「黒沢さんの作品に出演することが憧れだったんです。単純に黒沢さんの作品が好きでいつかご一緒してみたいと思っていて。でも、自分はまだまだ黒沢さんの作品に値しないのではと思っていたので、お話をいただいたとき、驚きましたし、とても嬉しかったです。黒沢映画の独特な空気感はどのようにして現場で作り上げられているのだろうと、現場に入るのがとても楽しみでした」
「実際に現場に行ってみて、黒沢さんは必要なカットしか撮らないですし、いろんなものが削ぎ落とされていて無駄がないんです。撮影期間は3週間ととてもタイトでしたが、毎日撮影がスムーズで夜遅くなることもなかったです。黒沢監督の演出のもと、現場にいる全員が自分の役割をきちんと全うしていて、スマートなんです。当たり前のことですが、プロフェッショナルってこういうことなんだなとレベルの高さに驚きました。ワンカットで回していくシーンが多く、テイクもたくさん重ねないので、その一回に集中して全てを懸ける、そんな現場でした」
「すごく緊張しました(笑)。黒沢組というところでまず緊張していて、それに加えて長回しのシーンが多かったので。役者を含め、現場にいる全員の動きが合わないとそのワンカットが成立しないので、とても緊張感のある現場でした。でもその神経が研ぎ澄まされるような緊張感が心地よくて。ワンカットのなかで、風で揺れるカーテンや光の変化、役者の芝居、全てが合わさって奇跡のようなシーンがたくさんあります」
「愛情深くて強い女性です。怯えるシーンが多かったのですが、そのなかでも悦子の強さを大事にしました。恐怖や怯えが強く出てしまうと、その都度監督からもう少し強さを意識してくださいと演出していただきました。悦子は最後までぶれずに辰夫と日常という、自分が大切にしているものを守る気持ちのまま突き進んでいく女性。私もこうありたいと憧れましたし、すごく強くてかっこいいと思いました」
「染谷くんとはドラマ「みんな!エスパーだよ!」でご一緒させて頂きました。とても信頼できる役者さんで、辰雄役が染谷くんだと聞いて、安心しました。年下ですが、どしっとしていて、ぶれないというか。すごい役者さんだなって改めて思いました。前作では幼なじみの間柄で、今回は夫婦。また違った関係性の役でなんだか感慨深かったです。東出さんは今回初めてご一緒させていただいて、すごく独特な雰囲気の方で真壁役にぴったりだなって思いました。現場でプライベートな話をしなかったのもあったからか、掴みどころがなくて。真壁として見ていたからかもしれないんですけど、立っているだけで威圧感があるというか、不安になるんです(笑)。真壁という役はすごく難しいと思うんですけど、とても魅力的に演じていらして、素敵な役者さんだなって思いました」
「頑張って仕事を続けてきて良かったなって思いました。いろんなことがあったけど、こうやって憧れていた人とお仕事ができて、今までやってきたことがちゃんと積み重ねていけているんだと自信に繋がりました。もちろん、まだまだ欲はあるのでいろんな人とお仕事がしたいですし、また黒沢さんの作品に呼ばれるような役者でありたいと思いました。毎作毎作真摯に向き合っていきたいと改めて感じました」
「その都度ありますが、21歳のときに初めて舞台に出演したときです。それまで映像しかやっていなくて、舞台を経験し概念が大きく変わりました。根本的にその役を演じるという意味では映像も舞台も一緒ですが、見せ方やアプローチが違うので、芝居というものの世界が広がりました。舞台は役者同士が密になります。映像はシーンで一緒になる人しか会いませんが、舞台は数か月、毎日顔を合わせるので、そういった意味で先輩たちのお芝居を見ていて刺激を受けましたし、作品への向き合い方が変わりました」
「撮影をしているときから作品への手応えを感じていました。今回、WOWOWで放送したものが劇場版として大きなスクリーンでみなさんにご覧いただけることがとても嬉しいです。長澤まさみさん主演映画の『散歩する侵略者』と併せて楽しんでいただけたら。私はこのドラマの現場に入る前に劇場版を拝見し、ドラマの台本を読みましたが、より一層『散歩する侵略者』という世界観が深く理解できました」
Writing:杉嶋未来
MOVIE
11月11日(土)より新宿ピカデリーほか2週間限定全国公開
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