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2020年も話題作への出演が続く仲野太賀の最新主演作『泣く子はいねぇが』が11月20日(金)に公開される。秋田県・男鹿半島の伝統行事ナマハゲを題材に描く人間ドラマで、仲野は娘が生まれても父親の自覚を持てないでいる青年・たすくを演じる。是枝裕和監督に才能を認められた気鋭の佐藤快磨監督とタッグを組んで得た感覚を中心に、本作への思いを聞いた。

監督の稀有な才能に触れ20代のうちに経験したいと思った作品

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―― 佐藤快磨監督とは、2016年の短編『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』以来、2度目となる。

「振り返ってみれば、一番最初に佐藤監督とご一緒したのが、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』という短編映画で、その撮影が終わったタイミングで、「次、監督何やるんですか」って聞いたら、「ナマハゲの映画を撮りたくて」とおっしゃっていました。僕は「そうなんですね。実現できたらいいですね」と言っていたんですけど、その後、3、4年前にオファーをいただきました。まさか僕にお話をいただけると思っていなかったので、嬉しさはすごくありました。短編映画のときも監督が書いた脚本は面白かったですし、上りも良かったので、いつかやれたらいいなと思ってたんですけど、改めて、監督がお話をくれたときに、とてもいい形でスタートができそうな気持ちでした」

―― 佐藤監督から台本を渡され、その完成度の高さに驚き、心を動かされたという。

「ナマハゲの映画としか聞いていなかったのですが、いざ本を読んでいると、ものすごく丁寧に作られていて、家族の再生の話であるし青春の終わりも感じさせるような作品だと思いました。実際にある事件を最初はモチーフにしたそうなんですけど、そこから監督なりにいろんな思いを巡らせて、ひとりの青年の成長物語になっていました。読ませていただいて、なんていい話なんだって思いました。オリジナルというところにも驚きましたし、こういった作品をすごく丁寧に描ける人は稀有だと思って、僕自身の年齢もそうですけど、20代のうちに、やっておきたい作品だなと思いました。監督と一緒に撮れるなら、良いものが生まれるだろうという実感というか確信がありました」

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―― たすくは仲野に当て書きされた。そのたすく役の印象は?

「たすくの選択一つ一つに対しては、脚本を読みながら、何でそんなことするんだろうって思ったんですけど、根本的なたすくの人間性については共感できました。それは多分、自分が今、誰かと結婚をして、子供を持ったとしても、自分が理想の父親になれるかといったら自信がないですし、今自分が独身で抱えている感覚の延長線上にたすくはいるからだと思います。たすくは若くして父親を亡くしていることもあって、父親とは何かが、一番わからない感覚でもある。僕もそうです。想像しようとしても理想の姿を描けないし、そういうところは全部共感できました。でも、たすくなりに、奥さんにも娘にもちゃんと愛情があったっていうことは確かなわけで。また、未熟なところとか人生に何か甘えてるところも共感できました。等身大の役なんだと思います。たすくの失敗を経て僕自身が学んだのは、映画の冒頭から思い返してみると、たすくは逃げ続けていたし、楽な方、楽な方に行こうとしていて、何か問題に直面することをずっと避けていたような気がします。もちろんそうしても生きていけるし傷つかないで済むんですけど、立ち向かっていかないといけないことは確かにあるなと。そこから逃げては駄目だし、自分のためだけではなくて、誰かのために生きる時間も必要なんだろうなって思いました」

―― たすくを演じる上で、役作りはどのようにしたのだろうか。

「青年の大人と子供のはざまを行ったり来たりしているような感覚でした。自分自身では、自覚のなさというか、そういうものを意識して演じられたらいいなと思っていました。自分が正しいと思っていることと、世間とのずれだったり、そういう甘さみたいなものが、魅力的に映ればいいなと思いましたし、かつ、演じ方によっては考えられないぐらい身勝手な青年になりかねなかったので、そこが結構難しくて。作品から一歩引いてみたら、どうしようもない男だなと思えるんですけど、見る人にとっての境界線が必要だなというのは感じていました。それをどうするかってなったときに、たすくという男の切実さみたいなものを大切にするしかないのかなと思って丁寧にやったつもりです」

―― 佐藤監督の演出には大きな刺激を受けたようだ。

「監督とは結構話したと思います。頭から最後まで疑問に思うことはぶつけていたし、監督自身、演出がとても丁寧で、99%折れなかったです(笑)。いや、折れた瞬間もどうやら何回かはあったようですが(笑)、基本的には自分の意思を貫いて、現場にいてくれたので、それはすごく役者としても安心感があって、やりとりはとても細かかったんですけど、その細かい演出一つ一つにこんな面白い演出があるんだって感動があったので、やっていてすごく楽しかったです。監督の演出は、すごく抽象的なんです。印象としてはセオリーを嫌うところがあって、こういうシチュエーションでこういう思いでいたら、こうなることが物語を進めていく上では、いいだろうという正攻法みたいなものが、どの芝居でもあるはずなんですけど、そこから何ミリかずらしていくという作業があったんですよね。そこがたすくの個性になりましたし、この映画を通しての空気感を作ったようにも思っていて、微妙なずれみたいなことや、着地どころをぼかすあたりが監督の面白いところでした。わかりやすさを全く求めてないというか、監督自身が演出する上での言語みたいなものに対して、僕は監督と相性がばちっと合って、微妙なニュアンスでやり合えたかなというのが楽しかったです」

