「最初は現実感がなかったです。最終オーディションだと思って会場に行ったらすでに瑞穂役に決めていただいていて、そのまま「NYLON JAPAN」誌面の撮影に入ったんです。何が起きているのかわからず、私はこの映画に出るのかな?って理解が追いついていないまま撮影が終わって。クランクアップでお花をいただくことはよくあるんですけど、オーディションに受かってお花をいただいてクラッカーもやってもらって、これから始まることをお祝いしてもらったのは人生で初めてのことでした。今日は何が起こったんだろう? まだ何も始まっていないのに達成感があるというか、不思議な気持ちになりました」
「宇賀那(健一)監督は瑞穂のことは萩原さんにお任せしますとおっしゃってくれたので、現場では監督を信じて、ただそこにいることができました。オーディションのとき、監督から『あなたの悩んでいることは何ですか』と聞かれた際、私は自分のいいところというか、長所強みが分からないです、と答えました。他の女優さんにはなくて、私だけにある強みは何だろうって。自分がコンプレックスに思っていることを逆に褒めていただいたりとか、自分のことが自分でよく分からなかったんです。また、ゴールや自分がどこに向かうべきかわからないというより、自分の現在地がわからないという話もしました。そんな自分の向いている方向性すらわからないという感情が、台本を読んだときに瑞穂は3人の中で一番強いと感じたので、余計なことは考えずに、自分の中にある引き出しをどんどん開けていくという作業の方がいいのかなと思いました。新しく1人の女の子を作っていくというより自分の中を探していく感覚でした」
「『ハローグッバイ』という作品のときも、演じた役に共感はしていたんですけど、今回はさらに深い部分をえぐられている感じがするというか、自分が根本に持っているものが似ているような気がして他人とは思えない感じでした。今までで一番自分に似ている部分を感じる役だったかもしれません」
「瑞穂の髪の色は、オーディションに受かったとき、監督に髪の毛ピンクにできる?って聞かれて、働いている役なのになぜピンクなんだろうって思いました(笑)。どんな会社だろうって思ったら、出版社だったので納得したんですけど。ピンクにしたのは初めてだったんですけど、しばらくはいいですね(笑)。そして、クランクアップした日にすぐ黒染めをしました。瑞穂が終わってしまうことがすごく寂しくて、余韻に浸ってしまったら壊れてしまうと思って。髪をピンクにした日もだいぶ気持ちが変わったし、髪の毛を黒くした日も変わったので、やっぱり髪型は大きいです」
「私は今まで夜に一人になると色々と悩んでしまう癖があって、そうならない為に音楽を聴いたりして気をそらすようにしていました。でも台本を読んで、悩んでもいい。進めてなくてもいい。現在地が分からなくてもいい。それでも誰か見てくれている人はいる。そんなことを言ってもらえたような気がして、私が台本を読んで感じたように、この作品を観てくださったお客さんにもそう思ってもらえるような作品にしたいと思いました」
「お仕事への取り組み方も前と大分変わってきました。ずっと苦しい方が勝っていた部分があったんですけれど、今は苦しいけど楽しいというところまで感じられるようになって、一人の人間としてちゃんと生きて、生活の中にお芝居がある。お仕事という感覚がやっときちんと掴めてきた気がします」
「初日から3人とも本当に一緒に住んでいるんじゃないかっていうぐらいの距離感で過ごせました。気も遣わないし、すごくフラットだったんですよね。携帯いじる人は携帯をいじるし、喋りたい人は喋るし。本当の初対面のときは全員が人見知りで喋れなかったはずなんですけど、気がついたら、本当に一緒に住んでいるぐらいの関係性ができていて、キャスティングの妙なのか、何なんだろうって思って。今も居心地がすごくいいです。圧倒的にずーみん(今泉さん)のキャラが私と愛ちゃんの人見知りの壁を壊してくれて、化学反応が起きている感じはします。もし学校にいたら仲良くなっていたかわからない、どうやってコミュニケーションをとったらいいのかわからないと思うんですけど、こういう集まり方をしたときに居心地がいいというのが不思議でした。放っておいたら1人で喋っているずーみんと時々ちゃちゃを入れる私と愛ちゃん、そして愛ちゃんがはしゃぐスイッチが入ると、ずーみんが一歩引いて…作品の3人と似ている感じがあります。家のシーンから撮影に入って、3人の空気感をつかんでから映画の撮影に挑めたのは大きかったかなと思います」
