「圭太は不器用でまっすぐな男。僕にはない熱さがありますね(笑)。日本一の職人になりたいという大きな夢があって、夢嫌いな希とはぶつかることも。夢が嫌い、トラウマっていいながらも希は家族のために一生懸命でひたむき。そんな姿を見て圭太は元気や勇気をもらい、しだいに惹かれていったのかなと思います。ただ、自分を押し殺して夢を封印してしまう希のことを理解できないこともあり、衝突しちゃうのかも。僕自身は圭太ほど熱くないけれど、学生時代はサッカーに夢中で、それこそサッカーバカでした(笑)。好きなことは集中できるので、そのあたりは似ているのかな。これだと決めたことを貫き通す圭太のようになりたいなと演じながら思っています」
「輪島漆器というと今は高価なものになりましたが、かつては普通に家庭で使われていたものなんですよね。何層にも漆を重ねていくからとても丈夫で長持ちするし、みそ汁など熱いものを入れても手に熱さが伝わらないようになっている。役を通じて初めて知ることばかりでしたが、輪島塗に触れることができて本当によかったです。最初はスムーズにできたので、意外と簡単なのか!?と思ったのですが、すぐにその考えは打ち砕かれました(笑)。学生時代は美術が好きだったので、物を作ることは苦じゃなく好きな分野。難しいけれど楽しみながらやっています。漆を塗って乾かしまた塗っての繰り返し作業なので、少し失敗しても最後の塗りがうまくいけばごまかせてしまう部分もあるんです。でも、祖父・弥太郎さんのセリフにもあるのですが“職人のプライドをかけてだますことはできない”んですよね。職人さんってカッコいいなってしびれました。輪島塗、伝統工芸の魅力もドラマを通じて伝えられたらいいですね」
「1000枚もの田んぼが連なる千枚田というところがあって、稲作をしないシーズンにあぜ道をライトアップするイベントがあるんです。10月から3月の間だけなので、その時期に能登にいて見に行かないのはもったいないと、連れていっていただきました。遠くに海が見え、自然のなかでLEDがきらめく光景は幻想的でしたね。食事もどれも美味しく、特に魚料理は絶品でした。職人さんのお宅で大根の漬物を焼いて出してくれたのですが、とっても美味しかったんですよ! どれも素材のよさを感じることができ、忘れられない味です」
「圭太は一度、能登を離れ金沢に引っ越しをしているので、希たちとは7年ぶりの再会になります。そこで、輪島大祭という夏祭りに参加しようとなるのですが、そのシーンのために年に1回のお祭りを再現したんです。たくさんのエキストラの方たちが集まってくれて、実際にキリコ(祭りで担がれる巨大な灯籠)を出していただきとても迫力のあるシーンになりました。キリコを担ぐだけでなく、太鼓をたたくことになり、みんなで練習したのもいい思い出ですね。手の皮がむけてしまうほど頑張りましたよ! リズムを刻むのも難しいのですが、バチさばきがうまくいかなくて。カッコよく叩くためのワザがあるのですが、短期間の練習ではなかなか習得できなくて悔しかったですね。地元の人と撮影の合間にお話しができて“年に一回しかないお祭りを二回も楽しめるなんて嬉しい!”と言ってくれて、僕も嬉しくなりました。能登のあたたかい雰囲気も伝わればいいなと思います」
「甘酸っぱいシーンが出てくるわけです(笑)。輪島大祭でキリコの修復を自分でやりとげ自信がついた圭太が希に告白をするのですが、不器用な性格があだになり撃沈……。輪島塗職人への夢を熱く語りすぎて、夢嫌いの希が蕁麻疹を出してしまうんです。さわやかな青春の1ページですが、思わずクスっと笑ってしまうハプニングもあり印象に残るシーンになりました。告白したことが村中の人に知れ渡ってしまうのは、僕だったら耐えられないけれど、圭太はそんなことよりも“なんで希は夢を語ることを嫌がるのか、なんでわかってくれないのかな”という思いのほうが強かったと思いますね」
「これまでは高校生役が多く、役が年を重ねていくことがほとんどなかったので実年齢をはるかに超えていくことも初めて。もちろん、未経験のことも出てくると思うのですが、圭太としてさまざまな体験をすることでリアルに成長していけるのかなと思っています。人って根本的なこと、芯は変わらないと思うので圭太の軸ができていればいいのかな。共演者には大先輩の方々が多く、カッコいい大人のお手本がそばにいらっしゃるので、その背中も見つつ、圭太としても山﨑賢人としても成長していけたらいいですね。圭太はきっと、祖父・弥太郎さんみたいになるんじゃないかな。僕ですか? そうだな……。渋くてカッコいい役者になれたらいいですね。弥太郎さん役の中村敦夫さんはそこにいるだけでオーラがあってカッコいいんです。僕も将来、20代の若者にカッコいいって言われるようになりたいです。近い目標でいえば、『まれ』がみなさんに愛される作品になること! ヒロイン・希だけでなく、僕も含め希のまわりには夢を持った人たちがたくさんいて“頑張れ!”って応援したくなるキャラクターぞろい。応援してもらいつつ、みなさんにも元気を与えられたらなと思っています」
Writing:岩淵美樹
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