「『にじいろカルテ』では看護師という役どころでしたが、今回は医師役なので、医療作品といっても大分、感覚としては違うなと思います。今は働き方改革によって、「ナイト・ドクター」のように交代制のシフト勤務をしているお医者さんが実際にいらっしゃいます。正直、僕も本作のお話がきてから、今の世の中はこうなっているんだと初めて知ったんです。基本的に、人が働くのって朝から夜にかけてが多いと思うので、こうやって頑張ってくださっている医療従事者の方々がいるんだということを知れて、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりましたし、医療従事者の皆さんがこんなに大変な思いをして日々、過ごしているということを少しでも多くの方に知っていただけたらと思いました。そんな作品を、今の世の中に向けて出せるというのがすごく意味のあることだと感じています」
「脚本を読んだときに、本当に面白いストーリーだと思いました。医療作品は張り詰めた空気感のものが多いと思いますが、本作ではすごくポップなところもあり、それでいて医療シーンはかなり生々しく、リアルに描かれています。第一話は「ナイト・ドクター」が結成された当日からストーリーが始まっていきますが、当たり前ですけどその日から仕事がスタートするわけで、「まだ初日なのに…」とかそんな生半可なことは言っていられないんですよね。現場にいる以上、医師の経験が1年目だろうと5年目だろうと責任は変わらない。人の命を預かる仕事ですし、演じるほどに本当に厳しい環境だなと感じました」
「役作りで意識しているところは、桜庭がひとりでいるときと、他のドクターといるときの表情の差です。桜庭は「ナイト・ドクター」の中ではムードメーカーという立ち位置ですが、そもそもは陰の人間なんです。桜庭自身が抱える問題によって、人よりも自分には何かが足りていないという気持ちを持っている人。そんな中でも自分自身を変えるという目的のために「ナイト・ドクター」に入ってきているので、桜庭にとっては大学デビューの感覚に近いのかもしれない。陰な人が頑張って明るくしているというか。だからこそ、パッと見は陽のキャラクターだけど、ひとりでいるときは陰になるという、そのバランスは演じていて難しいと感じます」
「医療に関する用語などが書かれた資料をいただいたので、それを見て勉強していました。手術シーンなどの手元も実際に僕たちの手を映しているのですが、それは現場でプロのお医者様に指導していただきながら撮影しています。ただ、僕が演じる桜庭と、岸優太くんが演じる深澤はわりとポンコツなので(笑)、そこまで難しい作業はしていません。もちろん、ストーリーが進むにつれて成長はしていくので、そこも見守っていただけたらうれしいです」
「本当に和やかな現場で、みんなが岸くんをいじっています(笑)。特に(田中)圭さんと岸くんはすごく仲が良いので、いつも一緒にいるんですよね。だからなのか、最近は2人の言動などが似てきているなと感じます(笑)。ちなみに僕は、そんな2人を見守っているポジションです!」
「岸くんが、芝居について僕に相談しにきてくれたりすることがあるのですが、僕も岸くんが演じる深澤という役柄を一緒になって考察しているんですけど、自分が演じるわけではない役を考察するのは、これまでやったことがなかったので新鮮です。岸くんと一緒に考えていると、「あ、そういう捉え方もできるのか」とか「このシーンはこうやっていけるかもしれない」と話し合うことができて、すごく楽しいんです。2人で一緒に考えた芝居プランを現場に持っていったら、監督からも「その角度から来るか」と言われるときもあって、この現場ではそれが面白いなと思います。1人の役者としてだけ考えたら、自分だけで100%になる芝居をすればいいけど、そうではなくて、現場にいる役者全員の力で100%になった方がいいんだなということを、岸くんと役を考えているときに改めて感じました」
