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北村匠海 映画「明け方の若者たち」公開記念舞台挨拶!
同作は、Twitter での”妄想ツイート”が話題となり、10〜20代から圧倒的な支持を獲得したウェブライター、カツセマサヒコ氏の長編小説デビュー作の映画化。映画、TV、MV、広告、写真と幅広いジャンルで活動中の若手の旗手、松本花奈監督がメガホンをとる。
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」
東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。
下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり・・・。
世界が<彼女>(黒島結菜さん)で満たされる一方で、社会人になった<僕>(北村匠海)は、〝こんなハズじゃなかった人生″に打ちのめされていく。
息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現実。夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだったあの頃。
でも僕は最初からわかっていた。
いつか、この時間に終わりがくることを・・・。
大都会・東京に生きる若者が突然出会った人生最大の恋と、何者にもなれないまま大人になっていくことへの葛藤が描いた同作で、北村は主人公の<僕>を演じている。
上映前に行われた舞台挨拶にて北村は、「本日は朝からこんなに沢山の方に観ていただけるということでとても幸せです。公開してから数日経っての舞台挨拶なので、沢山の感想や思いみたいなものが届いているのですが、僕は今日初めて“ああもうこの映画は僕たちの手を離れていってしまうのだな”という寂しさを実感しています。どうか最後まで楽しんでください。」と挨拶。
年末年始はどのように過ごしたか?という質問に、「年末は大規模な歌合戦に参加していました。年末の思い出というと本当にそれしかないのですが、年始は実家に帰って飲み正月みたいな感じでした。元旦の朝からやっているテレビ番組を観ると、“ああ今年も始まったということは、1年があっという間に過ぎていくので、今年も終わったな”と思ってしまいます(笑)。」と明かした。
続いて、同作の撮影や公開を振り返り、「同世代の若者でこの『明け方の若者たち』という映画を作れたという思いが撮影中も強くて、大学の映画サークルの自主映画を作っている感覚というか、そういう空気の中で密度の濃い作品を作っていたなと思います。2、3週間くらいの短い期間の中で、本当に何度も何度もみんなで明け方を見ながら撮影して、“また明日も会える”と言っている間に終わった印象です。僕自身が思い出深い場所で撮影をしていましたし、劇中で流れる曲も僕がいわゆる青春という時代に聴いていた音楽でした。そして、この映画の撮影期間の駆け抜け方もまた青春に近いものがありました。」と語った。
同作を監督した松本花奈と以前共演経験がある北村は、松本について、「あのときは中学1年生から2年生に差し掛かるくらいで、言ってしまえばあのドラマの撮影期間もある種のマジックアワーだったなと、現場で当時中学生の僕たちが、いっちょ前に芝居について語っているという、なんともイキり散らかした人たちが集まった楽しい現場だったんです(笑)。当時震災をまたいでの撮影だったので、その日はみんな家に帰れなかったんです。その中で、日活の撮影所に子供たちだけで泊まったりして、そういう時間を過ごした仲間と一緒に映画を作れて嬉しかったですし、自分が高校生くらいのときに“監督をやっているらしいぞ”というのが回ってきて凄いなと思っていたので、やっと念願が叶ったと感じました。また、この映画の話が決まる前に偶然下北で会って、“一緒にやれたらいいね”という話をしていたので巡り合うものだなと思いました。監督として居る現場の姿を見て、こっちも誇らしいというか、本当に同世代の仲間なので凄いなと思って見ていました。」と振り返った。
新入社員の<僕>の同期で後に親友となる<尚人>を演じた井上祐貴さんから、“予告で<僕>がシャワーヘッドを壁にバーンとやって感情的になるシーンがあるが、(北村が)本当にケガをしていた”という裏話が明かされ、「シャワーヘッドで壁を叩くんですけど、テストも本番でもない段取りのときに、僕は段取りとはいえ本気でやるというタイプなので、やってみるかと思って、何も言わず本気を出してやったら見事に血だらけになってしまいました(笑)。爪が半分無くなってしまったのですが、でもこれが<僕>の痛みだよなと思って、爪に透明の絆創膏を貼って疑似の爪を作って撮影していたので、実は途中から爪が無いです(笑)。」と話した。
その後、2022年の抱負は?またどのような一年にしたいか?と問われ、「いっぱい失敗できたらなと思います。去年、役者としてもバンドとしてもいろいろと得たものが多かったんです。だからこそここで一回立ち止まって、いろいろなことを学び直すということを1、2年かけてやろうかなと。抱負としては地味に生きます(笑)。芝居だけではなくて、人の言葉だったり、いろいろなことを今一度学び直さないと、10年後とか20年後、中身のない人間になりそうな予感がしたので、ここは一度身のぎっしり詰まった“かにみそ”のようになりたいです。2022年は“かにみそ”です(笑)。」と答えた。
そして最後に、「僕もこの映画のキーワードになっている“人生のマジックアワー”という時間が、思い返せばあの頃だったなと思ったりします。それはたぶん、ここに来てくださっている皆さんの人生の中にもきっとあるんだろうなと思います。この映画を観たときに、一つの出来事を見ているはずなのに、不思議とみんなが違う角度から自分の思い出を共有できて、そんな映画はなかなか無いなと感じました。また、思い出という言葉も、“思”というのは田んぼの田に心を耕すみたいな、耕した心をこうやって人に初めて話したりするから“思い出”という形になるんだなと思いましたし、そういういろいろなものを共有して、カツセさんから始まった思い出の共有リレーみたいなものを“こんなことあったね。あの頃あんなだったな”と振り返ったり、でもそれは人それぞれ自分が主人公の道があって、僕は皆さんの人生は歩めないですし、皆さんも僕の人生は歩めない、きっとそれぞれの人生が日々積まれていく中での一瞬を切り取った映画です。皆さんがこの先、日々こんな世の中を生きていくのも大変だけど、もしかしたらいまがマジックアワーで、こんな時間も笑い飛ばせる日がいつか来るかもしれないですし、自分が歩む道、そして歩んできた道を今一度振り返ったり、前を向ける映画なのかなと思います。この後ぜひ楽しんでください。ありがとうございました。」とメッセージを送った。
映画「明け方の若者たち」は絶賛全国公開中。
ぜひお楽しみください!