
2013年1月8日更新
1月クールの連ドラ「とんび」や、4月からの舞台「レミング 世界の涯まで連れてって」など、続々と出演作品が発表されている常盤貴子。1月26日には主演作であるメ~テレ50周年特別ドラマ「ゆりちかへ ママからの伝言」がオンエアされる。余命宣告を受け、幼い娘の将来に向けたメッセージを一冊の本にして残した実在の人物、テレニン晃子さんを常盤はどう演じ、観る人たちに何を届けようとしたのだろうか。
最大の魅力は、晃子さんの生き方の美学

── 原作は、福岡県の主婦、テレニン晃子さんが綴った著書「ゆりちかへ ママからの伝言」。ロシア出身の夫と結婚し、妊娠中の2006年に脊髄のがんを発病しながらも娘ゆりあちゃんへの伝言や闘病の日々を綴ったこの本は、7万部を売り上げた。
「原作を読んで、『ありがとう』の気持ちでいっぱいになりました。晃子さんは亡くなられたけれど、たくさんのハッピーを残してくれた。晃子さんは、いろいろな人と関わり合いながら、影響を受けて、助けられて、元気をもらって、様々な決断をしていった人。母親から出産を反対されたときも、『お母さんみたいな〈お母さん〉になりたいから産みたい』と決断したように、決して自分だけで決めているわけじゃないんですね。ゆりあが産まれてからも、ちゃんとゆりあを見て、彼女のために答えを出している。そのときそのときをちゃんと大事にできる人なんだな、と思いました。」
── 実在の人物を演じることにプレッシャーはなかったのだろうか。
「フィクションで創作されたキャラクターより、実在の人物を演じるほうが私は好きです。なぜならすべてが事実だから、フィクションのようにありえないことのつじつまを合わせる必要がないので演じやすいんです(笑)。晃子さんが唐津出身というのも大きな手がかりになりました。『唐津にはこういうタイプの女性が多いからこう演じよう』という分析的・理論的なやり方ではなくて、唐津の気候や自然、空気感をイメージしながら感覚的に演じていく。言葉にするのは難しいのですが、『晃子さんは唐津の女』ということは、演じる核の部分にありました。」
── 晃子さんを演じる常盤を観て、現場を見学に来た晃子さんのお母さんが「雰囲気が似ている」と涙をこぼす一幕もあったという。
「私も泣きそうになりました。お母様のこの言葉は私の支えになり、クランクアップまで晃子さんのポジティブパワーで乗り切ることができました。」

── 晃子さんは、ゆりあちゃんにたくさんの言葉を残していく。自分がこの世からいなくなっても、自分が書いた本を通して母親である自分の想いを伝えるために。その中で、常盤は「世の中には合う人も合わない人もいるのは当然で、そういう人に出会ったら、もう逃げちゃいなさい」という言葉が心に残っているという。
「『どうしても合わないなら逃げちゃえ!』という考え方は、『できる! 私にも!』と思いました(笑)。それを正直に言葉にする晃子さんの潔さも大好きです。私も相手に合わせようとして苦しんだ記憶があります。『なんでわかってもらえないんだろう?』というむくわれない思いもありますし、つらいですよね。でも、自分とはまったく違う生き方をしてきた人に、自分の価値観に合わせてほしいと願うのは、相手の生き方や人格を尊重できていないと思うんです。それよりも『逃げるが勝ち』、『合わないなら無理に交わらなくていいや』と思えるようになったのは、年齢も大きいと思います。」
── 晃子さんからゆりあへの想いだけでなく、晃子を思う母親の想いも描かれる本作。ただ優しいだけではなく、娘を愛しているからこそ厳しくぶつかりあう母親に、ただの仲良し母子とは違う深い強い繋がりを感じた。
「お母さんとのシーンは、かなりピリッとしました。夫の亮太やゆりあに対しては『こういう風に言ってあげよう』といった思いやりをもてるのに、お母さんに対しては自分をとりつくろえないし、本能が剥き出しの状態でした。だから芝居なのに台詞が痛かった。しかも、十朱さんという大先輩が本気でぶつかってきてくださったので、なおさらでしたね。ビンタをされる芝居で、思わず本気で『痛い!』と声に出してしまったのは初めての経験です。ほんっとに痛かった(笑)。自分の周りを冷静に見回してみても、親子関係に悩んでいる人たちって意外と多くて、〈母親と娘〉は特に多い。それが現実だと思います。親はやっぱり親だから、どんなにもめていても最終的には、娘に何かあったときは助けてくれちゃうものだし、そこで親を頼るのは悪いことじゃないと思うんです。だからもう、娘は娘という座にアグラをかいて座っちゃっていいんじゃないかな(笑)。晃子さんはゆりあの将来を、お母さんに『お願いね』って託します。亮太を含め、いちばん信頼できる人なんですよね。」
── 闘病という部分がクローズアップされがちだが、物語で伝えたい部分は別のところにもあるという。
「晃子さんの美学は、今回のドラマの最大の魅力ではないかなと思います。哀しいときに哀しい顔をする、つらいときにつらさを見せるのってすごく簡単。そういうそぶりを見せずに頑張ることが、人としてかっこいいと晃子さんは思っているし、私もそう思います。もしかしたらそれは私たち世代の特徴なのかもしれない。つらいときに元気でいる自分のほうが自分らしいと思えるし、もっと頑張れる。晃子さんの場合は、そこでゆりちか(ゆりあちゃんの愛称)のために日記を書きました。私もつらいときにどん底でずっと泣いているよりも、頑張る方を選びたい。」

