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2014年1月31日更新
注目の若手女優がまた一人誕生した。『人のセックスを笑うな』の井口奈己監督の最新作『ニシノユキヒコの恋と冒険』に出演する中村ゆりかだ。演じるのは、稀代のモテ男である主人公のニシノユキヒコ(竹野内 豊)に翻弄されて戸惑う女子高生・みなみ。みなみは、ストーリー展開のカギを握る役であり、大きな役割を果たしている。今作で、観る者に鮮烈な印象を与える中村ゆりかに作品についてや役作り、そして今後の目標などを聞いた。
ニシノさんが本当の愛に出会うのはいつなのか。誰もが気になってしまうと思います
── オーディションに受かって出演が決まったそうですね。オーディションではどんなことを?
「演技を見ていただく、というよりは、父や母のこと、そして普段どんなことに興味を持って何をしているのか。そういった日常のお話を、監督やプロデューサーさん達としました。手応えですか? 全然なかったです(笑)。出演が決まったと聞いて、びっくりしました。もちろん、嬉しかったですが」
── 台本を読んだ印象は?
「普通の女の子なんですけど、どこか現代的な女の子とは違っているなと思いました」
── 自身とみなみは似ていますか?
「演じながら分かったことですが、自分とみなみちゃんは性質が近いんだと思います。私はもともとのんびりしているというか、てきぱきしていなくて(笑)、そこが似ているのかなと。でも、劇中のみなみは言いたいことをけっこう言っているので、そこは違う気がします。私は、みなみみたいにはっきり言えないタイプなので」
── 監督とはどんな話をしましたか?
「そのままの私でいてほしい、と言われました。演出は、その場その場で変えていらしたと思います。現場では、監督のイメージと、私のイメージを少しずつ重ねていく作業でした。監督は、役者を待ってくださるし、引き出しを作ってくださる方でした」
── みなみと言えば、登場してすぐ食べようとする「おにぎり」が印象的。それがものすごく大きくて目がくぎ付けに(笑)。
「実際すごく大きくて、重たかったです(笑)。通常のおにぎり4個分だとかで。お米自体大きくて、水分も多くて、へばりついていたからか、なかなか二つに割ることができませんでした」
── みなみが、中に具が入っているかどうか確かめるシーンですね。
「割れるか割れないかが面白いんですよね。この巨大なおにぎりを一体どうやって握ったのか…お父さんがみなみのために毎日握ってあげているんですけど、お父さんはこれしか作れなくて」
── みなみの食生活を含めて、おにぎりひとつにたくさんのドラマが詰まっていたし、このシーンでみなみにがっちり心を掴まれました(笑)。
「それはすごく嬉しいです。このシーンは、初日に撮ったんです。いろいろと手探りしながら演じました」
── このシーンで、監督の演出は具体的にありましたか?
「おにぎりの具を確かめるまでのリズムを言われました。時間にしてけっこう長いんですよね。3口食べて具を確かめないといけなかったんですけど、おにぎりの山の部分が大きくて大変でした」
── ほか印象に残っているシーンはありますか?
「竹野内 豊さんが演じられているニシノさんと一緒に歩き回るシーンですね。10年ぶりにニシノさんと再会して、どんな距離感で接したらいいんだろうとか、年齢差とか、いろいろと考えながら演じたので印象深いです」
── ニシノを演じた竹野内さんの印象は?
「とても優しくてユーモアもお持ちの方で、みなさんから憧れられる存在の方なんだなと思いました。竹野内さんと言えば、とんびのお話が印象に残っています。撮影で鎌倉の江の電に乗っているとき、とんびがたくさん飛んでいたんです。そのとき、竹野内さんが、『江ノ島の海岸でメロンパンを食べていたら、とんびに取られたんだ』っておっしゃっていました(笑)」
── (笑)現場の雰囲気がすごく良さそうですね。
「はい、すごく良かったと思います。阿川佐和子さんとの共演シーンが多かったのですが、阿川さんはとても優しくて素敵な方で、現場の空気を和らげていらっしゃいました」
── この映画は、井口監督らしく、長回しが多く、非常に映画的でした。井口監督ならではの、長回しを体験してどうでしたか?
「面白いなって思いました。長回しによっていろんな表情が観られるんだなって。パッパッっと切り替わる映像はリズムがあっていいと思いますが、長回しの場合はゆったりと映像に向き合える気がします」
── 瀬田なつき監督や今回の井口監督など、映画界の気鋭監督とお仕事をしていますが、映画やお芝居の魅力はどう感じていますか?
「作品によって考えることが違いますし、現場でいろいろな考えが生まれるのが面白いと思います。これから現場ごとにいろんなことを考えていけたらいいなと思います。そして、楽しめていけたらいいなとも思います」
── 難しさはどう感じていますか?
「すべて難しいです。簡単だと思ったことは、一度もないですね」
── これからどういう女優になっていきたいですか?目標があったら教えてください。
「私、素がぼんやりしていて…(苦笑)、まだ明確なものは作り上げられていないんです。まだ中途半端なんです。これからその穴を埋めていけたらいいなと思っています。頑張ります!」
── 16歳の女の子として夢中になっていることはありますか?
「何に対しても夢中になっています。何にでも興味を持ってしまうんです、たとえば、身近な子が最新のゲームを持っていたりすると、いいなと思ってしまいます(笑)。実際に買ったりはしないんですけどね。でも、一番夢中になっているのは、お芝居ですね。今まで嫌だなと思ったことは一度もないですし、いろんな役に関わっていけたらなっていう興味も強いです」
── 役作りはいつもどのようにしていますか?
「自分の中でイメージを作ります。作らないと持っていけないので。半分は作った状態にして、半分残して、監督の要求に応えつつ、一緒に考えていけたらいいなと思っています。監督のおっしゃることに、イメージをつなげていくことを意識しています」
── 最後に。この映画の主人公、ニシノユキヒコような男性はどう思いますか?
「ニシノさんは、女性にモテるけど最後は振られてしまう。ニシノさんが本当の愛に出会うのはいつなのか。それが分からないから、気になってしまいます。それはみなみだけでなく、誰もがそうなんですよね。みなみの場合は、最初は複雑な背景があるので固い表情を見せていたけど、最後の方はニシノさんにほろっとよろめいていた気がします(笑)」
Writing:杉嶋未来
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『ニシノユキヒコの恋と冒険』
2月8日(土)全国公開/東宝映像事業部
川上弘美の同名小説を、『人のセックスを笑うな』の井口奈己監督が映画化。真実の愛を探してさまよう稀代のモテ男、ニシノユキヒコの姿を、彼と恋愛関係をもった女性たちの視点から描く。ニシノがみなみ(中村ゆりか)の前に突然現れ、みなみは彼と行動をともにする。そして、みなみがサユリさん(阿川佐和子)からニシノユキヒコと恋におちた女性たち(演じるのは尾野真千子・成海璃子・木村文乃・本田 翼・麻生久美子ら)とのエピソードを聞いて、物語が進行していく。
(C)2014「ニシノユキヒコの恋と冒険」製作委員会
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