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佐野和真久々の舞台出演は、作・演出も手がける宅間孝行とW主演となるタクフェス第10弾『ぴえろ』だ。現在、稽古真っ最中。役者同士の感情がぶつかり合う下町情緒溢れるサスペンスコメディの現場で「心も体もヘトヘトになる」くらいの熱量を放出する日々。どっぷりと芝居に浸かるその実感を胸に語った、本番への大いなる自信とは──

本当の意味でいちから作品を創っていくということを、今、体現できている。その分すごく迷うし、疲れるし、頭もめちゃめちゃ使っています(笑)

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―― インタビュー前、稽古場に佇み撮影に応じる佐野。セットの中を行き来するその様子はすっかり“舞台モード”。再び舞台へ立つことを決めるハードルは高かった?

「舞台は約6年ぶりになります。苦手意識、ではないですけど、舞台と映像の違いは目の前にお客様がいるかどうか。僕はもともと“人前に立つのが好き”というよりは“お芝居をするのが好き”という感覚でやっていたので、舞台の“お客様の前に立つ緊張感”に対して映像とはまた別の心の準備が必要になるのが正直ありました。ただやはり自分の中で新しいことに挑戦したいという思いも最近出てきていて、そこで久々に舞台をやるという選択肢もあるなと考えていたところにタクフェスのお話をいただき…。なので、今ここにいるのもひとえにタイミング、ですね。今は稽古が始まって二週間くらいなんですが、毎日充実していますし、宅間さんと一緒に作品作りをする中で“ものづくりってこういうものだよな”という実感が大いに湧いています。舞台に対してのある種の抵抗感も、かなり払拭されています。もちろんまだまだ模索中で毎日ビシバシやられているところですけど」

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―― 舞台へと挑む前向きな思い。それは、今回タッグを組む宅間氏との出会いも大きかったようだ。

「みんなで同じ方向見て進めている感じは、宅間さんの持つ人間力、統率力のおかげだと思います。僕にとってはすでに尊敬できる兄貴のような存在になっています。お会いする前は“怖い”とか“厳しい”という話を聞いていて最初は少し構えていたんですけど…背も大きいですし(笑)。でも実際話してみるとものすごく愛を感じる方でした。本当に面白いものを作りたい一心、わざわざお金を払っていらしてくださったお客様にいいものを届けようぜっていう気合いというか、“来てくださった全員に「よかった」って思ってもらえるものを毎回毎回届けること。難しいけれど、俺は本当にそれを目指している”とおっしゃった真面目な眼差しもとても印象的で。“だからこそ俺は嫌われてもいいからみんなに厳しく言うんだ”ってね。それは“怖い”というよりむしろ、他人にここまで本気で言ってくれる人はこのご時世なかなかいないんじゃないかっていうほどの“熱意”。変な例えですが、こちらにむけて全裸で両手を広げてバンと立ってくれているような…“あとはもう飛び込むだけだ”と思わせてくれるような居方があって、こちらも本気で心と心の対話をしたいと思える魅力がある。そういう宅間さんへの圧倒的な信頼のもと、この現場は動いています」

―― いい時間を過ごしていることが自然と伝わってくる柔らくにこやかな表情。そんな豊かな精神状態は、おのずと芝居にも良い影響を与えてくれている。

「根本的な部分というか、お芝居に対してこれまで自分がなんとなく意識的にやってきたこととか感覚でやってきたものに対しても、宅間さんは言語化してくれる感じ。稽古をしていて“あ、やっぱりそうだよね”と実感できることがたくさんあります。おそらく今回のタクフェスだけでなく、大きな視点で今後の自分が芝居をしていくための根底の答え合わせができてるんじゃないかな。今回僕が常に言われているのは“自分の心に嘘はつくな”そして“自分の芝居を疑え”。今までやってきた中で自分はどれだけの熱量でお芝居と向き合ってきたかを改めて考えたし、自分の中で全力でやっているつもりでも熱量が足りなかったなとか、小道具など本当に細かいところにまで思いを馳せて準備して芝居を考えていくとか、“そうだよね、俳優は本来もっとそうあるべきだよね”と、自分に対して発見すること、改めるべきことがたくさんあります。そしてそうやって“その場で生きる”芝居ができていると、表現の引き出しも新たに増えていってる気が確実にしていて。僕はずっと稽古場にいて、自分の出ていないシーンを見ているのもとても面白いですし、周囲から盗めるモノは全部盗みたいし、本当に細かく演出もつけてくださるので、新しいものをたくさんいただいています。今回は本当の意味でいちから作品を創っていくということを体現できている。その分すごく迷いますし、体も疲れるし、頭もめちゃめちゃ疲れますけど(笑)」

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―― 佐野演じるヤスは宅間演じる沢木の舎弟分。泥棒稼業に精を出すふたりが忍び込んだ寿司店での予想外の出会いが、奇妙な人情ドラマへと展開していく。

「ネタバレになってしまうので詳しいストーリーはあまり言えないんですけど、今作で宅間さんが掲げている大きなテーマが“愛”。みんながそれぞれ誰かを愛しているからこそ、強くもなれるし弱くもなる。すべての原動力、行動の根底には“愛”があって、だから沢木も…うわぁ、もうこれ以上は言えません(笑)! とにかくいろいろな思いが詰まっているのをこの物語から感じてもらえると思います」

―― ヤスはどんな青年?

