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2012年5月28日更新
ダークヒーロー・住本健司の活躍を描く人気ドラマシリーズがついに映画化。今度の事件はドラマ以上に危険がいっぱい。韓国ロケ、韓国俳優の参加でスケールアップした劇場版の秘密を、主演の渡部篤郎が語る。
危機に面した日本を住本がどう救うか? スリリングなエンターテインメント
── 今までにない世界観!と注目されたドラマ『外事警察』が待望の映画化。主人公の住本健司を演じる渡部篤郎は『外事警察』の魅力をこう語る。
「ハリウッド映画に出てくるスペシャリストのような職業なんですよね、外事警察って。国際テロを未然に防ぐために人知れず諜報活動をする仕事で、最も特徴的な点は、情報を得るために一般人を“協力者”という名のスパイに仕立てるんです。相手の弱みにつけこんで、協力せざるを得ないようにするなんて、演じていて良心が痛むこともありますが、エンターテインメントとしてはとても面白い題材だと思います。事件のスリルだけでなく、関わる人間と人間の信頼や愛情もきめ細かに描かれているところも見どころのひとつです。ドラマシリーズ放送中から、映画になり得る作品だと思っていたので、映画化が決定した時は嬉しかったですね」
── 日本を狙うテロ組織と外事警察と協力者が騙し合いを繰り返していく様に目が離せない。映画化に当たり、外事が挑む事件はドラマシリーズよりも大きくなった。
外事警察のエース・住本は事件を追って朝鮮半島へと向かう。そこには、おそるべき核爆弾の秘密が待ち受けているのだ。
「住本は非常に優秀な外事警察で、これまでも多くの事件を解決してきましたが、今回ばかりは“もうダメかもしれない”という局面にぶつかります。事件の鍵を握る徐博士を演じた田中泯さんとの駆け引きのシーンはとても刺激的でしたし、協力者となる奥田果織役の真木よう子さんや韓国俳優のキム・ガンウさんとの芝居も、お互いの空気を感じながら楽しくやれました」
── 渡部は今回、流暢な韓国語も披露する。クランクイン一ヶ月くらい前から集中してレッスンしたと言う。
韓国俳優キム・ガンウは『男たちの挽歌』などに出演している俊英。渡部の出演したドラマ『愛なんていらねえよ、夏』を母国で見ていて、俳優としての渡部に魅力を感じ、今回の共演を楽しみにしていたと言う。そんなガンウと渡部の共演には邦画を超えたスケールが漂う。
「韓国ロケも新鮮でした。民家の様子を肌で感じることも演技の役に立ちましたし、特に、釜山の防空壕を使って2日間に渡り撮影したクライマックスのシーンは印象的です。独特な雰囲気があって、その空気に呑まれないように必死になったところが画面にもいい効果を与えているんじゃないでしょうか」
── 心身共にハードな韓国ロケではあったが、その中でも渡部はリラックスも忘れない。合間をみつけて観光もしたそうだ。
「住本役があまりにもハードで精神的にもキツいので、時には気分転換しないと(笑)。俳優の中にはずっと役のことばかり考え続ける方もいますが、僕はなるべく切り替えていきたいんです。現場に入った瞬間どれだけ集中できるか自分を試したくて」
── 渡部は、待ち時間は、共演者の真木よう子や尾野真千子たちと朗らかに談笑しているが、カメラ前に立つやいなや、たちまち「公安の魔物」と呼ばれるクールな住本になってしまう。
「いや、でも、映画がクランクインしたばかりの時は、ドラマから2年経っていたので、住本ってどんな感じだったかな?と思い出すのに少し時間がかかりました(笑)。やりはじめたら、ドラマでしっかり作り上げたキャラクターなので迷いなくできましたよ」
── 渡部が作り上げた住本とはいったいどんな人間なのか。住本健司のミステリアスな存在感も作品の強烈な魅力となっている。
「実在の外事警察経験者の方にお話も伺いましたが、なかなか真似できるものではないですよね。気配を消す仕事だって言うけど、ドラマの中で気配を消すわけにもいかなくて(笑)。そこは物語と割り切って演じました。住本の心情については、彼は『公安の魔物』と呼ばれてはいますが、そう呼んでいるのはあくまで周囲の人たちで、住本はひどいことをやっているつもりはないと僕は解釈しています。ただただ任務に忠実な人なんだと思いますよ。日本を守る仕事をしていることに誇りをもっている人です。テロを防ぐための手がかりを得ようと、どんな手を使っても相手を説得する。その気持ちには何の偽りもないんですよね。日本の危険を守る立場として、一般人の弱みにつけこんで協力者にしたり、時には部下を裏切ったりする。信頼を得ることも裏切ることも、すべては仕事のため。だから、わかりやすく騙しているっていう顔もしないし、相手の状況に素直に悲しんで涙することすらあるんです」
── そんな風に答えてくれた渡部だが、本当なのだろうか。なぜなら、ドラマ版でも、え?そうだったの!なんてことが何度もあった。その?みどころのなさこそが、住本健司の人心掌握術のひとつ。一度ハマるともう逃れられない。
「扱っている題材が、国際テロというシリアスなものなので、社会派作品と思われることもよくありますが、あくまでエンターテインメント作品です。危機に面した日本を住本という男がどうやって救うか? 逆転に次ぐ逆転を楽しんで頂きたいです。いろいろなエピソードや人間関係が複雑に絡み合っていますがそれがみごとに2時間強にまとまっています。もちろん、ドラマをご覧になっていない方にもわかりやすく作ってあるので、ドラマからの『外事警察』ファンの方も初めてご覧になる方も、楽しんでください」
Writing:木俣冬
『外事警察 その男に騙されるな』
2012年6月2日全国ロードショー
国際的テロを未然に防ぐために組織された外事警察。その一員・住本健司(渡部篤郎)は、流失したウランの行方を追うという重要な任務を課された。情報を握ると思われる徐昌義博士と奥田貿易の社長夫人・果織(真木よう子)に接近を図って……。
(C)2012「外事警察」製作委員会
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