「夜の9時というと、たくさんの人が観やすい時間帯ではありますが、その分、パッと見のわかりやすさが大事になってくると思うんです。テレビはチャンネルをすぐに変えることができてしまうので、視聴者の方に、今は何のシーンなのかがはっきり伝わることを大切にして作られています。僕はどちらかというと、映画での芝居経験が多いのでスタンスが映画寄りになってしまうのですが、ドラマの現場では「もっと大きく」「もっとはっきり」と言われることが多いんです。同じ芝居でも映画とドラマというだけで全く違うものになってくるので、奥が深くて面白いです」
「タケミチって全然カッコよくないんですよ(笑)。そして、感情の出し引きがすごくスピーディー。僕はもともと、主人公が弱い設定の漫画はあまり好きじゃなかったんですけど、それでもタケミチには惹かれたんです。それはたぶん、ダサくても何度でも立ち上がるタケミチの姿勢がちょっと自分と通ずるものがあるなと感じたからだと思います。読みながら「もう僕じゃん!」って思っていましたし(笑)。実は映画『さくら』の撮影期間中に『リベンジャーズ』のお話をいただいたんですけど、(吉沢)亮くんと話しているときに、「匠海がタケミチをやるなら、俺もマイキーやる」と言ってくれていたんです。僕もマイキーは亮くんしかいないと思っていたのですごくうれしかった。さらにその流れで、亮くんも「俺の隣はやっぱり(山田)裕貴しかいないから」と言って、ドラケン役が裕貴くんになったり、いっそん(磯村勇斗)も僕がタケミチをやるならと参加してくれたり。そういう本当にある友情がそのままキャスティングに反映されているところがこの作品ならではだなと思います」
「僕は、原作モノと呼ばれる作品を役者がやるときには、2つの選択肢があると考えています。ひとつは、映画として脚本を信じるか、もうひとつは原作ファンの方への思いを重視して完全に漫画を再現するか。僕もみなさんと同じ原作ファンというところは大前提にありますが、僕は、漫画と映画はまた別の作品となるし、実写化で漫画をそのままやっても面白くないんじゃないかなと考えるタイプなんです。だから、僕自身も“原作ファン”というのは大切にしたいのでもちろん核にありつつも、現場に入ってからは脚本しか読みませんでした。脚本から得られる情報を信じて、それを全てにしようと思ったんです。キャストもスタッフも『リベンジャーズ』が好きな人が集まっていたので、必死にやっていたら絶対に良いものができるだろうと確信していましたね」
「アクションシーンはスタントもなしにやったので、タケミチが痛がるシーンは僕も本当に痛かったです(笑)。体中、傷だらけだったけど、でもそのタケミチが味わった痛みを、僕も味わいたかった。キヨマサに殴られて溝高のみんなで正座するシーンも、撮影がスタートしてから終了するまで、ずっと正座したまま一歩も動かなかったんですよ。タケミチが感じた屈辱をそのまま僕も感じたいと思ったので。時間でいうと約5~6時間でしたね。溝高のみんなも僕についてきてくれたので、みんなで6時間ぐらい正座しっぱなしでした。そうやってタケミチの気持ちを身を持って体験しているからこそ、特殊なことをする必要はなくて、痛ければ痛いし、面白ければ笑うし、悔しいことがあれば悔しがって、そのままの感情を出すことを大事にしました」
「僕は亮くんと一緒に初号を観させてもらいました。観終わったあとに、亮くんと「僕らの世代で戦えるものができたね」と話したんです。僕たちは『クローズ』に憧れていた世代だったので、上の世代の方たちが繋いできたバトンをちゃんと受け取って、僕らは僕らで作りあげて、僕らの世代はこう提示しますという気持ちが、観てくれた方に伝わったらいいなと。本作の撮影は、クランクインしたのが去年の自粛前、そしてクランクアップしたのが今年の1月なんです。コロナで2回も撮影が中止になる中、ずっとクランクアップするまでキャスト、スタッフ全員の作品にかける想いが高く保たれていて、気持ちが全く途切れなかったんですよね。だから、ぜひ劇場でそんな僕らの熱量をそのまま感じてほしいです」
Writing:makie enomoto
TV
6月21日(月)より放送スタート
毎週月曜よる9時~
フジテレビ
※初回30分拡大
MOVIE
7月9日(金)公開
負け犬フリーター=タケミチの元恋人ヒナタが殺された。pagetop
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