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『百円の恋』で日本アカデミー賞を受賞した脚本家の足立紳が、自身の夫婦生活を赤裸々に綴った小説『喜劇 愛妻物語』を自ら脚色し、監督した。足立監督の分身ともいえる主人公の豪太は、売れない脚本家で、年収50万円。結婚して10年になる恐妻に罵倒されてもニヤニヤヘラヘラしているダメ男。そんな豪太を演じる濱田岳に、役柄へのアプローチや撮影のエピソード、作品への思いを聞いた。

豪太役へのアプローチは、男同士が飲み会で傷を舐めあう感覚でした

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── 足立監督が豪太役を濵田にオファーした理由のひとつが、濵田が2011年に主演した『ポテチ』(中村義洋監督)での、車の中で泣き笑いするシーンが印象に残っていたからだという。

「そのことは、撮影が終わってから知りました。こういうところでも僕は中村監督と繋がっているんだな、中村監督との繋がりが他の仕事に繋がっているんだな、と思いました」

── フラットに脚本を読んだ感想は「面白い!」「参加したい!」でも「ちょっとがっかり」。

「台本が一冊の面白い読み物になっていました。小説を読んでいるときのように、情景が浮かんで、ワクワクする感覚がありました。そして、水川あさみさんが“恐妻”を演じると想像したときに、1人の客としてテンションが上がりました。これは間違いなく面白い映画になるから参加したいと思いました。でも1つだけ、ちょっとしたがっかりしたことがあったんです。主演映画と聞いて胸踊らない俳優はいないわけですが、いざ蓋を開けてみたら『俺の役はこれか……』と。せっかくならカッコいい役で主演したいですからね(笑)」

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── 豪太はいわゆるダメ男。売れっ子脚本家への嫉妬心だけはいっちょ前に抱くくせに、それをエネルギーには変換せず、怠惰な日々を送っている。そんな男だから妻に愛想を尽かされてセックスレスだというのに、懲りずにセックスチャレンジに挑み続ける。同じ1人の男として、この愛らしいダメ人間を演じる上での「愛らしさ」と「ダメさ」のさじ加減の配合は?

「冷静に自分を振り返ると、人はいいところと悪いとこがあって当然だと思うんですね。僕のダメな部分は豪太と一緒ではないけれど、わからなくはない。『俺はそこまでしないけど、お前の気持ちもわかるよ』という、男同士が飲み会で傷を舐めあう感覚でのキャラクターへのアプローチは新しい経験でしたし、楽しかったです。僕が彼を褒めてあげないと、誰も褒めてくれない状況だったので、頭のなかで豪太とディスカッションしながら、僕が彼を好きになっていくイメージした」

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── チカ役の水川あさみさんとは、09年に『今度は愛妻家』(行定勲監督)でカップルを演じたことがある。

「あのときは甘酸っぱくてかわいいカップルだったんですけど、今回の夫婦にはその成れの果て感があってすごく楽しかったです。行定さんにはとても言えないですけど(笑)。水川さんはあのときも今回も、台本に対して誠実な方。こんな台本こそ、ふざけてやっちゃダメなんです。水川さんが誠実に台本に向き合うだけでコメディになるから、共演する女優さんとして、ものすごく頼もしかったです。水川さんご自身は、雨が降っていても水川さんの周りだけは晴れているような、太陽のような人。そんな人が現場にいてくれることは、一番目に名前が出る僕としてはとても心強かったです。監督は豪太と同じでヘラヘラしたえびす顔(笑)。2人が温かい空気を作ってくれたので、僕は現場で何一つ気を遣う必要はなかったです。娘・アキ役のちせちゃんも、僕と水川さんのことを普段から『パパ』『ママ』と呼んでくれて、自然と家族にしてくれました。ちせちゃんも助けてくれたので、いよいよ何もしていないです僕は(笑)」

── とはいえ何もしていないということはないわけで。

「どんな球でも取る責任はあるので、そこが唯一の仕事のチャンスではありました。どんな名投手もキャッチャーがいなければ試合には勝てないので、水川さんの素晴らしい球を一球たりとも取りこぼしてはなるものかという枷を、勝手に自分に付けていました」

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── 夫婦が交わすライブ感のあるやりとりの台詞がほぼ台本に忠実というところに、2人の俳優の技術の高さがにじみ出る。

