「恋愛ものはやらせてもらったことはありましたが、少女漫画が原作のものは初めての挑戦となります。姉がいて、姉の少女漫画を読んだことはありましたが、少女漫画を最初から最後まで読んだのは、「きょうのキラ君」が初めてかもしれません。女の子にしかわからない、刺さらない表現があると思うし、男だと見えにくい感覚があるのかなと思ったんですけど、読み込んでしまいました。読む前は、少女漫画って目を背けたくなるところ、汚いところは、描かないのかなと思っていたんです。きれいな部分だけ見せてファンタジーっぽいのかなって。「きょうのキラ君」は、そうではなくて、リアルな人間の深いところの感情がしっかり描かれていて、だからこそ、読みいってしまいました」
「実は泣き虫であるという、そこがまさにキラの魅力なんですよね。ニノにしか見せない弱さだったり、表情だったりがたくさんあります。でも、泣きのシーンが多くて、難しかったです。キラはクラスの中心にいて友達がたくさんいるけど、子どもの頃から孤独な人です。友達がたくさんいるからこそ、より孤独感が際立つというか。計り知れない恐怖と戦っていて、寂しさを抱えていて、撮影中は感情のコントロールが大変でした。とことん暗い映画ならいいんですけど、根底に孤独を抱きつつも、この作品は恋愛のキラキラ感も描くので。今を全力で生きようとするキラとニノの笑顔が、観る人の印象に残ったらいいなと思います」
「涙もろいところは似ているかもしれません。映画を観たり、現場のクランクアップの日とか、別れのときよく泣いてしまいますね。高校の卒業式がもうすぐなので、泣くと思います(笑)。あと、嬉しいときも感極まって泣きます。子どものころから、それは変わりません」
「二次元というか、漫画だから成立する表現の仕方があって、僕たち人間の役者が一から十まで実写化をすることは不可能ですし、映画は映画として面白くしないといけないと思いました。原作の台詞回しに関して言うと、漫画の中の表現の仕方なので難しかったです。いかにお客さんにすっと入ってもらうか。台本を読んで、芝居をする中、次はあのセリフがくるぞ、くるぞと大事なところで構えてしまうとできなくなってしまうので、現場ではキメ過ぎず、自然なトーンで成立させられるようにしようと意識していました」
「ニノはキラのために本当に一生懸命でかわいらしいと思います。一生懸命さが空回ってしまうのもまたかわいくて。放っておけない女の子です。キラがクリスマスプレゼントで手袋をあげるんですけど、家の中で手袋をしながら日記を書いているシーンのニノが最高にかわいくて、胸キュンしました。キラが見てないところでも、あんなに喜んで大切にしてくれて僕も嬉しくなりました」
「“カーテンの刑”…(笑)。このシーンも苦労しました。正解を見たことがないので、みんなで手探りで、どうしょうかって言いながら撮影をしました。カーテンがどう巻きついたらきれいに見えるかとか、二人のシルエットがすけて見えるにはどうしたらいいんだろうって、あの手この手を考えながら、頑張りました。大々的に取り上げられて、恥ずかしいです(笑)。でも、とてもインパクトがあってキャッチーなシーンなので、楽しみにしてほしいです」
「映画の中ではじめて過去を振り返り、ニノに自分の気持ちを伝えて、初めて素直になるシーンがあるんです。一人で殻にこもってつっぱってきたけど、ぶわっとほどける。お芝居的に難しいシーンですが、撮影的にも過酷な状況で…(笑)。すごく寒かったんです。2月の真冬の中、上半身裸で海のそばで撮影をしまして、ロケを組む季節を間違えたんじゃないかって思いながら(笑)、感情的なシーンに挑んだので印象に残っています」
「そばにいる人の大切さを立ち止まって考える機会は多くないと思います。この映画をきっかけに、自分の大切な人の存在を改めて認識してもらえたら。大切な人との、当たり前な時間は、実は当たり前ではなくて、実はもっともっと儚いものというか、いつどうなるかわからないですからね。映画を観たときに、大切な人のことを思ってほしいです。思いを伝えたいと思ったときに、伝えたほうが絶対後悔しないですから。そして、逃げないこと。恋愛だけでなくても、どんなことにも壁はありますよね。大切な人とならこんなに力を出せるんだって勇気を感じてほしいです。胸キュンもあって、感動もある、とても温かい映画になったと思います」
Writing:杉嶋未来
MOVIE
2017年2月25日(土)公開
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