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三池崇史監督の最新作『極道大戦争』で若きヤクザ・影山を演じた市原隼人。一流の映画人たちが“ヤクザ・ヴァンパイアに噛まれた者はみなヤクザになってしまう”という驚愕の設定×正統派ヤクザ映画の精神を、個性的なスパイスを盛り込んで大胆にリミックス。情熱をたっぷり注いで撮り上げた本作で彼が得た“映画創りの真骨頂”とは──。

役者としての力量を試されているところもとても刺激的でした。

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―― 本作で市原が演じる主人公・影山は、昔ながらの極道精神を貫く神浦組組長(リリー・フランキー)の漢気に惚れ込み彼の元で構成員となる一本気な青年。ある日突然襲いかかってきたヒットマンにより神浦は命を落とすが、神浦は今際の際になぜか影山に“噛み付き”後を託す。そう、実は神浦はヤクザ・ヴァンパイアだったのだ!! かくして組長の意思を引き継いでヤクザ・ヴァンパイアとなった影山は、受け入れ難い自身の運命と向き合いながら神浦の敵をとるべく強大な敵へ闘いを挑むが……。『極道大戦争』、この映画はとにかく未見の人にどんな映画かを説明するのが不可能というくらいオリジナリティー溢れる快作である。俳優として、まずはどのような心持ちで撮影に挑んだのだろうか。

「三池監督の作品であり、素晴らしいアクション俳優であるヤヤン(・ルヒアン)さんが出ることも決まっていて、その上で台本を読んで思ったのは“これは間違いなくボーダーラインを壊すような作品になるな”ということ。物語としても、例えば若い組員の組長への想いというようなところだけでも充分ひとつの作品になり得ると思うんですが、この映画はホントにその設定すら小さく感じるくらいのぶっ飛んだ発想でしたね。“噛んだらヤクザ”“噛まれたらヤクザ”。登場人物もみんなキャラクターが立ちまくっているし、観ていただければわかりますけど、そこにさらにカッパは出てくるわ、カエルは出てくるわ(笑)。さすがに自分も始めはどうなるのか全く想像できなかったです。でも『極道大戦争』という世界観の中の概念に入るとカエルもだんだん着ぐるみに見えなくなってきて、ほかの役者さんとお芝居しているのと同じような感覚になり…そういうところがこの作品の独特の空気感で、ホントにもう現場はテーマパークのような雰囲気でした。今度はこの乗り物、次はこの乗り物…って、みんなで暴走している感じでした」

―― 映画の現場自体、久しぶりの参加でもあったが…。

「そうですね。三池組ですし、始まる前からスゴく楽しみだったんですけど、やはり撮影中は“現場は生モノ”っていう言葉がぴったりで、役者も技術チームもそれぞれが生き生きとしていました。職人気質というか、それこそお金とかじゃなくみんなが“これを創りたいんだ”っていう思いのもとで集まって、ひとつも馴れ合いがない。みなさん三池監督に信頼されている分、基準以上のモノを出してやろうって荒ぶってもいるので、一見するともう現場はメチャクチャ。まさに“現場大戦争!”(笑)。楽しかったです。作品に携わっている選任で同じベクトルに向かい試行錯誤しながら枠を超えていこうとする現場はいいなぁ、こういう現場がもっと増えればいいなぁと、改めて思いましたね」

―― ぶっ飛んだ設定と荒ぶる現場の熱気の中、ある意味不器用に極道魂を貫く影山のテンションを保つのは、逆に難しかったのでは?

