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2020年の本屋大賞を受賞し、年間ベストセラー1位に輝いた凪良ゆうの小説『流浪の月』を映画化。誘拐犯と被害女児という当事者以外では理解しがたい関係性を繊細に描いた作品だ。横浜流星が演じるのは、かつて世間を騒がせた女児誘拐事件の被害者とされた家内更紗の恋人・中瀬亮。すでに公開されている予告映像も話題となっているが、横浜にとってまさに新境地といえる役。亮という役との向き合い方、初めてとなる李相日監督の撮影現場について話を聞いた。

彼女を守りたいという強い愛情が歪んだ方向に。人間らしい亮を大切に生きました

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―― 2019年に発表された小説『流浪の月』。ひと言では言い表せない複雑で繊細な関係性を切なく美しく描いている。横浜もこの作品に惹かれたひとりだ。

「新型コロナウイルスによる活動自粛期間中に、映画を観たり本を読んだりしてインプットをしていました。そのなかで『流浪の月』というタイトルと、帯にあった『愛ではない。けれどそばにいたい』という言葉に惹かれて手にしたのがきっかけです。更紗と文にしかわからない関係性にひき込まれ、新しい愛の形を教えてもらった気がして、好きな小説のひとつになっていました。更紗や文の目線で読んでいたので、そのときは亮に対して憎いヤツだなくらいの思いでしたね。僕が小説のファンだということを知った李監督から出演のお話をいただいて、改めて亮目線で読み返してみました。すると同じ物語なのに、違った感情が芽生えてきたんです。亮からすると、どうしようもなかったんだろうなと共感できる部分もでてきて…」

―― 小説を読んだ人はご存じの通り、更紗の過去を知った上で結婚まで考えていた亮が豹変し、暴力を振るうようになる。映画では、目をそむけたくなるシーンも。どうしても更紗と文の目線に立ってしまいがちな観客としては、「共感できる」という言葉に引っかかってしまう部分もあるが…。

「小説にしても映画にしても、更紗と文の間にある真実、事実を知った上でストーリーが進むので亮に対しては憎しみや、嫌悪感を抱いてしまうのは仕方がないこと。僕も最初に小説を読んだときはひどいヤツだなと思っていましたから。でも、亮の立場に立って見ると、元誘拐犯が被害者に再び近づいているのだから、彼女を守りたいと思うのは当然の感情です。大切に思っている彼女がまた犯罪に巻き込まれるかもしれない状況にあったとしたら、僕も同じような気持ちになると思います」

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―― 「新聞やニュースで得た事実しか知らない亮にとっては普通の感情」という横浜の言葉にハッとした。更紗と文が幸せなときを過ごしたことは真実だけれど、それはふたりしか知り得ないことなのだ。そう思って映画を見直すと、違った景色が見えてくる。しかし、亮の行為は許されるものではない。

「きっと更紗への愛が大きすぎて、少しずつ歯車が狂っていったんだと思います。大切に思うがゆえに、なんで僕の思いをわかってくれないのか、犯罪者と会うなんておかしいじゃないか…と焦りや不安が増大して愛情が歪んで手を出してしまった。こんなにも思っているのに更紗の心が離れていってしまい、どうしようもなくなって暴力という手段をとってしまった。亮にはその選択肢しかなかったんだと僕はとらえています。悲しみや怒り、焦り…あらゆる感情が入り交じって、どこにぶつければいいのかわからなくなり手が出てしまった。亮も母親に捨てられた過去があって、心に余裕がなくなっていったんでしょうね。DVシーンは、亮のそんなどうしようもない気持ちがあらわれていて、ただの憎たらしい男ではなく人間らしさを表現したいと思って臨みました。殴り方や視線、更紗が出ていったあとの後悔の思い。許されない行為だけれど、仕方なかった…という人間らしさを大切に亮として生きていました」

―― “亮として生きる”その言葉通り、細かな仕草や視線、息づかいひとつひとつが胸をざわつかせる。はじめて文のカフェを訪れたときの亮の言動は、この先の展開を予感させる。

「そうですね。更紗が自分に隠し事をしているけれど、まだ確信を持ててなかったので様子をうかがっているシーンでした。気にしていないふりをして、更紗の視線の先をうかがう。感情のゆれ動きを李監督と細かく話し合いながらつくり上げていきました。他のシーンもリハーサルから時間をかけていただけましたし、順撮り(脚本の最初から順を追って撮影すること)ができたことは役を生きるうえでありがたいことでした」

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―― 亮をつくりあげる、生きるうえで苦労したこととは?

