「こんなにもいろいろな人にカバーされるというのは、本当に愛されている楽曲なんだなと感じていました。アーティスト、俳優、男性、女性、歌う人によって違う色が出るところも魅力的です。今回、中島みゆきさんご本人が歌う「糸」を改めて聴いたときには、人生の奥深さがすっと心の中に入ってくるのを感じました」
「進化が大きい時代だと感じています。携帯など身近なものがどんどん進化して便利になっていく。ファッションの流行の変化もすごく早いと感じています。時代を駆け抜けていくものもあれば、昔流行ったものが戻ってきたりして、ぐるぐる回っているものもあるのでおもしろいなと思います。自分の中では、女優を始めたことが一番の変化でした。役を演じるときには迷う部分もあるし、本当に自分でいいのかなと思うこともあります。でも、自分がやるから描ける部分もあると信じて、必死に戦っていくしかないんだと感じています」
「3度目の共演となる菅田将暉さんとは、これまでも『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』など過酷な現場を一緒に乗り越えてきました。今回のW主演も何かの縁だなと感じています。今までは、役を演じることに必死で、見えていなかった部分があったことに気づきました。『糸』では、ちゃんと相手の芝居を見て、言葉を聞き、自分の中に生まれた感情を素直に出すことができました。これは自分の中での変化だと感じています。役を通して素直になることがすごく大事と実感した現場でした」
「押しつぶされても這い上がっていくような、強さを持った女性という印象です。心の中には漣(菅田将暉)への想いがずっとあるけれど、水島(斎藤工)との出逢いも葵の人生には通過すべきものだったし、ちゃんと愛した人でもありました。彼の存在が葵に大人への第一歩を踏み出させてくれたと思っています。彼からもらったものを、形や相手は変わってもしっかりと次の誰かに渡せる、恩を返すことができる人間味のある女性だったので、納得して演じることができました」
「シンガポールの食堂でやるせない気持ちで泣くシーンと、北海道の子ども食堂で安心して泣くシーンがありました。印象的なシーンなので、演じ方について監督やプロデューサーさんといろいろと話し合いました。北海道のシーンでは子どものようにわんわん泣くのもいいんじゃないかなと思ってやってみたのですが「小松はそう演じるんだね、もっと静かに泣くのかと思った」と言われた記憶があります。同じシーンでも人によって思い描く形が違うことにおもしろさを感じると同時に、お芝居のおもしろさを改めて感じた瞬間でした。映画を観た方があの場面の葵の感情をどう受け止めてくれるのか、今から楽しみです」
「いろいろなものを見ることで、それぞれの良さが分かると思います。新しい違う扉が開く気がします。プライベートでも一人で旅行に行くと、息抜きだけでなく、今ある自分の幸せを改めて感じられたりします。離れてみて気づくことってあると思うので、仕事でもプライベートでも世界を飛び回りたい派です」
「映画の中で抱きしめるシーンが何度か出てきます。恋人、夫婦、家族、親子でぎゅっと抱きしめ合う。子どもの頃にお母さんに抱きしめられたこと、愛情込められて育ててくれたことはすごく記憶に残ります。残るものだからこそ、必要なものだと感じています。私自身、家族に会うと別れ際には「じゃあね」とハグします。すごく離れて暮らしているわけではないけれど、ちょっと心細くなったときに、その温もりが蘇ると幸せだなと感じたりもします。ひとりじゃないと思える瞬間でもあり、抱きしめた相手の大切さを感じる瞬間でもあるので、抱きしめるってすごく大事だなと思います。そんな温もりを『糸』からも感じていただけると思います」
Writing:タナカシノブ
MOVIE
8月21日(金)公開
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