「企画をいただいた段階で、すでに脚本は進んでいました。なので、脚本を改稿していく過程で原作を読みました。アニメ映画『カラフル』は映画館で観ていたのでストーリーは知っていました。原作を読んで感じたのは、いろいろな要素が入っているということ。ファンタジーっぽい要素から始まり、徐々に生きることに焦点が合っていくという流れ、いろいろな要素が入りつつ、それが軽やかな一人称で、すごく読みやすい形で描かれているところが、児童文学として長く読まれている理由かなと思いました。原作などとの距離や、要素をどう融合させていくかをみんなで考えました」
「多くの人に届いてほしいという気持ちはありましたが、目の前の制作に精一杯で、特にプレッシャーを感じる余裕はなかったです。Amazonが製作する初の邦画作品ということで、新しい何かを模索していくという印象が強かった気がします。自分がこの作品を作る意味を考えながら、主人公のシロと一緒に旅をする難しさやワクワク感を味わいつつ、みんなで作り上げていきました」
「ファンタジー的なVFXを使った表現は今まであまり経験がなかったので、それは挑戦のひとつでした。こういうやり方があると知れたことは自分にとって大きな収穫になったと思います。濱田岳さんが演じた管理人は、シロを導く不思議な存在です。見せ方のバランスがとても難しく、詳しくは言えないのですがさらに演じ分けも求められる役でした。最初の出演シーンではモーションコントロールカメラを使い、カメラの動きを記憶させて、濱田さんにはそのカメラの動きに合わせて、同じ演技を同じタイミングで、何度か演じてもらいました。ものすごく高度な演技力や集中力を要する撮影だったのですが、見事に表現してくださり、濱田さんに出演していただいて良かったと心から思いました。早くみなさんにその凄さを観ていただきたいです」
「大学生の頃、1ヶ月ほどアイルランドの片田舎にホームステイしました。英語の勉強をしたい、日本人があまりいない場所に行ってみたいという理由で選んだ場所だったのですが、アイルランドの英語はすごく訛りが強くて、慣れるだけで大変でした(笑)。羊牧場が広がる場所で、週末は古いお城を巡るのが楽しみという過ごし方で、思い描いていたホームステイとはちょっと違う孤独を感じる1ヶ月でした。とはいえ、見たことのない風景、知らない街で暮らすことはすごく好きで、海外の映画祭に行くと延泊したりして違う視点を探すことはよくします。今思いつくだけでも、ヨーロッパや、アラスカ、南米、世界遺産・・・、行きたい場所は本当にバラバラ。行ったことのない場所で、知らない世界を見てみたい、そういう気持ちは常に持っています。未知の場所で、さまざまな体験をするという意味では、この作品のホームステイと重なる気がします」
「難しいですが、なんとなく、ハリウッドスターの体の中に入ったら、今の自分とは全く違う経験ができるだろうな、なんて想像してみたりもしました(笑)。自分にない要素を持った人の中に入りたいです。足の速い動物とか、のんびりしたコアラとか、すごく体の大きい動物もおもしろそうですよね。自分と違うリズムというだけでなく、人間とは違うものが見える気がするので。でも、100日とかはムリかな。象の中に100日とかいられない気がします。でも、あっという間なのかも(笑)」
「見る人によって、いろいろな捉え方ができる作品だと思います。観終わった後に、少し軽やかな気分で、今まで言えなかったことを誰かに思い切って言葉にして伝えるきっかけになるとうれしいです。世界に配信されるので、日本のみならず、いろいろな国の人と、自由に感想を共有していただきたいです」
Writing:タナカシノブ/Styling:髙山エリ/Hair&Make-up:友森理恵(ROOSTER)
<衣裳協力>
長着、パンツ/ともにmatohu(TEL.03-6805-1597)
WEB
Prime Videoにて2月11日(金・祝)から世界独占配信
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