としてカッコいいなと思います。まわりの女性スタッフからは大輔さん人気が高いので、悔しいですね(笑)。大人でやさしいんですよね、大輔さんは」
「なかなかないんですよ(笑)。今は広く探しているところです。でも、最近は人の話を聞くことが面白いなって思います。周りから吸収しているというか……。ベテランの共演者はもちろんですが、同世代の人たちから刺激を受けることも多いですね。高畑裕太くん、渡辺大知くんと映画の話をしているときが楽しくて。それぞれとらえ方が違うので、勉強になります。あ、そうだ! 今は新しい台本をもらうと前のめりになります!! 僕たちも最終回がどうなるのか分からないので、毎回、台本をもらうたびに次の展開が気になるんです」
「圭太を演じていて、日本一の漆塗り職人に向かってコツコツ努力をしている姿は自分とも重なります。役者をやっていく中で、ひとつひとつの作品に対して真剣に向き合って演じることが、次の作品につながって成長していくんだと思います。今はまだ明確な大きな夢はないけれど、目の前の役にしっかりと向き合いコツコツと演じていくことがいい役者に近づく道だと思っています。土屋太鳳ちゃんをはじめ、同世代の5人はとても意識が高いので、いい刺激をもらっています。これから役者を続けていくうえでのモチベーションが高まっています!!」
Writing:岩淵美樹/Photo:小林修士(kind inc.)
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