── 家族への愛情が描かれる本作を、「女性はもちろん、家族みんなで見てほしいです。あと、子どもにもぜひ、見てほしい」と常盤は言う。
「自分の母親がどれだけ自分を愛してくれているかなんて、子どもは絶対に考えないので、そういうことこそ、ドラマを観ることで自然と吸収してもらえたらなって思うんです。流し観してもらえるだけでいい。大人になって母親との関係を見つめるときに、『あ! なんかこういうドラマ観たな』という感覚になってもらえれば万々歳です。このドラマの記憶が頭のどこかにひっかかってくれて、困難に直面したときの行動のアイデアになったらいいなあと思います。」
── 東京、小田原、沖縄と、様々なロケ地で撮影が行われた本作。現場が東京のシーンでは、常盤は自分の愛車を運転して通ったという。そこには彼女なりの仕事に集中するための、リズムの作り方があった。
「20代の頃は、マネージャーに車で送り迎えをしてもらっていたんですけど、自分がよくわからなくなったし、ストレスも溜まってきたので、30歳を過ぎた頃、自力で現場に行きたいと頼みました。マネージャーの車に乗せてもらうと、電車通勤の方もそうだと思うけど、寝ちゃうんです。そうすると、顔がズルンてなっちゃうの(笑)。だけど、朝起きてから意識をクリアにしておくと、顔が上がってくるのがわかる。終わってからも、好きな音楽を聴いたり、たまたま放送されているラジオを聞きながら、自分で運転して帰る時間で、ちゃんとニュートラルなポジションに一度戻れることがすごく大切です。ただ、連ドラのように時間的にハードな現場では、ちゃんとマネージャーに送ってもらおうと思っています(笑)。」
Writing:須永貴子/Photo:奥山智明
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メ~テレ50周年特別ドラマ「ゆりちかへ ママからの伝言」
1月26日(土)よる9:00~テレビ朝日系列で放送
原作:
テレニン晃子「ゆりちかへ ママからの伝言」(幻冬舎文庫刊・書肆侃侃房刊)
田島安江 「もう一冊のゆりちかへ テレニン晃子さんとの日々」(幻冬舎文庫刊)
出演:
常盤貴子 田辺誠一 中村ゆり ・片平なぎさ・ 柴俊夫 泉谷しげる 十朱幸代
妊娠中に末期ガンが発覚したテレニン晃子さんが、娘のゆりあちゃんのために書きつづった本「ゆりちかへ ママからの伝言」のドラマ化。恋、友だちづきあい、勉強、お金、おしゃれ、セックスについて、娘への想いをこめて書きつづる晃子と母親、そしてロシアからの帰国子女の夫との愛情のやりとりとぶつかりあいを描く。

(C)名古屋テレビ放送
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