「前回の撮影時にブルウィップの扱い方をかなり練習したこともあって、手にした瞬間に『あぁ、これだ!』と感覚をすぐに取り戻せたような気がします。僕からも『ブルウィップを使ったアクションシーンをもっと増やして欲しい!』と監督にリクエストを出させていただいて。玲二が繰り出すブルウィップの技にも、新たなバリエーションが加わっています」
「小越君とは、何年か前に舞台で共演したことがあるのですが、彼は本当にセルフプロデュースが上手い人でして(笑)。祐介のキャラクターに小越君自身が持つ人間性の良い部分が見事に重なって、玲二が祐介とバディを組むイメージが、僕自身もすんなりと掴めました。そういった意味では、前作の「玲二と彰二」とはひと味違う、新たなバディ感が出せているような気がします。玲二と祐介には割と似ている面があるというか、お互いが全てをさらけ出すわけではなくて、どこか探り合うような感覚があるんです。実際、僕たちにも『これは言ったら野暮だな』ってお互いに察したりする部分もあったりして……。小越君とは普段からすごく面白い関係性が築けているので、それを大事にしながらお芝居させていただいた部分もあります」
「ここまで本格的な潜入捜査ができるのは、まさに映画ならではだと思いますし、一つの作品の中でまったく違う二つの役柄を演じさせてもらえるのは、観客の方々にいろいろな僕を見ていただけるチャンスとも言えます。とはいえ、今回僕が演じた国定忠治の口上は、普段使わない言葉や節回しで、そもそも声の出し方からして全く違いました。大見得を切るシーンなど独特な表現も多かったのですが、稽古中に録音させていただいたボイスメモや動画を繰り返し再生して、完璧にマスターしてから現場に入るように努めました」
「スパイス的にコメディ要素を加えることで、クールな紅伊玲二のキャラクターの面白さがより一層際立つという効果もあると思います。『こんな敵キャラと戦わせたら面白いんじゃないか』って、監督がいろいろ考えてくださって、これも昔から僕のことをよく知ってくださっている毛利監督ならではの演出であり、愛を感じた場面の一つです(笑)」
「これも毛利監督が『探夢』に与えてくださった課題というか、ある種のギフトとして僕は受け取りました。連続ドラマならぬ“連続映画”として『探夢』シリーズが続くように後押ししてくださっているのが感じられて、すごく嬉しかった。旧相棒はいまロシアに居て、新相棒の祐介には『マサチューセッツ工科大を2番で卒業した』とか『CIAの誘いを断って紅伊探偵事務所にやってきた』という経歴もある上に、山田ジェームス武くん演じる『謎の男・夢野』が登場したりもする。外国とのつながりを匂わせる要素が沢山あるので、『次は海外で撮影しなきゃいけなくなるんじゃない?』って、僕自身の願望も込めて、あえて口に出すようにしています(笑)。それこそ、いつか紅伊玲二は海外で探偵事務所を開いているかもしれないし、誰かのボディーガードをやっていたりもするかもしれない。皆さんも『探夢2』をご覧いただくと、きっといろんな想像が広がると思います。そういった意味では、僕自身は本作を途中段階として捉えているところもあって。『探偵もの』における『探夢』シリーズの個性を徐々に確立させながら、ゆっくりと伏線を回収して行けたらいいなぁと思っています」
「玲二がいつも身に着けている白のハットとブルウィップには、幼少時代の父との思い出が絡んでいるのですが、紅伊探偵事務所の陰のドンともいうべき、気品あふれる『お婆ちゃま』の孫ということもあって、服装にはこだわりたいと思いました。ネクタイがちょっと曲がっているだけでも気になるくらい、いつもビシッと決めているのが紅伊玲二の着こなしだったりもするので、もし続編があるならば、玲二のメインの一張羅は毎回変えていきたいです。衣装にも注目して楽しんでもらえる作品になったらいいなと思います」
「僕としては、主演映画の主題歌を歌う、というところにも意味があるんじゃないかと感じていて、気持ち的には『廣瀬智紀』としてではなく『紅伊玲二』として歌っています。『このシーンでこの曲が流れてきたらカッコイイ!』という基準で、候補の中から選ばせていただきました。とはいえ、MVの撮影には結構苦戦しました。マイクに向かって歌っている姿を撮っていただくのが気恥ずかしく感じられてしまって(笑)。でも、その雰囲気に慣れてからは周りのスタッフさんもすごく盛り上げてくださったので、楽しんでやることが出来ました。映画の世界観を表現した作品ではありますが、曲単体としても楽しんでいただけるジャジーな仕上がりになっているので、ぜひ聴いていただけたら嬉しいです」
「もともと『探偵もの』とか『刑事もの』には、男が憧れるロマンがあるような気がします。僕は小さい頃から『あぶない刑事』が大好きだったんですが、あの作品って、難事件に挑むバディものでありながら、激しいアクションシーンも魅力だったりしますよね。僕としては『探夢』シリーズでも、そういった世界観が出せたらいいなという思いで取り組ませていただきました。『探偵もの』がお好きな方はもちろん、アクションやサスペンスが好きな方にも、きっといろんな角度から楽しんで観ていただける作品になっているんじゃないかと思います。もし続編があるとするならば、『古畑任三郎』みたいに犯人を言葉で追い詰めていく感じのお芝居にも、いずれはチャレンジしてみたいです」
Writing:渡邊玲子
MOVIE
10月18日(金)公開
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