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2014年6月2日更新

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5年間作り続けてきた楽曲をまとめた作品「On My Journey」。「以前書いた曲を発表するって、少し恥ずかしい気持ちもあるけれど、未完成だったものを取り上げることによって、自分を成長させてくれるような気がしたんです。」未完成を隠す必要はない。目的地への途中であるものを作品にしていく。これは未完成を完成に向けていくKの「On My Journey」なのだ。

Kのアイデンティティーとなるアルバム「On My Journey」

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── Kのアイデンティティーは、オープニグの「On My Journey」で感じることができる。ピアノマンらしい、ピアノの旋律からスタートする。アナログな音にはまっているKらしい、オーガニックな音質も新しい試みだ。

「4テイクとって、最後のテイクが収録されているんだけど、60年代のアップライト・ピアノを使って、完璧に調律されていないガタガタなピアノを使いました。英語にしたのも、洋楽のアプローチで曲を作ってみたいという憧れがあって、ジェイミー・カラムのように、ピアノの前に座ってスタートするという曲が自分のアルバムにあったら、そしてそれがタイトル曲だったらいいな、と。日本語では照れくさい言葉でも英語なら、と思ったんです。」

── 「誓い~Waiting For Love~」は、ロック・バラードなアプローチ。メロメロなラヴ・ソングに新しいものを感じる。

「元 Superflyの多保君と作ったのだけど、ロック的な曲もあってもいいんじゃないかなと思ったんです。最初の段階から、パワーのある曲だとスタッフが気に入ってリード候補だった。メロメロな歌詞はいしわたりさん。「641」の制作のあと、自分のために曲作りを学びたくていろいろいしわたりさんから教えてもらっていたんだけど、そろそろラヴ・ソングもいいんじゃないって思い始めて。運命って信じてないっていうのは変わりないんだけど、歌だから表現できることってあると思うんです。」

── 「イケナイDRIVE」は、ファンキーな曲。WAZZ UPのJUNEとの共作だ。ファレル・ウイリアムスのソロではナイル・ロジャースのChicに影響された音を作っていたが、この曲もそんな懐かしいダンスのリズムを取り入れている。J-Popシーンのなかで、ここまで振りきった音を作れるのは2人だからこそだろう。

「「641」のあと、ちょっと前のFunkをやりたいなと思って、Chicの流れを汲む、ジャミロクワイ的な音を作ったんだけど、アルバムに入れたいと思ってJUNEに声をかけて完成させたんです。僕たちは兄弟の関係だけど、クリエイティヴな作業になると、バンバン言い合うんです。こうしたい、こうしたほうがいい、と言える二人の環境だから、曲作りはやりやすい。いつか、こういったファンクなジャンルだけの作品集を作ってみたいんです。ミニ・アルバムでいいから。コーラスは、僕とJUNEとオリビア。40トラックぐらい録ったんです。ライヴでどうやって再現するか悩みの種だけど、絶対やりますよ。弾き語りではできないコードでやろうって作ったんです。」

── 「Shout Of Delight」は、K Meets Rolling Stoneといったロックンロール。アルバム中、最も新しいKを感じる1曲だ。「イケナイDRIVE」同様、J-Popシーンの中で、これだけのグルーヴを出せるアーティストはいない。

「僕のイメージは、ビリー・ジョエルがストーンズの曲をカバーしたらどんなんだろう、というのがこの曲。ビリー・ジョエルのポップなメロをストーンズの曲でピアノを弾いたらってね。多保君がギターを弾いていて、これをピアノで弾いたらどうなる?って言われて、いやできないよ、なんてやりとりから始まったんです。構成を変えながら、メロをのせて。。。、」

── 余談ではあるが、Kは、ビリー・ジョエルのトリビュート・アルバムに再び参加した。名曲「ピアノ・マン」をカバーしている。

「オープニング、オレでいいのかなと思うぐらい、光栄なことだった。この曲の憧れ、プレッシャーもあったけど、気持ちよく演奏できました。」

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── 5曲目の「dear...」は、もうおなじみの曲。かなりアグレッシヴな曲が続く中、あえて「dear...」をいれたのには、深い思いが込められている。

「マスタリングの1週間前に、どうしても入れたいという思いが強くなったんです。この曲はアルバム収録されていなくて、それは曲に対して失礼じゃないかなって。「dear...」によって、出会えた人たちがいるし、新しい発見もあったし。、曲順は難しかったですね。5年間に作ったいろいろなサウンドをひとつの流れにしなくてはいけないので。1,2,3,4はスムーズに決まった。あえてこの曲を5曲目に入れたのは、ターニングポイントという意味があるんです。」

