「今まで学生役をやらせていただくことが多かったので、今回まさか27歳の役……という感じでした。しかも27歳が17歳の姿になって1年間高校生をやるという。でも「これはもしかして自分にしかできないかもしれない」と思ったんです。僕、割と上の年齢に見られることが多かったので(笑)。
難しかったのは自分の中にある現役高校生の感覚ですよね。なので一回その感覚を一切排除するところから始まりました。身の回りのそのくらいの世代の方とお話をしたり、観察したりしながら作っていって…。特に夜明了役の千葉雄大さんにはいろいろお世話になりました。ただ千葉さんは見た目が若いのでその辺はあまり参考にはならなかったけど(笑)、やっぱり気持ちの部分では勉強させていただきました。「10年前の高校生活というものを27歳はどれくらい覚えているのか」とか「どういう文化で育ってきたのか」とか。漫画とか音楽とか、実際画面では伝わらなくても、知っておくだけで違うと思ったので。そうやって27歳の感覚を自分の中に少しずつ入れていった感じです。
27歳も17歳も、中身は変わらないと思うんですよ。もちろん成長はありますが、軸になる部分は変わらないと思う。だからどちらかというとこだわったのは映像的な変化。メイクさんと試行錯誤しながら作っていきました。」
「それは“しっかりしてる風を出してる”っていうだけです(笑)。本当に、風(ふう)です。結構人の世話を焼きたがるタイプじゃないですか、海崎は。僕も、人に何かをやってもらうのも嬉しいですけど、どちらかというと何かをやってあげたい気持ちのほうが強くて。相談をするより聞いてあげたい。そういうところは海崎と似てるなって思います。」
「青春=ダッシュ!! 今回の映画でもダッシュのシーン、めちゃめちゃ多かったんです。なんか、走るって青春ですよね(笑)。疾走感というか勢いというか。雨の中走るシーンがあるんですけど、そのシーンはすごく青春を感じ取れるんじゃないかなと思います。実は撮ったのは11月の仙台だったので、寒くてブルブル震えてましたけど(笑)。しかも夏のシーンだから薄着で、水もキンキンに冷えていて、芯から冷えました。撮影期間約1か月で四季を表現するのは大変だなぁと思いました(笑)。」
「本当はあまり自分でも自信がないんです。10年後、27歳の僕は何をやっているのか。役者をやってるかな、やっていればいいですけど、もしかしたらどっかで辞めようと思っているかもしれないし。ただ僕は今、この仕事がすごく楽しいので、将来この仕事を続けていけたらいいなとは思います。自分にこの仕事以外に何かあるか……と言われたら何もないですし(笑)。ずっとこれだけをやってきたから。漠然とですけど、思うのは「誰かに憧れられる存在」になれたらな……と。少し下の世代の人たちに「あの人かっこいいな」とか「あの人みたいになりたいな」って思われるのって、すごく大変なことだと思うので。」
「この映画は特定の世代に向けたメッセージというより、色々な人に共感してもらえるんじゃないかなと思っていて。もちろん今まさに高校生をやっている人にもそうだし、20代、30代、40代っていう大人の人が観ても、懐かしい気持ちになれるというか。もしくは海崎と同じ世代の、社会人になったけど、なかなかうまくいかなくて自信を無くしかけている人たちとか。
今現在つまづいている27歳の海崎が10歳若返り、これから社会に出ようとする高校三年生をもう一度やらせる意味で、一体何をつかんだのか。さっきもお話しましたが、海崎が元から持っているものは17歳でも27歳でも変わらないと思う。ただ自分が正しいと思ったことを発信したら社会にはねられてしまった。自分の中にあるものに自信を失いかけていた海崎がもう一度自信を取り戻す、怖いもの知らずだったあの頃の自分を思い出しながら……。本当に色々な観方ができると思います。『リライフ』という実験の意図をそれぞれの方に感じてもらえたら嬉しいです。」
Writing:西澤千央
MOVIE
2017年4月15日(土)公開
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