「この作品みたいな共同生活は憧れます。知らなかったけど、実は人と住んでいるって言う人が周りに結構いるんです。結構みんなフラットなんですよね。干渉があったら嫌だなとか、他人と一緒に住めるのかって思っていたけど、喋るときは喋るけど、お互い自分の生活をしていて、そういう生活が成り立つんだなって思って、いま興味を持っています」
「最初はファッションに特化したおしゃれな作品になるかと思っていましたが、人間をちゃんと描く作品になっているなと思いました。渋谷の街の変化も描いていて、撮影してた頃から今は半年ぐらいしか経っていないのに全然違う景色になっていて、本当にすごいスピードで変わっているんだなっていうことを実感しています。映像でそういう部分を切り取っていて、この時期だけの渋谷が映像としてちゃんと残っているから、そこに立ち会えたことは貴重だったなって今すごく思っています。「NYLON JAPAN」みたいな雑誌で撮影をするっていうことが私は今までほとんどありませんでした。新しい経験として、誌面やWEBの企画で普段は着ないような素敵な服を着せてもらって、すごく楽しいです。着る前はこんなかっこいいの着れるかなって思うんですけど、着てみるとワクワクする。やっぱり女子だなってその度に思います(笑)」
「大人の女性にもそんな時期もあったなって思って観てもらえたらいいなっていう思いがあって幅広い世代の方に届いたらいいなって思います。ちょっと言葉は違うけど、キュンとする感じがあるなと思っていて。胸キュンはないけど胸キュン映画だと感じています」
「私のクランクアップは二人より後だったんですが、アップするまで待っててくれて。その後私はバラシがあって二人は先に現場を出たんですが、たまたままた渋谷駅で会ったんです。後ろから『瑞穂―!』って声がして、振り返ったら二人がいて、3人もこうやって続いていくのかもな、ってなんだか不思議な気持ちになりました」
「この作品で監督に言われて印象的だったのは、意地悪な子に見えるけど、サヤカもお客さんから愛されてほしいと言われたことです。私はどの役をやるときもお客さんに愛してもらえたらいいなと思っていたんですけど、こういう役でもそうやって言ってもらえてすごく嬉しかったです。監督は普段アメリカに住んでいる方で、現場に行くとハグから始まって、終わるときはハグで終わる。すごくハッピーで愛があふれている現場でした。主演の佳山明ちゃんが笑った顔を見られるだけで毎日胸が温かくなる現場で、関われて良かったって心から思えた作品です」
「『転がるビー玉』は自分から初めてこの作品のオーディションを受けたいとマネージャーさんに伝えたんですけど、『ハローグッバイ』と『お嬢ちゃん』は本当にタイミングが合って縁があったとしか言えないです。いつも自分の残しておきたい時期を、映画の中で残してもらっているような気はしていますが。役との出会い含め、それはすごく幸せだと思っています。今『ハローグッバイ』を見ても不思議な気持ちになるし、『お嬢ちゃん』はきっと一生見るたびにむず痒くなるような作品だし、『転がるビー玉』もそういう作品になると思います」
「先のことは漠然と、2.3年先までしか考えてないかもしれません。年々今年の目標が些細なことになっていきます。前は大きなことを言ってたんですけど、今年は色んな料理を作るという小ささ。今後やってみたい役ですか? 最近は暗めのイメージを持たれがちなのでめちゃくちゃテンションが高い女の子をやりたいです」
Writing:杉嶋未来/Styling:清水美樹/Hair&Make-up:長坂賢
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2月7日(金)公開
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