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公開中の映画『HERO~2020~』。本作は、2012年に上演された舞台『HERO』、そして2019年に再演となった舞台『HERO~2019夏~』の映画版となる。本作で主人公・飯塚広樹を演じる廣瀬智紀は、2012年の初演では松島竜司役、2019年の再演では主演の飯塚広樹役を務めている。『HERO』という作品と長きに渡り向き合ってきた廣瀬に、映画版に込めた思いを語ってもらった。

人の心の温かさに触れることができる作品です

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―― 2012年の初演、そして2019年の再演に引き続き、映画版にも出演となった廣瀬。映画化決定および出演の知らせを聞いたときはどう感じたのだろうか。

「映画化されることが発表されたのは、2019年の舞台『HERO~2019夏~』の初日のカーテンコールのときでした。観に来てくださっていたお客さんたちと同じで、僕たちキャストもサプライズで知らされました。そもそも映画化になるということ自体が嬉しいのに、お客さんたちと同じ瞬間に知ることができて、みんなで喜べたのは本当に嬉しかったですね」

―― 映画版の脚本・演出を務めるのは、舞台版同様、西条みつとし監督だ。初演、再演の脚本を見ている廣瀬にとって、本作の脚本はどのように映ったのか。

「映画版では、北原里英さん演じる浅美とのデートシーンが回想で入っていたので、広樹と浅美のこれまでの2年間がどのようなものだったのかを、より伝えることができるなと思いました。舞台では演出の都合上、少しかいつまんでやっていた部分もあったので、そういう部分を映画版でしっかりと表現できるなと。自分としても、役を作る上で表現の幅が広がるのは有り難かったです」

―― 廣瀬が演じる広樹は、とある秘密を抱え、明日に踏み出すことができないでいる青年だ。舞台版の頃より、西条監督からは「演じるのではなく、役を生きてほしい」とのリクエストがあったという。

「広樹という役は、感情表現が陰というか、内に入る芝居が多かったので、舞台では大げさに表現できないところがありました。西条監督とも、広樹の繊細さをどう伝えるかというのを、一から話しあっていました。舞台版のときに、西条監督からは「広樹を生きてほしい」と言われていましたし、僕としても、演じるのではなく、広樹を生きていないとできない役だなと感じていたんです。とは言っても、役を生きるというのはとても難しくて、自分の中で昇華させるまでに時間がかかりました」

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―― 役を“生きる”ことを意識したと語る廣瀬。しかし、それは容易くできることではないように感じるが…?

「役を生きるのって、時間も必要なんですよね。例えば、『今、その人を生きてください』と言われても、演じはできても生きることはできない。生きるというのは、その人に向き合った時間があってこそのもの。時間を重ねれば重ねるほど、その人になっていけるものだと思うんです。僕は、舞台の稽古期間中も本番期間中も、ずっと広樹のことを考えていました。その時間があったからこそ、映画版で広樹という役を生きることができたと思っています」

―― 本作は廣瀬を始め、2019年の再演キャストが続投しており、キャスト同士の仲が良いことでも知られている。特に印象的だった撮影中のエピソードを聞いてみた。

「映画の撮影中は、他のキャストさんたちと、あえて距離を取っていたんですよ。広樹はパッと切り替えて入り込める役ではなく、先ほども言ったように、ずっと広樹として生きていないとできませんでした。だから、撮影待ちのときも、みんながいる部屋とは違う別の部屋で待機していたんです。みんながいる部屋から笑い声が聞こえてきて、いいなぁって思ったり(笑)。でも、撮影最終日の待ち時間のときに、北原さんがカードゲームを持ってきてくれて、そのときばかりは自分から「それ何?」って話しかけてゲームに参加しちゃいました。最終日だしいいかなって。それまで我慢していた反動もあって、僕が一番楽しんでゲームをしていましたね(笑)」

―― 映画版の新キャストとしては、広樹の父親役に松尾諭、死神大佐役に斎藤工と、豪華俳優陣が名を連ねる。先輩俳優たちの仕事ぶりを見て、廣瀬が感じたこととは?

「松尾さんは同じシーンはなかったのですが、現場でご挨拶させていただきました。広樹の父親役ということもあり、完成した作品を見て、こういう父親を見て、広樹は育ってきたんだなと自分の中でもしっくりきましたし、共演した斎藤さんは死神大佐役として、ものすごいオーラを放っていたので、何度もそのオーラに飲み込まれそうになりました。お二人は撮影期間が短かったんですが、その短い時間の中でパッと仕事をして、颯爽と去っていくお二方の姿を見て、僕にはヒーローのように感じたんです。改めて、すごい俳優さん方だなと思いました」

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―― 本作のテーマにちなんで、廣瀬にとってのヒーローを聞いてみると、迷わず「サッカー選手の三浦知良さん!」と笑顔を見せた。

「カズさん(三浦知良)は、僕がサッカーを始めたキッカケをくれた人で、今も昔も変わらず、僕にとってのヒーローです。僕はサッカーはやる方が好きだったので、観戦することにはそこまで興味がなかったんですが、カズさんだけは別でした。親に頼んで、試合を観に連れて行ってもらっていましたね。いまだに第一線で活躍されていますが、それって本当にすごいことだと思うんです。僕も役者という仕事を始めて10年ぐらい経ちますが、プロは厳しい世界だということを身を持って知っている分、ずっと第一線に居続けるというのは並大抵の努力ではないなと。カズさんが今も活躍していて、ヒーローだと思わせてくれる存在でいてくれていることが嬉しいんです。めちゃくちゃカッコいい人です!」

―― 最後に、改めて本作の見どころを聞いた。

「今のこの情勢の中、映画『HERO~2020~』を公開できるというのは、とても幸せなことです。この作品は、人の心の温かさに触れることができる作品です。悩みや不安なことを抱えている人たちへ、一歩踏み出すキッカケの作品になれたらと思っていますので、ぜひ観ていただきたいです」


Writing:makie enomoto/Styling:小林美月/Hair&Make-up:前川泰之

ジャケット ¥39,000/パンツ ¥29,000 共にネサーンス(エリオット)
※価格は税抜き価格

<お問い合わせ先>
エリオット
東京都目黒区大橋1-6-4 坂本ビル 1F
TEL:03-5708-5757

インフォメーション

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(C)「HERO」~2020~製作委員会

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『HERO~2020~』

公開中!


2年間限定の約束で始まった広樹と浅美の恋。広樹には、こんな約束を言い出さなければならない“秘密”の理由があった。そして2年後、運命の日。怪我で入院中の広樹を見舞った浅美は、彼の別れの決意が変わらないことを知って沈み込む。そんな時、ふたりの幸せを願う広樹の妹・真菜の行動が、入院患者から“死神”まで巻き込んで、とんでもない大騒動に! 果たして広樹の“秘密”とは?

▼公式サイト
https://www.mmj-pro.co.jp/hero2020/



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