── 歌詞がリアルに感じられる「ターミナル」。意外にも実体験ではなく、KがレギュラーDJを務める番組Fmyokohama「K-style」に寄せられたメッセージからインスパイアーされた。

「実はまったく違う歌詞で出来上がっていた曲だったんです。僕のラジオ番組に来た、これから遠距離恋愛となる女性からのメッセージで、旅立つ彼が鼻歌を歌いながら荷造りをしているという内容だったんだけど、僕はその男性に男らしさを感じたんです。淋しいけれどもそれを出さずにいる男性の心理を。タイトルは元から「ターミナル」。ターミナルから離れるけどまた戻ってくるという内容になっています。実はその男性僕の歌を鼻歌で歌っていたらしいんだ。よく2人で僕のライヴに来てくれていたそうです。」

── 「You Make My Day」は、アナログ・ファンのK流では、A面の最後の曲になるという。

「いい意味でひと休みの曲。古内東子さんが僕のために作ってくれた曲。「K君にプレゼントしたい」と送ってくれたんです。ファースト・アルバムでも書いたもらったのだけど、実はまだお会いしたことがなくて。これをきっかけにお会いししたいです。」

── B面(?)の1曲目をイメージさせる「Seeds Of Love」。軽やかなPop Songになっている。

「ディレクターから、若い歌を歌ってほしい、というリクエストがあって。(笑)若い感覚の歌かな。初めての試みなんだけど、どうやって歌たらいいか最初は迷ったけど。くどく歌わずに。。。」

── そしてまたまた登場するファンクなサウンド「反省ゼロ」。P ファンクなノリもKには合う。非常にアグレッシヴだ。

「トライセラトップスがかっこよくて、3人で出来るサウンドはどうやって作れるんだろう、ドラム、ベース、ピアノで、と刺激をうけて。。。そこがこの曲のスタート。出来上がってから、JUNEにアレンジしたもらったんです。きれいにまとめずに、荒れた感じを出したかったんです。中野サンプラザでも一度歌ったことがあったんだけど、気持ちよかった~(笑)」

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── 「Happy Birthday」は、初のアニバーサリー・ソング。Jazzyなサウンドが新鮮だ。

「憧れのアーティストがよく○○ソングというのがあっていいなって思ってんたんです。。「Music In My Life」もそうだったんだけどね。Stevieやドリカムもありますよね。Jazzyな雰囲気は、昔K-Popでチョンナメというグループがいて、お酒を飲んで、女の子を口説くという歌があって、子供の頃その歌のJazzyな雰囲気がいいなって思った。ジョージ・マイケルもそうだけど、それを自分でやりたかったんだ。
(注:チョンナメの曲は、日本でも公開された映画「建築学概論」に収録されている。)」

── 「Christmas Time Again」は、昨年のリリースされたクリスマス・ソング。

「クリスマス・ソングのアカペラもリリースしているから、僕にとって何曲目のクリスマス・ソングになるのかな?この曲の次にくる「2gether Again」もクリスマスをイメージした1曲になりました。」

── 「2gether Again」は、Brian McknightがKのために書き下した曲。2013年の来日の際、ランチをしながら楽曲作りの話で盛り上がり、一緒に曲を書こうということになった。BrianとのやりとりはSkypeを使いながら、彼から送られてきたデモをもとに作りあげていった。Brianは、自分のスタイルをKに押し付けず、Kのメロディーも活かしていくことを薦め、曲は完成に至った。

「まさか書き下してもらえるとは思いませんでした。会って話して思ったのは、Brianという人は、純粋に音楽を愛しているということ。韓国でR&Bが人気になった時にアメリカで成功したシンガーとして韓国で多くの人に影響を与えた彼を、僕はTVで見ていました。そんな人と共作できたのだから。僕からテーマを出して、それに沿って曲を仕上げてくれたんです。送られてきたデモは、とてもシンプルなものだったけど、僕は嬉しかった!そのブライアンの作品に僕の色を付けてもいいと言われているような気がしました。歌詞も書いてはやり直し、書いてはやり直しの繰り返し。丁度そのころ、自分の声は英語では抜けがいいのに、日本語だと抜けが悪いな、という悩みがあって、それを克服したくてエンジニアに相談していました。それで空耳じゃないけれど、英語の歌詞に似た日本語の歌詞を探してのせてみたら、リズムが生まれてきたんですよ。5月に来日した時に約束したんですが、いつかBrianとこの曲をステージで一緒に歌ってみたいですね。」