「撮影はその日行くまで次にどんなことをするかわからないんです。脚本に書かれてるのはホントに骨組だけなので…とにかく現場でどんどん模索していく。アクションもギリギリまで話し合いながら手を付けていったり、監督に突然“ここでなにか言ってみて”と振られてひたすらいろんなことを言ってみたり(笑)。変な動きとか間合いとか、自分で考えてやった部分もたくさんあります。そういう遊び心、役者としての力量を試されているような部分もとても刺激的でしたね。でも基本は全員野放し(笑)。だからこそ、しっかり自分が責任を持っていなければいけないので…自分はまずはこのいろいろとぶっ飛んだ設定と一見クレイジーな人物像も、お客様に自然と受け入れられるように伝えるのが一番最初の仕事だなって思いました。ヤクザを演じるのは初めてでしたが、武士道にもつながる大義を持って黒い世界で生きる究極のアウトローがヤクザ。今ではもうそういうことができなくなっているような世の中で、あえて自分の看板を背負って生きる姿はすごく印象的でしたし、非常に人間臭いなと。また、周囲の俳優さんたちも予想できないようなお芝居をされるので、そこに対して僕の影山もどんどん変わっていったし…でんでんさん、リリー(・フランキー)さん…とにかくみなさんスゴいんですよ! そんな中で目の前に許容範囲以上のことが巻き起こっている時の影山の目とか姿勢とか、すごく好きですね」

―― 百戦錬磨の役者が集い、人間ではない生き物も次々に登場。イマジネーションの部分でもレッドゾーンを軽く振り切った世界観でありつつ、力強く地に足をつけた人間味溢れる映像がもたらす視覚への説得力も備える本作。さすが三池組、「これぞ日本映画」という匂いがプンプンする。

「いいですよね。この、まさに日活!という昭和の時代を彷彿とさせる映像の強さ。そして、任侠はもちろん、笑いもあって、テンポの速いところもあるし、アクションもモノ凄いですし…いろんな別の世界のモノがひとつのステージに集まったお祭りのような世界は圧巻です。しかもそれがなにか原作があるモノではなく、すべてオリジナルですからね。ホントにこの『極道大戦争』は映画っていうジャンルを使い切った作品だと思いますし、間違いなくみなさんも今まで感じたことのない世界がここにあるんじゃないかと。僕も撮影中はずっと子どもが“見ちゃダメだよ”って言われているのについついそっちに行っちゃって、ついついあれこれのぞきこんでしまうような気持ちで現場に通っていて(笑)。その間は作品のためにはどんどん身を削っていきたいって気持ちしかなかったですね。寒い、熱い、痛い、ハード、カエル? 着ぐるみ? よし、行くぞって(笑)、なにひとつ苦になりませんでした」

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―― “とにかく観なくちゃわからない”。そんな、映画という娯楽が本来持つべき大きな魅力に満ちた一本、だとも。

「映画を愛する職人たちがプロ意識を発揮してものすごくパワフルに撮り上げているので、いつの時代に観ても色あせることのない、流行り廃りのない力を持った映画になっています。三池さんが居酒屋で話していたところから始まったっていうエピソードもまた、映画ってそういうもんじゃないかなぁって思いますし。 全体的には“誰か止めなくていいの!?”っていうくらいハチャメチャだけど(笑)、メッセージ性もちゃんとあって…でも、観るときはそんなこと考えずにとにかく楽しんで観てもらえたらそれで充分だと思います。もちろん僕も難しいことなんにも考えず、ずーっと笑いっぱなしで観てました。2時間ちょっと、ホントにあっという間でした」



Writing:横澤由香/Photo:小林修士(kind inc.)

インフォメーション

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(C)2015「極道大戦争」製作委員会

MOVIE

『極道大戦争』

6月20日(土)全国ロードショー


敏感肌の半端ヤクザ、影山亜喜良は、 最強伝説を持つヤクザの親分、神浦玄洋に憧れヤクザになった。 ある日、毘沙門通りにやって来た謎の刺客たち。 その圧倒的な強さに神浦と影山はなすすべもなく倒れる。 最期の力を振り絞り、神浦は影山の首元に噛み付いて叫ぶ。「わが血を受け継いで、ヤクザ・ヴァンパイアの道を行け!!」。超人的能力を身につけた影山の敵討ち。商店街を襲う恐るべき血の連鎖。 影山最後の決戦を迎えようとした時、大地が揺れ、奴がやって来る――。 そして、神浦の力を受け継いだ影山の完全覚醒の時が迫っていた……!!

▼公式サイト
http://www.gokudo-movie.com/

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