「お客さん目線、客観的な視点を持った立ち位置ではあるけれど、その中でもっとヤスとして生きられるんじゃないかと、日々葛藤しています。舞台上でリアルに生きたい。基本的にはすごく臆病で怖がり、でも理由があって泥棒になっていてとにかく憎めないやつ。可愛いやつ。ニコニコしていてちょっとバカ(笑)。宅間さんからは基本“可愛くいてほしい”と言われていて、声もいつもの地声より高いトーンで喋っています。そうなってくると自然とちょっと猫背になっていたり、あたりをうかがっている視線になっていたりもして、気づいたらヤスになっているような気がしています。それがまた面白くて!」

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―― 本作は舞台と並行してスピンオフドラマの企画も実現。開幕前から『ぴえろ』の世界観に触れることができるのは嬉しい。

「しかもドラマ、ガッツリボリュームありますから! 僕たちがどう出会ってどうしてここに忍び込んだのかもそこでわかるので、ドラマを観てから劇場へ来ていただきたいです。舞台のほうは行きがかり上ふたりで別人になりすましていくという構造になっていて、そこも1回だけではなく2回観ていただけたらさらに楽しめる描写だと思います。特に後半に向けて“だからここでこういう反応だったんだ!”みたいな伏線をたくさん回収できるので、謎解きのようにも相当楽しめるはずですし、演じているこちらも毎回脱帽なんです(笑)。とにかくすごくよくできたストーリー! 一個一個計算された仕草、表情、言葉のつみ重ねの中でいろいろ“わかった”瞬間には、絶対鳥肌がたつと思います。スピード感もありますし、“よければ複数回観ていただきたいです”と、何度でも言っちゃう(笑)。いろいろな登場人物に注目してみるとさらに違う面白さ、発見もあると思います」

―― 演劇ならではの物語の“仕掛け”も見どころというわけだ。

「ただ、僕が今一番怖いと思っているのは、宅間さんがいろいろやってくること(笑)。ヤスとして自分がちゃんとそこに居られればなにがあってもしっかり返していけるはずなんですけどね。宅間さんはスピンオフの撮影も自由でしたし、“台本捨てろ”って言われましたから。稽古場でもそれは同じ。ただ書かれたこと、決まったことをやるのではなく、大事なのはそこで生きて会話して、その会話が成立しているか。その場で生きていたら自分はどうするか、ヤスとして嘘はつくなってところですよね。自分で脳ミソ使ってアンテナ張って、宅間さんがここでどんなものを作りたいと思われているのか、それを明確に表現したい。受け取って、返したい。たった一言でもこんなにいろいろなパターンがあってって、考えていくとすごく面白いんです。楽しいです。充実しています。こんなに充実する日々もなかなかないっていうくらいに、芯を食って話して向き合える現場です。自然と居残り稽古をしたり、気づけば雑談から真剣に芝居のことを話しあって。みんなで作るこの空気が自分にとっては本当に初めてかもしれないくらいの感覚です」

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―― 知っているからこそ感じられること、学べること、見つけ出せること。“芝居をするのが好き”を大いに上書きし、バージョンアップしている“進行形”のきらめきがよぎる。

「これが舞台の醍醐味の部分なのかな…来るべきタイミングでこの作品に出会ったんだなって、稽古をしながら運命的なモノを感じています。俳優としてこの年齢このタイミングでこの作品に出会えたことに、僕は本当に感謝しています。今だからこそ、自分は宅間さんとも周りのキャストのみなさんともこういう充実したマインドで一緒にお芝居がやれてるんだろうな、と。稽古はここから折り返し。キャストもスタッフさんも一丸で本番に向かって邁進しています。スピンオフも含め、本当に笑えるし泣けるし面白いお話です。期待して観に来てくださいと、胸を張って言える作品になっています。ちょっとでも気になったならぜひ劇場に足を運んでいただいて、僕らと一緒にこの『ぴえろ』という作品を作っていただけたら嬉しいな。そして僕自身もきっとこの現場を経験したその先に、また違う佐野和真としてひとつ分厚くなっていけるんじゃないかと確信していて。そうですね、すでに今もその思いと実感は強力です」


Writing:横澤由香

インフォメーション

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STAGE

タクフェス第10弾『ぴえろ』

2022年10月~12月 東京 仙台、青森、福岡、札幌、大阪、足利、名古屋 8都市にて上演


お間抜けな泥棒コンビの沢木(宅間孝行)とヤス(佐野和真)がその夜忍び込んだ先は、東京は下町、蔵前の寿司屋「すし政」。あっけなく見つかりボコボコにされ気絶・・・しかし翌朝目覚めた沢木を出迎えたのは「お帰り!テル!」という勘違いの歓迎の嵐で・・・

▼公式サイト
http://takufes.jp/pierrot/



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