YAMATO「もともとは、2004年にKが日本に来たときに、共通のスタッフがいたことや、当時のレーベルメイトということもあり、会う機会があって。その頃、Kはまだ日本語が片言だったので、打ち解けるには下ネタが早いだろうということで、お互いの国の下ネタを教えあったりして(笑)。その後、僕らが主催するイベントにKが出てくれたりして、交流を深めていきました」
RYO「会うたびに日本語が上手になっていったから、すごく努力家なんだろうなって思いました。普段そういう部分を見せないところも、人として尊敬できました」
K「他の人たちよりもだいぶ口数が少ないバンドだなというのが最初の印象でした」
ORANGE RANGE「(笑)」
K「でも、サッカーや下ネタといった共通の話題になると、いきなり口を開きだす。彼らから教えてもらった下ネタは、さんざん使いました(笑)」
YAMATO「怖いもの知らずだったんで、僕もKに教えてもらったハングルの下ネタをMTVの授賞式でカメラに向かって言ったことは、今でも覚えてます」
K「しかもBoAさんのすぐ後ろで言ってたよね? アウトですよ(笑)!」
YAMATO「若気の至り。無邪気に国際交流してる気分だったんです(笑)」
HIROKI「アルバムのミーティングで、誰にどの曲をお願いしようかという話をしているときに『「花」は?』『Kは?』『いいね』『うんいいね』で即決しました。他の案は全く出ない、自然な流れでした」
K「僕にとって『花』は、12年前に日本に来たばかりの頃、デビューの準備をしながら聞いていたこともあって、勝手ながら思い出ソングなんです。日本で初めてライブを観に行った、特に親しくしてくれたバンドの歌でもあったので、勝手に誇りを持って、韓国の友だちにCDを紹介したこともあります。だからこういう形で僕を使ってもらえるのは、素直にものすごく嬉しかったです。レコーディングにあたっては、最初にもらったデモ音源が、オリジナルとはかなり違うアレンジになっていたので、もともとの楽曲のイメージは忘れて、新曲のつもりでやらせてもらいました」
YAMATO「レコーディングはNAOTOと一緒にやってもらって」
NAOTO「かなり和気藹々としてたね」
K「うん」
NAOTO「『そこはこんな感じ?』『そうだね』『今のいいね』『じゃあこうしよっか』『そうしよう』という感じ(笑)」
K「ORANGE RANGEのレコーディング現場を知らなかったから、どんなスタンスで取り組めばいいのかわからない不安があったので、自分なりに譜面を書いていったんですけど、ほとんど見なかった。僕のもっていったアイデアを聞いてもらいつつ、NAOTOくんとああしようこうしようと会話をしながら作っていきました。あの場の雰囲気から生まれたアイデアもあったと思います」
NAOTO「Kが最初に弾いてくれたピアノがものすごく良かったから、すごくスムーズに終わりました」
K「もともと楽曲自体を知ってたし、みんながライブでこの曲を歌う姿を何度も見てたから、誰がどのパートをどういう雰囲気で歌うかがイメージできていたことも、やりやすかった理由のひとつなのかなと思います」
YOH「Kの音を聞きながら。鍵盤でも、その人の輝き方があるんだなと思いつつ、そこに自分の音の居場所を探っていきました」
RYO「単純に音数がかなり減った状態の編成だったので、壮大さや感動的というよりは、温かさが増してましたね。Kのピアノにより、それを常に感じて、触発されながら歌いました」
HIROKI「Kの演奏はいい意味で前に出てこないというか、主張して来ないというか。自分たちの歌を引き立てることを想定して演奏してくれたのかなあと。おかげで、自分のペースで気持ちよく歌うことができました」
K「僕がイメージしたものよりも遥かに膨らんだ部分もあれば、どのレコーディングでもそうなんですけど、『もうちょっとこうしておけばよかった』と悔やむ部分もあって。でも、こういうフィーチャリングものって、自分の手から離れるとそこで気持ちにストップがかかるものなんですけど、今回は『もっともっと』という欲を感じられたことが個人的にはすごく嬉しかった。これから何かを一緒にする機会があれば絶対にプラスに働く意欲だと思うので」
K「もともとある楽曲を再アレンジするのって、すごく難しかったでしょ」
YAMATO「めちゃくちゃ大変だった(笑)」
K「そうだよね。僕も、去年の『Ear Food』というアルバムで2曲だけ自分の楽曲を再アレンジしたとき、すっごい苦しくて。自分のなかにオリジナルのイメージが染み付いているし、今のテクニックを使うことでオリジナルの頃の勢いや純粋さが曲から消えてしまうのもどうなんだろうとかなり悩みました。でも、『縁盤』からはそういう苦労やプレッシャーの匂いを全然感じなかった。まるで新たに作った曲に聞こえましたし、今のORANGE RANGEだからできるアルバムになっていると思います」
YAMATO「『新曲に聞こえた』という感想は最高の褒め言葉。『やってよかった』という達成感を改めて感じました。今回はリアレンジでありコラボなので、自分たちだけでレコーディングするときの“慣れ”が通用しない環境でのやりとりは、やっぱり緊張したし、気を使う部分もあったし、いい経験になりました」
K「全曲コラボでアルバムを作るなんて、よくやりきったなって思うし、バンドだからお互いに助けあうことでやりきるパワーがあったんだろうなって思います。僕はソロだから、途中でくじけちゃうかもしれない。あと、ここまでのバンドの歴史も大きいと思う。参加した人との関係性はいろいろだと思うんですけど、みんな、ORANGE RANGEが作ってきた作品や歴史を信じて飛び込んだと思う。バンドの15年間を映し出す1本の映画みたいなアルバムですよね」
