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3月19日NHKで放送されるテレビドラマ『星とレモンの部屋』に主演する夏帆。「第44回創作テレビドラマ大賞」大賞受賞作をドラマ化した本作は、近年社会的な問題となっているひきこもり家族の8050問題をベースにした社会派の人間ドラマだ。本作でひきこもりの主人公を演じる夏帆に作品への想いや役作りについて聞いた。

ラストは少しでも光が見えるようなドラマになったらいいなと思いました

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―― 「第44回創作テレビドラマ大賞」大賞受賞作をテレビドラマ化した本作。第44回は、佃良太さん作「星とレモンの部屋」が大賞を受賞。老いた両親が亡くなった後に子どもたちがその死体と暮らしていた、といういくつもの痛ましい事件を題材に、28歳の気鋭の脚本家がみずみずしい感性と温かいまなざしで、生きづらさを抱える人々をリアルに描く人間ドラマだ。

「台本をいただいて、脚本家の佃さんの経歴を見たときに、自分より年下の方だということにまず驚きました。登場人物の心情がとてもリアルだったので、もしかしたら当事者の方なのかなと思ったりもしたのですが、そうではないと聞いて、人の心の痛みを繊細にすくいとることが出来る方なんだなと思いました。今回のテーマとなっている8050問題について、恥ずかしながら知らなかったんです。実際にこういったケースが各地で起こっていると聞き、痛ましく感じましたし、いち子という役をより一層誠実に演じたいと思いました。そのために、資料となる映像や書籍を手当たり次第に集めて、納得がいくまで勉強をしたのですが、それだけではどうしても生身の感情を知ることが出来ないと感じ、当事者の方と話をする機会も作っていただきました」

―― チャットで知り合ったひきこもりの男女に起きる、ある一日のドラマ。夏帆は、ひきこもり歴18年の里中いち子という女性を演じる。夏帆はいち子に起きる事件を描く物語に衝撃も感じながら、セリフの秀逸さにただただ感嘆としたという。

「台本を読んでいく中で、セリフがとても秀逸だと思いました。言葉の選び方が本当に的確で、説明的ではないのに登場人物の心情がちゃんと伝わってくるんです。この役をぜひ演じたいと思いました。でも、私はいち子のような体験をしたことがないですし、18年間心を閉ざし続けながら生きていくって一体どういうことなんだろうと、なかなか想像の範疇を超えることができず、自分に落とし込んで演じるのは難しかったです。印象的なセリフはたくさんありますが、『ひきこもりって、家の中にひきこもることじゃなくて、自分の心の中にこもってしまうこと』というセリフは心に残っています。そこにいち子が気づけたというのも、大きな成長ですし、たった数時間の話ながら、この数時間がいち子の人生において本当に大きな出来事だったと思うんですよね」

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―― 同じひきこもりの青年で、いち子とチャットでつながる涼を演じるのは、宮沢氷魚。

「宮沢さんとは初共演でしたが、最後まで目と目を合わせてお芝居はしていないんですよね。劇中はチャット形式のナレーションで会話をしていて、撮影が始まる前にその声録りをしたんですが、そこでも隣にいるのに顔を合わせずにセリフのやりとりをしていました(笑)。涼という役はいち子と違ってどちらかというと攻撃的な面もあるんですが、とても繊細で透明感のある声をされている宮沢さんが演じると、その攻撃的な中にも苦しさだったり、素直になれない葛藤がにじみ出ていて、すごく素敵だなと思いました」

―― いち子の母、初美を演じるのは、原田美枝子。

「原田さんとも、今回初めてご一緒させていただきました。ずっと憧れていた方だったので、お母さん役が原田さんだと聞いたときは思わず飛び跳ねました(笑)。『愛を乞う人』を観たときに、役や作品に対する原田さんの熱量みたいなものが、画面越しに伝わってきて、とても衝撃を受けたのを覚えています。それからずっと私にとって原田さんとの共演はひとつの目標でもありました。原田さんと顔を合わせてお芝居したのはワンシーンだけだったのですが、優しい目をされていて、原田さんの顔を見るだけで自然と涙が溢れていったのを覚えています。全て包み込まれるような、そんな感覚があって、お芝居の中ですけど、とても素敵な時間が過ごせたなって思います」

―― 母の死により追い詰められていくいち子の心情を演じ、夏帆自身辛くなることもあったという。

「撮影はたった4日間でかなり凝縮した現場だったんですが、撮影現場に入るのがとても久しぶりだったということも相まって、私自身もずっと追い詰められているような気持ちでした。特に中盤は重いシーンが続いていたこともあり、現場への緊張と不安で、全然寝れなくなってしまって、、、(笑)。ご飯もろくに喉を通らず、振り返ると、わたしもいち子と同じようにギリギリの精神状態でしたね」

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―― ワンシチュエーションドラマの難しさも感じたという。

