「すぐ隣にいそうな人たちのささやかだけど大切な瞬間を、あたたかい眼差しで切り取った作品で「とても素敵だな」と思いました。本を読んだときに、こういう光で、こういう音楽でという情景が鮮明に浮かんだんです。コロナ禍の人々を描いた作品は、2020年に何本か参加させて頂いたのですが、自分たちも渦中にいたので作品を残すことに意義を感じましたし、今作はコロナ禍というのを抜きにしても、いま届けるべき作品なのではないかと思いました」
「台本をいただいたときにはまだ仮だったのですが「息をひそめて」というタイトルを聞いたとき、響きもそうですが、この作品を象徴するようなタイトルで素敵だと思いました。中川監督は詩人なだけあって、セリフにも心に残る言葉がたくさんありました。各話につけられているタイトルも素敵なので、そこにも注目して頂けたらと思います」
「監督と仕事をした人の話をいろいろと聞いていましたし、お会いしたこともあったので、オファーをいただいたときはすごくうれしかったです。今回はオムニバスということもあり、中川組をじっくり知る前に現場が終わってしまったもどかしさはありますが、短い期間でも印象的だったのは、映画という枠にとらわれず、中川さんのやり方で作品を作り上げているということでした。映画の撮り方は、ある程度決まっていて、その中で監督の個性が出るものですが、中川監督に関しては、演出ひとつとってもオリジナリティの溢れる方だなと思いました。またご一緒できる機会があったら「中川組ってこうだよね」と表現できるくらい、じっくり組みたいと思える監督です」
「一見すごく気丈で、凛とした強い女性に見えますが、実際は精細で脆い部分があります。それでも弱さを見せずに頑張ってしまう女性で、おおらかでほわっとしているお姉ちゃんとの比較もおもしろいです。短い話の中で、最終的に妃登美が心の扉をちょっとだけ開く瞬間が表現できたらいいなと思っていました。大きな変化はないけれど、半歩前に踏み出す様子が伝わるような、繊細な演技を意識しました」
「東京だけど東京じゃない、のどかという印象です。出来上がった作品を観たときに、「多摩川ってこんなにキレイだったんだ」とその美しさに驚きました。多摩川はとても広いので、場所にもよりますが、私の中のイメージでは、ジョギングしたり、散歩したり、遊んでいる子どもたちがたくさんいる、賑やかな場所だったので、新たな魅力を発見した気がします」
「母の作る餃子です。特別変わった味ではないけれど、たまに思い出して無性に食べたくなります。食べると童心にかえったりもします。特別なときではなく、ふと「食べたいな」と思うんです。母が餃子を包む姿も含めて大好きな味です」
「当たり前だったことが、当たり前にできなくなったり、新しい常識が生まれたりして、最初は「何が起こっているんだろう」と思いました。もともとお休みをいただいていた時期なので、仕事への影響はそれほどなかったのですが、こういった変化に対して、後ろ向きではなく柔軟に捉えられたらいいなと思った年でもあります。あまり悲観的になりすぎず、今できることを考え、それにあわせて自分がより良い方向に自分の精神状態を持っていけるようになれるといいなと思ったりもしました」
「すごく光の美しい作品です。クランクイン前に監督が一遍の詩のようなオムニバスドラマにしたいと仰っていたのですが、まさにそんな作品になったのではないかと思います。決してドラマチックな展開があるわけではないですが、だからこそ、登場人物たちの心情が見てくださる方に寄り添えるのではないかと思います。この作品から穏やかな光と希望を感じとっていただけたらうれしいです」
Writing:タナカシノブ
WEB
4月23日(金)Huluにて独占配信スタート
pagetop
page top