「罪という文字が書かれた紙があったとしたら、そこには余白がありますよね。『これは罪だぞ! 有罪だぞ!』という部分ではない、白でも黒でもなく、情報があるわけでもない、ファジーでグレーな部分にいる女の子と父親のお話……なのかな(笑)」
「まずシナリオをいただいて読んだところ、作品の吸引力やパワーに圧倒されました。娘を失った父親がその原因を究明していくと、“邪悪な女子高生”に対峙するという構図が面白いと思いましたし、サスペンス仕立てということもあり、ストーリーにグイグイと引き込まれました」
「まだ安藤というキャラクターを掴めていない時期に、彼女たちと本気で演技をさせるわけです。台詞もなく、じっと耐え忍んでいるような表情で芝居をしている私に対し、大塚祐吉監督が『内野さん、その瞬間のその表情が安藤聡なんですよ!』と声を大にしておっしゃったのが印象的でした。あのときに、監督が求める安藤像のイメージの片鱗を見たような気がして、『なるほど、こういう攻め方か』と感じました」
「監督が『いい感じ』と言う時と、無言のときがあるんです。自分で映像を見て、監督さんの反応と突き合わせをすると、監督の意図がすごくよくわかりましたね。今回演じた行動心理学者でありメンタルがそれほどタフではない安藤という男は、繊細な表現が必要なキャラクターなので、リハーサルで監督に鍛えられて感謝しています」
「こういう邪悪な役は、邪悪さの内側にピュアなものも持っていなくちゃいけない。小手先が通じない役。その鉱脈を掘る作業は、役者としてとても挑戦しがいのある役。だから彼女(吉本実憂)に対して『これはいい役だぜ! がんばんな!』って、最初にエールを送りました」
「安藤がウイスキーのグラスを片手に学校に電話をかけるシーンがあったんです。それは監督にとってとても重要な瞬間で、『彼は、ウイスキーがないと電話をかけられない。その性質を大事にして演じてください』という助言もヒントになりました。タフじゃないヤツが頑張る物語なので、そこに自分の感性をもっていく作業が難しくもあり、新鮮でもありました」
「10代のお子さんを持つ親御さんにとってはちょっとキツいお話かもしれません。実際、観ていてつらくなったという感想も聞きましたし、考えさせられる要素は多分にあります。でも、僕はこの物語にはサスペンス映画として引っ張る力はある作品だと思っています。そして、何かしら皆さんの心に残る何かがあったら嬉しく思います」
Writing:須永貴子/Photo:小林修士(kind inc.)
MOVIE
2015年10月3日(土)公開
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