HIROKI「めちゃくちゃいいこと言ってくれてる!」
YAMATO「次からの取材で今のコメントを使おう」
NAOTO「Kも一緒に取材を受けてもらおう(笑)」
K「母校の学生と一緒にやっていたのが羨ましいなって思いました。ORANGE RANGEの母校の子は、ORANGE RANGEのことを知ってるし、生徒たちにとってみんなはヒーローだよね。でも僕の場合は韓国で活動をしていないから、母校に行っても、僕のことをほとんど知らない。入隊前に、ミュージックビデオの撮影で母校に行って撮影をしたら、『敷地から出てください』って言われたよ」
ORANGE RANGE「アハハハ!」
YAMATO「今回、NAOTOが母校でのレコーディングに立ち会ったんだけど、中学生の緊張を解きたいということも合って、ものすごく言葉を選んでいろいろと指示を出して、すべて録り終わって。最後、『お疲れ様でした』って言いながら学生たちがスタジオを出て行くときに『あの、バンドの名前ってなんでしたっけ?』って言われたっていう」
NAOTO「『ORANGE RANGEです』」
K「アハハハハ!」
NAOTO「次の日が中間テストだったし、録り方もわからなかったし、あの子たちもいっぱいいっぱいだったと思うんですよ……と、自分たちへのフォローを入れておきます(笑)」
K「いやー、それでも羨ましい(笑)。母校の子たちと一緒に演奏する瞬間の感覚を味わってみたいです」
K「僕の個人的な感覚ですけど『ちょうどいい』んですよ。押しが強すぎず、引きすぎず。同年代だからというのもあるかもしれないですけど、なんでもフラットに話せるのは、彼らの空気感が作ってくれているのかなと思います。スケジュールの都合で1年ぶりに会ったとしても、久々な感じがしないんです。いつも空気感が変わらず、ちょうどいい。大先輩の前でもこの空気だと思うんです」
YAMATO「そうなんですよね、多分」
HIROKI「5人それぞれのペースは違うけど、この5人が集まるとこの空気感になると思う。そこまで熱くないし、MCでも『俺ら』って言えなくて『僕たちー』みたいな(笑)。背伸びせず等身大でできているところが、Kの言う5人独特の空気感なんだと思う」
K「12年前から変わらないね」
NAOTO「変わったところもあるよ」
K「どこ?」
NAOTO「俺はタコが食べられるようになった(笑)」
YAMATO「もともと甲殻アレルギーって言ってたのに、最近、食べられることが判明したらしい(笑)」
NAOTO「15年やってきたかいがあったなって(笑)。でも、なんでこんなに美味しいものを食べてこなかったんだろうとちょっと後悔してます。これからガンガン食べて20周年を目指します」
YAMATO「え! 考えたことない(笑)」
YOH「俺は、いろいろな人の話を聞くようにしてます。業種が違う人の話を聞くことは、いろいろな感覚や価値観、発想の仕方なんかに触れるチャンスでもあるので、わりと聞きますね。違うバンドの人の話も面白いです。このメンバーとはさすがに長いし同じ感覚を共有しているのでまた話は違ってくるんですけど(笑)」
HIROKI「身内みたいなもんですからね」
YOH「外の人たちを知ることで、4人がまた違って見えてくるのも面白いですね。そのために、自分から、相手が話しやすい空気をつくることは意識してるかもしれないです」
HIROKI「縁は大事にしていかないといけないなと思うようになりました。若い頃は自分主義だったけど、今は、自分以外の人のことも考えます。それが、年をとるということなんですかね。でも、目の前にいる人と「ありがと、ありがと」と話ができていることが、素晴らしいなって思います」
YAMATO「イベントでは一緒になったりしたんですけどね」
K「お互いにフィールドが違うから仕方ないんですけど、ここまできたらフィールドなんて関係なく一緒にステージに立てたら嬉しいですよね。今回の『花』を、次へのきっかけや広がりにしていきたいです」
YAMATO「せっかくレコーディングができたんだから、それをライブで再現できる環境は作っていきたいですね」
RYO「毎回、ロングツアーは、ニューアルバムを引っさげてやってきたんですけど、今回15周年ということで全国を回れることは、僕らにとって幸せなことだと思っていて。デビューして15年たって、育児とか仕事とかが忙しくてライブに来られなくなってしまった人も、タイミングが合ったら、今のORANGE RANGEを見に来てほしいなと思ってます」
YAMATO「これまでの15年間と変わらず、これからも僕たちは走り続けていきます。今回は今のORANGE RANGEの音を届けに日本を回らせてもらうので、『ORANGE RANGE久しぶりー』とか『近くに来るなら行くわー』くらいの感覚で、ぜひライブに遊びに来てください」
HIROKI「15年間ずっと変わらず沖縄をベースにやってこれたので、ファイナルはもちろん原点の沖縄で。全国を回ってきた僕らの演奏を、沖縄の人に聴いてもらいたいなと思います」
YAMATO「沖縄ともっと細かく密な関係を作り上げながらコンスタントにライブをやれる環境作りを目指してきたので、長いツアーで培ってきたものを、沖縄のみなさんに堪能してもらえるカーニバルにしたいと思います」
Writing:須永貴子
LIVE
2017年2月25日(土)、8年2ヶ月ぶりとなる武道館公演開催!
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発売中!
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