「僕は器用にできるタイプではないのを李監督に見抜かれていて、リハーサルの段階から『役以前の問題だね』と指摘されてしまって。(広瀬)すずちゃんとは初共演だったことと、お互い人見知りだったので、距離があったんです。でも、更紗と亮は同棲をしている恋人同士。結婚も考えている仲なのによそよそしさが出ていたんだと思います。李監督からは『形はできているけれど中身がないね』と言われてしまいまして…。当然なんですよね、広瀬すずと横浜流星として距離が縮まっていない上に、僕は女性に甘えるのが苦手。苦手というより甘え方がわからなかったんです。撮影に入る前にすずちゃんとの時間をつくってくれたり、李監督自ら甘えるシーンを実践してくれたり、おそらく、『ただいま~』と帰ってくる最初のシーンに一番時間がかかったと思います。可愛らしい亮の部分が苦戦しました」

―― 更紗役の広瀬すずとの距離の縮め方は、完成披露試写会などでも話題にのぼった。

「クランクインの前に松本市内をふたりで歩いたり、レンタルスペースで実際にすずちゃんにカレーを作ってもらって食べたり、更紗と亮としての時間を持つことで徐々に距離を縮めることができたと思います。コミュニケーションを重ねることで信頼が生まれ、ふたりの関係性にも深みが増したのではないでしょうか。すずちゃんの存在がとても大きく、頼もしかったです。集中力はもちろん、瞬発力というか爆発力があって、すずちゃんが演じる更紗によって亮でいられたと思います」

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―― 事前の入念なリハーサルだけでなく、撮影時も時間をかけそれぞれの役にリアリティを持たせていく李監督。横浜にとっても刺激的な現場だったようだ。

「経験不足、実力不足を痛感しました。監督をはじめ李組全員がひとつひとつのシーンに魂を込め、命をかけている姿を目の当たりにし、もっともっと亮に向き合い、亮として生きなければと思いました。もっと追い込んでいけるとも思えました。印象的だったのは、答を示すのではなく役者が自分自身で考えるためのヒントを与えることでした。芝居に正解はないけれど、演じながらこれでいいのか?と自問自答しながら亮として現場にいたので、OKをいただけたときは一瞬安心するのですが、すぐにこれでいいのか?とまた考えてしまう。撮影期間中はずっと考えていました。だから終わって『最初はどうなるかと思ったけれど、よかったよ』と李監督から言われたときは、悩みながらやってきたけれど間違いではなかったんだと思えてうれしかったのを覚えています。監督が悩んでいる姿も見ていますし、みんなで悩みながら会話を重ね、時間をかけ感情をつくり上げていけたのは貴重な経験でしたし、幸せな時間でした」

―― 小説のファンだった横浜。映画としての『流浪の月』をどう感じているのだろうか。

「大人になった更紗と文がクローズアップされ、ふたりの関係性がより深く描かれています。人間の奥深くにある感情を描く李監督らしさに加え、撮影監督にホン・ギョンピョさん(『パラサイト 半地下の家族』を撮影)が参加してくださり、苦しい展開ではあるけれど、最後に救いを感じられる素敵な作品になっていると思います。たくさんの方に届いて欲しいです」


Writing:岩淵美樹

インフォメーション

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(C)2022「流浪の月」製作委員会

MOVIE

『流浪の月』

5月13日(金)公開


雨の公園でびしょ濡れになっている少女・家内更紗。家に帰りたくないという彼女を自分の部屋に招き入れた大学生の佐伯文。2カ月もの時を一緒に過ごしたふたりだが、このことで文は誘拐犯に、更紗は被害女児とされてしまう。15年後、偶然の再会を果たしたふたりだが、更紗には同棲中の恋人・亮がいて、文のそばにも一人の女性・谷が寄り添っていた…。

▼公式サイト
https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/

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