「撮影は最後まで緊張の日々でした。お芝居で気をつけなければいけないことが常にあったので、自分にちゃんとできるかどうか不安で、リラックスするのは難しかったです。でも、みなさんがずっと気にかけてくださって、『カスミちゃん』と役名で声をかけてくださったことが嬉しかったです。自分の居場所がありました」
「みんな普通に日常を生きているけれど、やっぱり、それぞれに抱えているものがあるんだなって。自分の迷いや悩みが、誰かの一言があったおかげで整えられて、その言葉が自分にとって大きなものになる。そういうことが描かれていると思いました。例えば、笑子さんがマツコロイドに出会ってやりとりするシーンでの言葉。その言葉はとても胸に刺さりました。作品全体のなかで一番印象に残ったシーンです。誰でも自分の居場所について不安になることってあるし、そこで誰かが『ここにいていいんだよ』と言ってくれることが支えになるし、救われる。本当に、この作品には大事な言葉が詰まっているなと思います」
「カスミはそれまで、家族から求められることに応えようとして自分を犠牲にしていたと思うんです。人に迷惑をかけないように、あまり感情を表に出さないように生きていた。あの言葉を言われて、自分が流されていることに初めて気づいて、それまでの生き方から解放されて、救われた。あの言葉は自分にとってとても大切な言葉になりましたし、このドラマを観ている人にとってもそうなると思います」
「みなさんのお芝居を間近で見られる貴重な機会なので、自分が出ていないシーンでは、ずっとモニターを見ていました。特に凄い! と思ったのは、台所で笑子さんが口から牛乳をこぼしたときに、鷹子さんが『なんで?』という表情をしてから、少し怒りみたいな感情が見える表情に変化するところです」
「監督から、違うところは『違う』と、すごく丁寧に、慎重に、指導してもらいました。本当にお世話になりました。この作品を経験して思うのは、セリフをただ言うのではなくて、そのときの感情を、作ろうとしなくても自然に出したい。相手のセリフをちゃんと聞いて、そのときに感じたことをセリフにのせる。心の中に思っていることはいろいろあって、それを表面に出さないけれど、観ている人に『この子、何か感じるものがあるんじゃないか』と思ってもらいたい。そんなことを意識するようになりました」
「まだ18歳の私が経験していないことがたくさん描かれていたとは思います。でも、自分がその立場になったらどうするだろう? と考えさせてくれる脚本でしたし、自分もこの作品のなかの人たちのように感じてみたいと思わされました。例えば、私は結婚してないですし、子どももいないけれど、ミムラさんが(演じる三女の月美が)言う、『あたしは限られた時間のなかで家族と生きていく』というセリフにもジーンと来ました」
「私も心が軽くなりましたし、大丈夫じゃない時に、『大丈夫じゃない』って言えるようになりたい(笑)。あまり考え過ぎないようにはしているんですけど、たまに気を張っている自分に気づくときもあるので、うまく息抜きをできるようになりたい。私にも、『そんなに頑張らなくてもいいんだよ』と言ってくれる人がいるので、そういう言葉を大切にして、頑張るときは頑張って、頑張らないときは頑張らない。そのバランスをうまく取れるようになりたいです」
「『富士ファミリー』でカスミ役ができて本当に良かったと思っています。今後については『なるようになれ』という感じです(笑)。お仕事をいただけるのは本当にありがたいことですし、いただけるのであれば、お仕事に専念したいと思っています。その覚悟はできているので、未来に進んでいく道は、少しずつ定まってきているのかなと思います」
Writing:須永貴子
TV
2016年1月2日(土)21:00~NHK総合にて放送
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