「原作を読んだときに、世界観をすごく大事にしないといけない作品だなと思ったんです。ちゃんと原作をリスペクトして、大切に寄り添っていきたいなと。だから、撮影に入る前に、監督、プロデューサーさんと何度も打ち合わせをして、キャスト全員で何度もリハーサルを重ねました。そうやって全員で作品への共通認識を持って、撮影に入れたというのはすごく良かったです。最初は、「階段島をどうやって表現するんだろう、台詞も独特な言い回しが多いから、リアルさを出していけるかな」という不安があったんですけど、そうやって何度も擦り合わせる機会があったことによって、不安を感じることなくクランクインを迎えることができました」
「七草ほどではないけど、僕も悲観主義なところがありますし、感情をあまり表には出さないので、似ているところが多かったです。ただ、七草は高校生ですが、僕は大人になってから七草のような考え方をするようになったんです。学生時代はおちゃらけているタイプで、どちらかというと、七草と同じクラスメートの佐々岡に近かったです(笑)。20歳を過ぎてから、楽しいことだけを考えるんじゃなくて、現実的になりました」
「柳監督の演出の付け方はすごく独特でした。これまでご一緒した監督の皆さんは「笑顔で」とか「もう少し嬉しそうに」という演出の付け方が多かったですが、柳監督は「こういう状況になったらどう思いますか?」というように、僕に考えさせるようなやり方で演出してくださいました。最初は戸惑いもしたんですが、撮影を重ねていくにつれて、それがすごくやりやすいなって感じるようになって。自分でしっかりと考えることで、七草の感情がスッと入ってきました。そういうやりとりから、柳監督はすごく感性が豊かな方なんだなと思いました。だからこそ本作のような美しい映像を撮れたんだなと。こうやってまた新しい監督と出会えて嬉しかったです」
「2つあるんですが、1つ目は真辺と再会するシーンです。予告編でも流れている、真辺が空を見上げているシーンなんですが、あのときに本物の真辺が目の前にいるって思えたので印象に残っています。2つ目は、魔女と会話をするシーン。ストーリー的には終盤のシーンなんですが、実はクランクインの日に撮ったんです。だからより印象に残っています。撮影に入る前に何度も打ち合わせはしていましたけど、いきなり終盤のシーンだったので、気持ちがまだ追いつかない部分もあって苦労しました(笑)」
「最初は、どうしたら島から出られるのかとか、この街の仕組みはどうなっているのかって調べると思います。でも、どうしても出られないって分かった瞬間、諦めますね(笑)。その環境に順応していこうとすると思います。普段の仕事でもいろんな現場がありますけど、すぐ溶け込めるように、順応できるようにって心がけているので、たぶん同じようにすると思います」
「この作品は、登場人物たちがしっかりと自分と向き合って前に進んでいく物語になっています。自分の嫌いなところから目を背けている人もたくさんいると思いますが、この作品を観て、そんな自分と向き合うキッカケになってもらえたら嬉しいです。原作ファンの方にも、納得していただけるような階段島を表現できたと思うので、ぜひ観ていただきたいです」
Writing:makie enomoto
MOVIE
9月6日(金)公開
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