「写真集の撮影場所は、単純に他の女優さんやモデルさんが行ったことがないような場所にしたいなと思っていました。トルコを選んだのは、そういった意味でもあまりトルコで撮影が行われてないこと、さらにいえば前々から個人的にもトルコに行ってみたいと思っていたから。テレビの旅番組でトルコ特集を観たこともあって、異国情緒溢れる街並みや食事にしても見慣れないものばかりで、すごく心魅かれる国でした。私の写真集だけど、トルコの世界観や素晴らしさも伝えつつ作品が作れたらいいなと思いはじめたら、もうトルコ以外考えられなくなっちゃたんですよね」
「ちょうどその頃は情勢が不安定だったこともあり、トルコでの撮影が難しい雰囲気もありました。でも他の場所も考えてみたけれど……やっぱり自分が作りたいものを考えたら、納得して取り組みたいし、愛がある一冊にしたい。絶対妥協をしたくなかったんです。自分でトルコの本を買って、スタッフさんたちにプレゼンしたことも(笑)。自分が行きたい場所についてわかってもらえるように頑張ろうと。それに写真集が出来上がったときにこういった取材のことを想像したんです。『なんでトルコにしたんですか?』と聞かれたときに自分が行きたい場所じゃなかったら自分の言葉で話せないなって。ずっと作りたいと思っていた初めての写真集なので、100%しっかり語れる取り組み方をしようと決めていました」
「想像以上にステキな場所でした。親日ということもあって人も穏やかで優しい人ばかり。トルコには1週間滞在して、前半はトラブゾンで、後半にアンカラやイスタンブールというスケジュール。写真集のメインでもあるトラブゾンは、日本人がほとんど来ない場所だから、撮影チームがすごく珍しかったみたいです。英語も通じにくくて、通訳さんを介して現地の方達とコミュニケーションをとりました。なんとなく行きたい場所は決めていたけど、実際の撮影場所は車で移動しながら『ここ、いいね』となったら撮影する。決められた中ではなく、トルコの現地の人に聞いたりして“出会って動く”という感じでした。日本での撮影とは違って、ラフな感じで現地の人と写真を撮るのもすごく楽しかった。現地の女の子はシャイな子が多くて、反対におじさんたちは『撮っていいよ!』と積極的。カメラを向けても笑わない人が多くて、それが私自身の撮影のヒントにもなりました」
「今回の撮影は、トルコで暮らす私に出会って、その子を追いかけて写真を撮っていく……というコンセプト。なので到着してすぐに撮影に入らず、そこで生きる人やその暮らし、どんな服装なのかを知るための時間を作りました。衣装は日本から持ってきたものもあったけど、トルコで調達したものをミックスしてコーディネートしたり。衣装ひとつでも、おしゃれすぎても馴染みすぎてもいけない絶妙なところを探すのが難しくて、夜はホテルでスタッフさんと話し合う日々でした。現地でいろいろ決めることが多くて、気持ち的にはバタバタしていたけど、不安は全然なかったんです。信頼できるスタッフさんとのやりとりは、うまくいかなくてピリピリすることもあったけれど濃密でした。“いいものを作り上げたい”と、私と同じくらいの気持ちでそれぞれが臨んでくれていたのがすごく嬉しかった。私のアイデアやイメージを口でうまく伝えられなくて困らせたこともあったと思います。普段のお仕事ではここまで自分の意見を求められる場は少ないので、改めて人に伝えることの難しさや大切さが身にしみました」
「現地の少女というテーマなのに、モデルとして無意識にポージングしちゃっていたこともありました。自分では自然なつもりでも『もっと自然に』と言われてしまう。それが難しくて、『どうすれば自然に見えるの?』と悩んだことも。しかも思いがけないタイミングで『いいね』って言われることもあり(笑)、客観的に見てもらうことで感覚を掴んでいきました」
「ホテルで私のインスタグラムを見てくれる人がいて、『これ君?』って声をかけられました。トルコはヨーロッパっぽい顔立ちの人もいれば、日本人みたいな人もいて異国に来ている感じがすごくするんです。しかも言葉も英語ではないから余計に。そんな中で、まさか私のインスタをフォローしてくれる人がいるなんて思わなかった(笑)。SNSってすごい!と嬉しくなりました」
「小さい頃に考えていたハタチはすごく大人で、いろんなことが変わるんだろうなと思っていました。でも着々とハタチに近づいていき、実際に迎えてみてもそんなに変わらないというか、意外と気づいたらって感じです。でも、人間関係も環境もこれから広がっていくし、変わっていくだろうという予感はあります。高校3年生で女優業をスタートして、昔から別世界だと思っていた女優業に今身を置いている。あの頃はまったく想像もしていなかった世界で、今は生きていると思うと自分でもすごく不思議。だから10代のときのように、思ってもいなかったことが20代でも起こるんじゃないかなって思うんです。それがすごく楽しみ。ちなみにハタチになり、プライベートでしたいのはスカイダイビングです。あとは、プライベートでもう一度トルコに行きたいですね。見たい場所も行きたい場所もたくさんあるから、今度はゆっくり観光したいです」
「写真はたとえ私がいなくなったとしても、一生残っていくもの。手にとってくれた方には素敵な写真集だと思ってもらいたいし、一生の宝物にしてもらえるような作品にしたいです。他の人にはない何かを感じてもらえたら嬉しいですね。納得いくまで頑張って作った作品なので、前回のフォトブック『18』を買ってくれた人はもちろん、それ以上の多くの人の目に届くように願っています」
Writing:長嶺葉月
BOOK
3月1日(火)発売
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