「20才の誕生日に写真集を出しちゃう?という私の軽い一言がきっかけでした。もともと、写真が好きでいつかは出したいと思っていたのですが、20才の記念に出せたらなと思って。最初は“早見あかりとは?”というところからスタートして、私が好きなこと、嫌いなこと、楽しいこと苦手なことなどを話していきました。私のなかで決めていたのが雪の中での撮影と、子供と一緒に撮影したいということ、そして写真だけにはしたくないということでした。編集の方を中心にたくさん打ち合わせをしたことで、自分が作りたい!と思っていたものがちゃんと形になって、最初で最後の写真集になったとしても悔いの残らないものになりましたね」
「子供の頃から雪を見るとテンションが上がるんですよ。コレという理由はないんだけど雪が大好きで、絶対に雪の中で撮影したいなと思っていました。子どもたちとの撮影も、念願叶ってのこと。昔から子どもが好きで、将来は幼稚園の先生になるのが夢でした。本気で幼児教育を学ぶための大学や専門学校への進学も考えていたほど。写真を撮られていることを忘れてしまうほど普通に子供たちと遊んでいました。ホント、素のままです(笑)」
「実は海が苦手で。といっても遠くから海を見たり写真を撮るのは好きなんです。ただ、砂浜が嫌いで近くまでは行きたくないなって(笑)。そんな話を打ち合わせの時にしていたら、『きれいな海を見たことがないからじゃない?』とスタッフさんたちに言われて、じゃあきれいな海を見に行こう!まだ行ったことのない沖縄へ!となり、石垣島へ行ったのですが、着いたら台風で……。頭の中に描いていたイメージとは残念ながら違ってしまいましたね。傘をさしている写真があるのですが、石垣島に到着した日に撮ったもので、リアルな雨なんですよ。シュノーケリングで魚を間近に見れたのはいい経験でしたし、感動しましたが、海というか砂浜への苦手意識は克服できませんでした」
「正直、初めて台本を読んだときは意味が分からなくて何度も繰り返し読み、ようやく結末の意味を理解しました。ファンタジーなので、文章だけで追っていくと分かりにくいところもあったのですが、映像になることで分かりやすくなっているなと完成した作品を観て思いましたね。私が演じた織部あずさは家族にさえも存在を忘れられてしまうのですが、そのことをのぞけば普通の高校生。難しく考えず、好きな人と一緒にいられることが嬉しい!という気持ちを表現できればいいのかなと思って演じていました。タカシ役の(村上)虹郎くんとは感性や考えていることが似ているなと感じることが多く、一緒にいて楽でした。それもそのはずで、実は誕生日が同じだったんです! 私のほうが2才年上なのですが、初めて会ったときからラフにつき合えて、お芝居も呼吸が合うというかとっても演じやすかったですね。監督の指示に対して、それはちょっと違うんじゃないかなと思う点も合致することが多くて、3人でよく話し合いもしました。監督も私たちの意見をしっかり聞いてくださったので、みんなでひとつの作品を作り上げていく充実感を味わえました」
「虹郎クンが撮影したものを本当に使っていて、ふたりで自由に撮影したので自然な表情が撮れました。ただ、自撮りをするシーンがあり、それは難しかったですね。普段はカメラの前で芝居をして、あとからモニターでチェックをするのですが、実際に芝居をしている姿を見ながらというのが初めてで。しかも泣きのシーンだったのでプレッシャーもあって……。でもこの時は、あずさの気持ちにすーっと入れて自然と悲しくなり涙が止まらなくなったほど。カットがかかってもずっと泣いていました。とても印象的なシーンになったなと思っています」
「私、とっても忘れっぽいんですよ(笑)。ひとつ新しいことを覚えるために、ひとつ捨てていく感覚なのかな。忘れちゃうから、タカシとあずさじゃないけど、私も写真をよく撮るんです。何気ない日常でも写真におさめておくと、見返したときにふわっとその時のことがよみがえってくるんですよね。写真集でも自撮りをしたものをのせているのでチェックしてください!」
「20才になっても何も変わらないし、あまり実感はないかな。子どもの頃から、自分のことを別の自分が見ているというか、冷静に客観視してしまうところがあって。人任せにしたくないっていう思いもあり、芸能界に入ることも普通の高校に進むことも、決断するときは自分の直感を信じてやってきました。自分の人生だから、自分が納得しないとダメなんですよね。頑固なんです、私。ただ最近は、自分よりも10年、20年と長く生きている先輩たちのアドバイスは経験をもとにしたことなので間違っていないし、ヒントになるなって気づきました。それは20才になって大人になったのかなと感じるところですね。これからの目標というか、理想は同性からカッコいいと思ってもらえる女性になること。柴咲コウさんが私にとっての憧れですね。女優としてはハマり役を作りたくない、いい意味で裏切っていきたいなと思っています」
「どちらも10代最後の私がそこにいます。写真集は本当に充実した内容で、生まれた時から20才までの私が凝縮されているので、少しでも私のことを知ってもらえたら嬉しいです。映画は今そばにいる人を大切にしたいなと思えるお話です。家族や恋人との時間は当たり前にあるものではないんですよね。誰かの記憶に残れることって、とても素敵なことだし奇跡なのかなって。そういう見方をしてもらえると、映画館を出るときに悲しい気持ちにならないかもしれません」
Writing:岩淵美樹/Styling:梶雄太/Hair&Make-up:青山理恵(nude.)
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