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「アオイホノオ」やNHK朝の連続テレビ小説「まれ」などで異彩を放ち、熱い注目を集めている柳楽優弥。最新作は、漫画家・杉浦日向子の代表作である、第13回日本漫画家協会賞優秀賞受賞のコミックを映画化した時代劇「合葬」。モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門に正式出品が決定するなど、話題性も高い本作で、時代劇に初挑戦した柳楽に作品への思いを聞いた。

時代劇の枠だけに収まらない、新しい作品となりました

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―― 人気漫画家、杉浦日向子の原作、脚本は「天然コケッコー」、NHKテレビ連続小説「カーネーション」などの渡辺あや、そして監督は渡辺あや脚本の自主制作映画『カントリーガール』のあと、本作で劇場用公開作品デビューを飾る小林達夫と、豪華な原作、スタッフによって映画化された「合葬」。オファーを受けた際、「嬉しかった」と振り返る。

「渡辺あやさんの脚本で演技をできることが純粋に嬉しかったです。渡辺さんの脚本が実際素晴らしくて。いい脚本過ぎて、映像になったとき『極はだめだ』って言われないようにしたいと思いました。この作品に入る前、「アオイホノオ」というドラマをやっていたんですけど、顔をオーバーに動かす癖がついていたので、リハーサルで監督にオーバーだって言われないように意識しました。小林監督は商業作品1作目だったので、どのような監督かは分からないまま現場に入ったのですが、いろいろ話をしていく中、挑戦していく監督だと思いました。アングルとか音楽とか、すごくチャレンジできている作品だと思います。チャレンジすることは怖かったりもしますが、そういう作品に出演できて嬉しいです」

―― 杉浦日向子の原作にも大きな魅力を感じたようだ。

「時代劇の漫画を読んでいる感覚がなく、さらっと読めながらも、引き込まれるというか。戦うということにライトを当てているのではなくて、3人の青春や、3人とほかの人物を含めた関係性などが大事なんだと思いました。脚本でも感じたのですが、深い説明もないですし、分かっていないならそれはそれででいい、知りたかったら自分で調べてね、というクールな眼差しがいいな、とっても好きだなと思いました」

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―― 舞台は幕末の江戸。江戸幕府解体に反対する「彰義隊」に加わった若者たちの数奇な青春を描く本作で、将軍に忠誠を誓う青年、極を演じた。

「悟っている人物だと監督に言われました。先のことを想像してなんとなくわかっている中、こうするべきだって行動していきます。芯が1本通っているからできることですよね。現場に、渡辺あやさんも何回か来てくださって、いろいろ質問させてもらったんです。監督と声を揃えて言われていたのは、極はカリスマだってこと。その言葉が嫌いになるぐらい意識しました(笑)。カリスマになる人は、カリスマって言葉を意識してないじゃないですか。どうやってなるんだろうって、悩みながら演じました」

―― 今回初タッグを組んだ小林監督について挑戦的だったと先ほど語ったが、その印象は「アーティストのようだった」と語る。

「小林監督は、介錯のシーンを「ラップみたいだった」って言うんです(笑)。感性が人と違っていて、すべてビートで聴こえているんだなあって。ほかのシーンでは、監督が「ここは『スプリング・ブレーカーズ』のイメージで」って言うんです。時代劇とマイアミが重なる瞬間が来たんだなって思いました(笑)。でも、説明を聞くと腑に落ちるんですよね。小林監督によって、この作品は本当に特殊な映画になりました。音楽っぽいというか、新しい時代劇なんですよね」

―― 撮影は、京都・松竹撮影所で行われた。伝統ある撮影場所、スタッフが職人とあって、最初は怖いイメージを持っていたようだが…。

「毎日怒られるんだろうなって思っていたんです(笑)。上野の寛永寺に行ってストラップを買ってお守り代わりにつけて京都入りしました(笑)。でも、現場に行ったら物語が青春ということもあってか、怖くなかったです。スタッフさんが勝新太郎さんの話をしていたり、歴史の重みは感じましたが、楽しく過ごすことができました」

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―― 柳楽にとって初の時代劇となった本作となるが、どんな経験ができたのだろう。

「いろいろ挑戦できたし、時代劇が大好きになってもっとやりたいと思っています。普段舞踊をやっていることもあって、所作はすごく気にしていたんですけど、現場で練習してもすぐ忘れてしまうんです。忘れないように、個人的にこれからもやっていきたいですね。もともとこういう世界観が気になっていたこともあって、3週間京都に滞在した中で着物にハマってしまい、敷居が高いと思ってなかなか一歩踏み出せなかったんですが、思い切って着物を作っていただいたりもしました」

―― 初号で本作を初見した印象は「不思議な映画。だけど、そこが魅力」と柳楽は語る。

「今まで観たことがないタイプの映画だと思いました。1回、2回と回を重ねて観たいですね。きっとみなさんも、もう1回観たいし、この時代のことを知りたいと思ってくださると思います」

―― 近年活躍の幅をどんどん増やしている柳楽。最後に今演技をすることは楽しいかどうか聞いた。

「そうですね…、芝居している最中は怖いです。不安だったり、ある程度の緊張感がありながらやっています。でも、映画の場合、公開日があって、その日がどんどん近づいてくるとワクワクしてきますね。もう撮ってしまったからいいや、ってどこかで開き直っています(笑)」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2015 杉浦日向子・MS.HS/「合葬」製作委員会

MOVIE

『合葬』

9月26日(土)全国公開


幕末の江戸。将軍の警護と治安維持を目的に結成された彰義隊は市民たちから厚い信頼を寄せられていたが、幕府の解体により反政府的な立場へと追いやられてしまっていた。将軍・慶喜に忠誠を誓った極(柳楽優弥)は、友人・悌二郎(岡山天音)の妹との婚約を破談にしてまで彰義隊に身を投じる。一方、極と悌二郎の幼なじみである柾之助(瀬戸康史)は、養子先から追い出され、行く当てのないまま彰義隊に入隊。また、悌二郎は彰義隊の存在意義に疑問を抱きながらも、極たちと関わったために運命を翻弄されていくーー。

▼公式サイト
http://gassoh.jp/

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