── 続く「Believe In Magic」も洋楽的なアプローチだ。

「「ハーモニカ」というタイトルだった曲で、ハーモニカがふける曲を書こうと思って作ったんです。ちょっと前に書いた曲なんだけど、もともとはレゲエっぽいサウンドでした。それをスタッフが気に入ってくれて、元のものをいったんはずして、ハーモニカを忘れて、勢いのある曲に変えていったんです。BPMも途中から変わってしまうぐらい、若さいっぱいの曲になりました。」

── ラスト曲は「Note」。再びKのアイデンティティーを示す曲で終わる。

「個人的に一番好きな曲。実は軍隊に入る前にレコーディングをしていて、それをCDRに焼いて、軍でもよく聴いていたんです。僕をたびたび支えてくれる1曲。自分の曲に背中を押される曲ってなかなかないと思うんだけど、戻ってきたら絶対にアルバムに入れたいと思っていました。「641」には入らなかったんだけど、今回入ることになって、ヴォーカルを録り直しました。まさに僕のアイデンティティーとして残したいと思った1曲。」

── インタビュー前は、ラヴ・ソングがテーマなのかと思っていたが、やはりKの音楽スタイルは、ラヴ・ソングであっても、そこには彼の人生観、音楽に対する正直な取り組みがある。そして「On My Journey」は、KというアーティストのJ-Popシーンにおける位置づけとアイデンティティが証明された1枚といえるだろう。そして日本語を母国語としない外国人であるKが、日本語を大切に歌うという姿勢にも脱帽する。

「単純に日本語好きで、憧れがあるんです。ちょっとした表現だったり、独特の言葉遊びを。大切に歌いたいという気持ちがあります。」

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── Kは、実によくライヴを見に行く。ひとりでも出かけてしまう。日本のアーティストはもちろん、ジェイミー・カラム、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、ジョン・メイヤー、エリック・クラプトンなどなど。

「人のライヴを見ることは大事なこと。僕にとってのナンバー・ワン・ライヴはジョン・メイヤー。素晴らしいライヴに感動すると同時に、この人にはなれないという悔しさも覚えるんです。こういう曲を作ればよかった、作りたかった、という複雑な気持ちにもなるし、これって刺激を受けていることだと思うんです。下北沢でみるインディー・バンドにも同じような刺激をうけました。」

── そんな刺激をたくさん受け、Kは今年後半もライヴに向かう。6月21日は初の野外ワンマン「live K 2014~SUIKA・WA・RI~」@日比谷野外音楽堂。「live K 2014~On My Journey~」は、7月6日@大阪フェスティヴァルホール、7月12日@渋谷公会堂。

「夏フェスに呼ばれないなら、やっちゃおうということで野外コンサートをやるんだけど、毎年恒例にしたいです。スペシャル・ゲストもいれて、ここだけのカバーソングをやったりとか楽しい1日にしたいんです。ホールは、まさにアルバムの楽曲をメインにしたもので、弾き語りではやれない曲をやります。今年もあと半年だけど、自分のひとつの目標である~かけ橋~は、少しずつ実現されている実感があります。動き始めているような気がします。これまで声がかからなかったイベントにも声がかかるようになったり、そこで僕を知ってもらえているような気がします。もっともっとそれを拡大させていくことが目標です。」

Writing:今泉圭姫子

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INFORMATION

ALBUM

『On My Journey』
6月4日発売

3,500円(税込)

【収録曲】
01.On My Journey
02.誓い~Waiting For Love~
03.イケナイDRIVE
04.Shout Of Delight
05.dear...
06.ターミナル
07.You Make My Day
08.Seeds Of Love
09.反省ゼロ
10.Happy Birthday
11.Christmas Time Again
12.2gether again
13.Believe In Magic
14.Note


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SRCL-8551

LIVE

『live K 2014~SUIKA・WA・RI~』

2014年6月21日(土)日比谷野外音楽堂
開場 17:15/開演18:00
料金 指定6,700円(税込) / 立見5,700円(税込)

【Special Guest】
根本要(スターダスト☆レビュー)
大橋卓弥(スキマスイッチ)

問合せ H.I.P. 03-3475-9999


『live K 2014~On My Journey~』

2014年7月6日(日)大阪フェスティバルホール
開場 17:00/開演18:00
料金 指定6,700円(税込)
問合せ キョードーインフォメーション 06-7732-8888

2014年7月12日(土)渋谷公会堂
開場 17:30/開演18:00
料金 指定6,700円(税込)
問合せ H.I.P. 03-3475-9999

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