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―― クライマックスは、ナマハゲの面を被ったたすくの叫びに心揺さぶられる。

「僕が一番最初に台本を読んでやってみたいと思ったのが、顔が見えない状態で、父親としての痛みだったり、愛情みたいなものを表現することでした。役者として一番情報量が多いものは顔や表情ですし、それが奪われた状況で、どうやったら表現できてるんだろうっていうのは一番の課題でもあって、やっぱり難しかったですね。ナマハゲを演じている、たすくの叫びは、いろんなものが含まれてるし、多分一言では言い表せないような複雑さがあると思います。それは甘かった自分への決裂とも言えるし、後悔だったり、悔しさだったり、悲しさだったり。失われた時間じゃないけど、なかった時間を取り戻すような叫びでもあると思っていて、それを自分の声の叫びだけで表現するのは、なかなか難しかったです。どう映ってるのか自分でもわからないんですけど、一生懸命演じました。みなさんがどう受け取られるのか、気になります」

―― このシーンでは、剥き出しのままの、生の感情を生み出すための演出が施された。

「クライマックスのシーンは、撮影の後半に撮ったんですけど、とんでもない緊張感の中でやったし、みんなもそこに賭けていました。いかに自分自身でリアリティを持って演じられるかっていう中で、やっぱ全部が全部作り物なので、そこを保つのはすごく難しいんですけど、出来る限りのリアリティのある状況をスタッフさんが作ってくれて、ありがたかったです。とにかく痺れる現場でした。素晴らしかったです、本当に。そんな贅沢な時間、こういう贅沢な場はなかなかないなって思います。出せるものを全て出し尽くした感覚でした」

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―― 大人になることって何だろうと考えさせられる作品だが、仲野は大人という概念についてどう考えているのだろう。

「僕自身、大人になったなという感覚もあるけど、まだ子供だなと思うこともあります。でも、この感覚は10代後半でも思ったことですし、20代前半でも思って、今も思っているという感覚です。大きな変化が起きるときはあるのか。でも、自分自身でわからないところで見えてくるんだろうし、どう見られているかわからないんですけど、やっぱり自覚の問題ですよね。大人と子供って何なんですかね。僕もわからないですね。気づいたら、40歳になっているかもしれないし。でも、周りの大人とか先輩が全然中身が変わってないっていうのもわかるし、きっとこういう感じで僕も歳を経ていくんだろうなって思って。漠然と20代って想像するじゃないですか。大人とは何か、大人ってこういう感じとか。きっとたすく自身も何か変わると思ったと思うんですよね。子供ができて、明確に何かが変わると思っていたと思うんですけど、でも、そうならなかった。そんな自分自身への戸惑いもあったと思います。大人か大人じゃないか判断されるので、本当にちょっとした誤差だと思うんですよね。細かいところの選択の違いのような気がしていて、それを無視し続けたたすくと、そうじゃない人となると思うんですけど、難しいですよね。あれが大人だみたいな定義はわからないし、僕自身、今はそこには興味はないかもしれません」

―― たすくの成長物語だけでなく、また違う側面での見どころも語ってくれた。

「たすくの成長物語とも言えるんですけど、でも、もっと広い見方をしたら、一度道を踏み外した人間が、一つの社会の中でもう一度やり直そうとする話でもあって、そう思うと、他のキャストの方々が演じたたすくを取り囲む人々が、いかにたすくを受け入れるかの話だったりもしています。最後の吉岡里帆さん演じる妻のシーンでは、受け入れることを描いています。甘えた男の成長物語でもあるんだけど、逆に甘えさせた人間の話でもあると思っていて、その寛容さじゃないけど、誰しも正しい道ばかり行っているわけではないし、歩んでいるわけではないんですよね。でも、どんどん社会が寛容じゃなくなっていく中で、そういう一人の人がちゃんともう1回受け入れてもらえるようなお話にもなっているような気がしていて、誠実ささえあれば、もう一度、一歩踏み出すこともできる。多分また春が来るっていうことだと思います」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

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『泣く子はいねぇが』

11月20日(金)公開


日本の一地方都市である秋田の港町、雪の降る男鹿半島。娘が生まれ現実を見据える、妻ことねに対してたすくはいつまでも父親の自覚を持てないでいた。そんなたすくに愛想をつかすことね。大晦日の夜、「悪い子はいないか」とナマハゲが闊歩する男鹿の街。その最中、全力疾走する全裸のナマハゲが生中継のニュース番組で全国に放送されるという事件が起こる。そのナマハゲの正体はたすくだった――。大人にも、父親にもなれずに逃げ出したたすくは、失った家族を取り戻すことができるのか。

▼公式サイト
https://nakukohainega.com/

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