「加藤監督がスターダストのウェブサイトでたまたま私の写真を見て、『あ、この子だ!』と思ってくれたそうです。話を聞いたマネージャーさんから『面白そうな映画があるから』と言われて、出演することになりました」
「漠然とした『普通の女の子』よりも、『可愛いと言われる子』のほうが、サラサラの巻き髪とか、上目遣いとか、イメージしやすい気がします。私の周りはサバサバした子ばかりで女の子っぽい子がいないので、少女漫画に出てくる“ヒロインの好きな男子を奪おうとする“敵キャラ”をイメージしました。普通の作品では、みんなが共感したり、応援したくなる、がんばり屋さんやちょっと可哀想な女の子がヒロインになります。そういう子をいじめたり、出し抜く側を主人公として演じる経験ができてすごく楽しかったです。これを見て、『森川葵、性格悪いんだって…!』と思ってくれてぜんぜん構わないです。性格が良いと思われるほうが、いろいろ大変だと思うので(笑)」
「演じているときは、キリコちゃんが可哀想で、心が痛かったです。キリコちゃんは、根は一途でいい子なのに、自分から同性を寄せ付けないから一人ぼっちだし、彼氏ともうまくいかないし、傷つけられてばっかり。泣いたり過呼吸になったり、苦しいシーンばかりでした」
「(ボーカルの)みこちゃん、可愛かったです。いっぱい話しかけてくれて、優しいな~って。ふぇのたすの曲を自分からお芝居に役立てようとはしなかったけれど、現場でず~っと流れていたので、自然と影響を受けていると思います。私はいつも監督の車で移動していたんですね。車内では、ふぇのたすがエンドレスループ状態でした。そのせいか、公園で遊ぶシーンの本番前には自然と「おばけになってもすきだよ♪」って口ずさんでました」
「例えばキリコが同じ会社の茜ちゃんとパピコを食べるシーンとか、誰も泣いていないのに、なぜか監督だけが感情移入して、しくしく泣いているんです。本番中に。他のスタッフさんは『なんで監督は泣いてるんだろうね?』って言い合う感じ。『これって監督のことですか?』って聞いたら、『ん? 違うよー』って言ってましたけど、たぶん監督の実体験がいろいろなキャラクターにのせて描かれているんだと思います」
「女の子にとって〈可愛い〉は正義だし、食べ物みたいなもの。この世界から〈可愛い〉がなくなったら、女の子は死んじゃうと思います。ただ、その〈可愛い〉は、男の人が「女って、ぬいぐるみとかピンク色とか、可愛いものが好きだよね」という視点とは違うんです。女の子はこの世に存在するすべてのものを〈可愛い〉かそうじゃないかで判断できるんです」
「だから、キリコちゃんが甘くて可愛い食べ物を食べたい気持ち、わかります。シーンはこの映画のテーマだと思いますし、実際においしいものが食べられたし、あのシーンは大好きです。ぜひ劇場へ、大音量の咀嚼音を聞きに来てください(笑)」
Writing:須永貴子
MOVIE
2月14日(土)新宿シネマカリテほか全国順次公開
23歳のデザイン会社勤務の過食症OL・キリコ(森川葵)。性格は最悪だが、彼女の取柄はとにかく「可愛い」ということ。職場の男達にはちやほやされ、女の子には嫌われているが、女の子の価値は可愛いことがすべてと信じて日々送るキリコには何も怖い物はない。しかしそんな日常が、思わぬ恋敵の出現と初めて自分を認めない男との出会いをきっかけに少しずつねじれ始めていく…。pagetop
page top