「とても難しかったです。最初は喋り方一つにしても、いち子をどう演じたらいいのかわからなくて、本当に手探りの状態でした。ただ撮影に入る前に、監督とたくさん話をする機会を作っていただいたり、実際に当事者の方に会ったり、リハーサルの時間を組んでいただいたりしました。リハーサルの時は、いち子の声のトーンや話すスピードなどいろんなパターンを試しました。そういう時間をいただけたのがとてもありがたくて、私1人じゃなくて、みんなでいち子というキャラクターを作っている感覚がありました。衣装やメイクもそうですし、部屋はどういう風にするのかとか、そういうこと一つとっても、自分だけじゃなく、みんなでいち子というキャラクターを作っているということが、演じていて心強かったですし、すごくいい現場だったと思います」

―― ドラマを通して、夏帆が伝えたいことは?

「どういうふうに感じていただけるかは、本当に受け取る方の自由だと思うので、私がこういうふうに見てくださいって言ってしまうのは作品の幅を狭めてしまう気がして、なかなか言葉にしにくいのですが、私が演じていく中で、ひきこもりの方々って一体どういう人たちなんだろうということを考えたんです。罪を犯してしまう人だとか、ものすごく怠惰な生活をしている人だとか、親のすねをかじっていつまでも家にいて働かないとか、そういうイメージを持っている方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。ひきこもりの方々について調べて、実際にお会いしたり、お話を伺ったりという過程を持っていく中、ものすごく繊細で優しい方たちだということを感じました。日々人と接する中で、どこか鈍感になっていくことってありますよね。それは自分を守るためであったり、相手の出方だったり、自分が相手にとってどれだけの影響を与えてしまうんだろうっていうことに対して、ある程度鈍感にならないと人とコミュニケーションをとれないということもあると思うんです。でも、ひきこもりの当事者の方々は、一つ一つの事柄に対してすごく繊細に反応してしまう方々なんだなっていうのを感じて、そういった面もきちんと表現したいと思いました。また、ただセンセーショナルなものを扱っているというだけの作品ではなく、1人の人間の成長物語として、ラストは少しでも光が見えるようなドラマになったらいいなと思っています」

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―― レモンの香りは、いち子にとって忘れがたいものになっただろう。夏帆にとって記憶と結びつく思い出深い香りはあるのだろうか。

「子供っぽいんですけど、ベビーパウダーの香りがすごく好きなんです。柔軟剤とか、ボディソープなど、ベビーパウダーの香りを探してしまうんですけど、それって何なんだろうなって思ったときに、おばあちゃんの家で、お風呂上がりにベビーパウダーをはたいてもらっていたんですよね(笑)。その頃の記憶があって、童心に帰るじゃないですけど、ベビーパウダーの香りを嗅ぐとすごく落ち着くんです。それは記憶と結びついているからだと思います」

―― 本作の撮影前、少し長めの休みを得て気力を蓄えた夏帆。2021年はヒロインを演じる連続ドラマ「珈琲いかがでしょう」も待機するなど、さらなる活躍が楽しみだ。

「こういったご時世だということではなく、昨年は元々お休みを頂いていたんです。休みの日でも、手元に台本があるとどうしてもその作品のことで頭がいっぱいになってしまうので、そういったことから完全に開放されたお休みは久しぶりでした。映画を観たり、本を読んだり、やりたかったことをたくさんできて、とても良い時間を過ごせたなって思います。完全にお芝居から離れられたというのも大きかったのかもしれません。お芝居することは楽しいですし、やりがいも感じているのですが、それと同時に苦しいこともたくさんあるので、少し距離を置くことで、いろんなことがリセットされた気がします。それに、久しぶりに撮影現場に行ったときに、こうやってお芝居できることって本当に幸せなことなんだなって改めて思ったんですよね。そんなふうに感じられたことが、とても良かったなって思います」


Writing:杉嶋未来/Styling:早川すみれ/Hair&Make-up:石川奈緒記
・ワンピース:il
・イヤリング:carat a

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(C)NHK

TV

特集ドラマ 創作テレビドラマ大賞『星とレモンの部屋』

3月19日(金)22:00~
NHK総合


ひきこもり歴18年の里中いち子(夏帆)。同じひきこもりの青年・涼(宮沢氷魚)とのチャットでのやり取りが、外の世界との唯一のつながりだ。いち子を何とかしたい母親の初美(原田美枝子)は日々ドア越しに語りかけるが、ある朝突然持病で倒れてしまう。パニック状態になったいち子は119番に必死で電話するが、肝心の助けを求めることができない。ようやく部屋から出た時には、母はすでに冷たくなっていた。「遺体を浴室に運んで、鼻と口にティッシュを詰めてください」。いち子からのSOSを受けた涼は、不思議なほどに冷静だった。実は涼にも隠された秘密があった……。

▼詳細
https://www.nhk.jp/p/ts/DL7N8PXY5G/

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