「監督の実体験の面白さが詰まっているものなので、台本に忠実に。現場で感じたものを出すのも大事ですけど、リアルには敵わないですから。ほぼ順撮りでスケジュールを組んでくれたので、日に日にチカちゃんのフラストレーションが溜まっていくから、同じ「死ね」でも毎日違うんです。僕はほとんど台詞がないので、水川さんのテンションに対して『あー』とか『うー』とかゴニョゴニョ反応していました。振り切ったコメディだったら、あれだけ畳み掛けられたら『過呼吸になる』という選択肢もあるわけです。でもこの映画は、そういうコメディではなくて。豪太は、いくら被弾してもヘラヘラしているゾンビのような気持ち悪さのある人物なので、一球一球ちゃんと受けながら、リアクションを微妙に変えていかないといけない。そこが難しさであり、楽しさでした。水川さんは大量の台詞を覚えるのが本当に大変だったと思います。僕は撮影が終わったら夜は高松の居酒屋を楽しむことができるくらいの台詞量だったので、それもまた水川さんの怒りの芝居のエネルギー源になったかもしれないです(笑)」

── クライマックスは夕日が照らす川沿いで、家族3人が阿鼻叫喚の泣き笑い。そこで見せる豪太の形容し難い表情と、家族を抱きしめる腕の不自然な力の入り方に、「これはただのハッピーエンドではないぞ…?」という余韻が残る。

「ネタバレにすらならないと思うので言うんですけど、僕のなかではあの表情には裏話があって。監督に、『一緒に旅をしてくれたチカちゃんが、豪太のことでノイローゼ気味になるほどつらい思いをしているのに、なぜこの男は最後に泣くんですか?』と。ト書きに『泣く』とあるけれど、僕の読みの浅さなのか、豪太が泣く理由がわからなかったんです。涙は得意なほうではないので、やはり準備をするために理解をしたくて。すると監督から『泣いて、家族を抱きしめて、この危機的状況を有耶無耶にしようとしている』と言われて『なんじゃそりゃ!』と(笑)。しかもマジックアワーで一発撮りをすることになったので、1回しかできない状況だったので、僕的にはかなりハードルの高いシーンでした。コンプライアンスなんかくそくらえという気持ちで、有耶無耶にするために必死で2人を掴んだら、チカちゃんにまあまあ本気で殴られました(笑)」

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── 豪太の他、「釣りバカ日誌」のサラリーマン浜崎伝助、「フルーツ宅配便」のデルヘルの店長、「働かざる者たち』のサラリーマンなど、濵田は、我々が暮らす日常のどこかに生きている小市民役を演じることが多い。これらの作品はどれも、派手さはないが、人生のおかしみや喜び、ちょっとした哀愁といった悲喜こもごもを描いており、間口が広く、懐が深い。

「二枚目の役が来ませんねえ(笑)。『働かざる者たち』のサラリーマンも、すごく流されている男ですし。普通の人の日常を描いた、落語の人情噺みたいなノリが好きではあります。長屋の壁の向こう側を覗き見している感覚の作品が。この映画もまさにそうですよね。『喜劇』と銘打ったことにみんなの自信が表れていると思いますし、『喜劇』と付く以上は見る人を選んじゃいけないと思います。実際に、誰が見ても面白い作品になっているので、コロナで疲れた気持ちのリハビリに使ってほしい。久々の映画館でとりあえずこの喜劇を見て、『次はもっといい映画を見よう』と思ってくれたら本望です。男性は豪太と傷の舐めあいをすればいいし、女性はぜひ豪太に罵声を浴びせてください(笑)」


Writing:須永貴子

インフォメーション

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(C)2020「喜劇 愛妻物語」製作委員会

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『喜劇 愛妻物語』

9月11日(金)公開


『百円の恋』で日本アカデミー賞を受賞した脚本家の足立紳が、自身の夫婦生活を赤裸々に綴った小説『喜劇 愛妻物語』を脚色&監督。結婚して10年、うだつの上がらない脚本家の豪太(濱田岳)は、妻のチカ(水川あさみ)と幼い娘のアキ(新津ちせ)を連れて、香川県へ5日間の取材旅行へ。豪太は果たして、アキが生まれてからセックスレスになってしまったチカとセックスをするという重大なミッションをコンプリートできるのか…?

公式サイト:http://kigeki-aisai.jp/

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