「やっぱり同世代だったりちょっと上の役者さんだったり…舞台を経験している方たちが身近にも多かったので、どこかで自分も舞台をやりたいな、やっておかなきゃなとは思っていました。作・演出の倉持(裕)さんの創り出す『家族の基礎』の世界は、出演者ひとりひとりが生き生きとしていて…今回は特に明るいコメディー要素の強い作品ですし、まず始めに自分自身が“この舞台ができたら楽しいだろうな”と感じられたお話でした。この作品なら舞台の上でのびのびできるんじゃないかな…というのが、最初の印象です」
「なんか…出てくる人たちがずるい大人ばっかりなのがすごい面白くて(笑)。初めは人間の汚い部分が見えるんだけど、それがいつの間にかどこか愛おしくてキュートに見えていくのがスゴいですし…ユーモアだらけで面白い! 今回は特に家族のお話なので、自分自身に直接響いてくることも多いんです」
「益人はかなり早い段階で成熟されていくというか、すごく自立心が強くて野心にあふれている青年。芸術家を志してそれがすぐに結果に繋がってしまうちょっと天才肌のところがあって…我の強い人間です。子どもの頃からとにかくいろんなことを知りたがっていて、いろんな事に影響されながら早く完成された大人になりたいと考えている。家族の中では忙しい父親にはあまり構ってもらえず母親が大事に大事に過保護に育てて…いわゆる英才教育です。それが息苦しくて母親の前では良い子なんですけど、裏ではいろんなことを勝手にやっている。思春期にはありがちといえばありがちな、そんな面も持っています。ただ、女性関係だけは全然ダメダメで(笑)。思想だったりそういうものばかりが突っ走ってしまっているっていうところが見せられたらと」
「僕、この台本を読んだときにホントに面白くて、この作品をやれることに喜びと意欲しか感じられなかったんです! 稽古に入る前から何回も本を読んで、そのたびに“面白いなぁ”と思って。自分の役についてもすごく考えて、まずは最初の本読みでそれを全部ぶつけました。まぁ、お芝居の稽古に関してはホントにわからないことだらけなんですけど、倉持さんも共演者のみなさんも“初めはできないのが当たり前だし知らないのが当たり前だから、難しいこと考えず、まずはなにも気にせずお芝居でぶつかってきて”というスタンスでいてくださって。僕はとにかくもういっぱいいっぱい。稽古場では常にもっともっと、時間の許す限り最後まで詰めなきゃなって思っていたり…でも、ほんとにこんなに時間をかけてひとつひとつのシーンを創っていくことって、映像の現場ではなかなかできないことなのですごく新鮮。それにその過程がやっぱり確実に自分の自信にもなっていくんです。お芝居をしていてひとつひとつの動きだったり台詞がちゃんとフィットした瞬間を味わえて、どこもふわふわした感じがないというか…そういう実感がすごい気持ちよくて。なにより、父親役の松重(豊)さん、母親役の(鈴木)京香さんに六角(精児)さんに…みなさんが芝居をゼロから創っていくさまを見れることはホントにありがたくてとてもすごいことなんです。自分にとってはプラスでしかないです。ほかの人の場、僕が出ていないシーンでもみんながアイデアを出し合ってお芝居が…作品が変化していくさまとかを見ていると、稽古時間もあっという間ですし。ずっと集中していられるので、いつも“あ、もう終わった”っていう感じ。ホントに時間がいくらあっても足りないです」
「稽古初日、まず倉持さんに“余計な動きが多いし、役についてすごく考えているのは解るけど、表情だったりではやっぱり伝わらないから…舞台は中途半端なことしても伝わらないというところをもっと考えたほうがいい”とアドバイスをもらいました。そう思ってみなさんを見てみると、やっぱりひとつひとつの動きの意味とかすごく解りやすくて。どの角度からどの距離から観ていても、今どういうお芝居をしているのか、それはどういうテーマの場なのかっていうことがしっかりと伝わってくるので、それを今、スゴイ盗んでます。また、役者同士が長い期間濃密な時間をすごせるっていうのも、なかなか経験したことのない感覚。稽古半ばくらいですでにしっかりと絆が芽生えますし、作品に対して互いに追究しあえる環境にいられるのは、やっぱりたまらなく幸せに感じられます」
「稽古場に居ると、舞台経験豊富な方たちが揃っている中、自分がやってきたことってなんでもないことだったんだなって思いましたし、お芝居ってここまで深いものなんだよなって、改めて思えるんです。ここに居る人たちにとって…舞台は“お芝居をする場所”なんだってことが強烈に感じられる。やっぱり舞台をやっている方たちってお芝居することを愛していて、そこに対する覚悟って、自分はまだまだ全然だったなって思えたりとか…しています。うーん…それが映像の表現では好まれない場合ももちろんあるんですけど、でも…“自分は知らなくてもいい”と思っていたようなことにもちゃんと向き合えたというか、大切な発見もたくさんありました。今はとにかくもうそんな緊張とか初舞台だからとかの言い訳なんてしてられないです。初日終えたあと自分で“あ、大成功した”って(笑)、思いたい。倉持さんも稽古でやったことを信じられればそれが絶対だからっておっしゃってくれているので、ホントに稽古で100パーセントやって、気持ちよく本番を終えたいというのが自分の目標です。そのためにもなるべく冷静でいたいです。このチームに溶け込んで、自分が納得できるというか…大きなミスなく、役割をまっとうし、体調にも気をつけて全公演やり遂げたいです」
「まだわからないです。それはホントに…どうなるかはわからない。なにかが起きてものすごいトラウマになるかもしれないですし。ただこの物語はホントにすっごい魅力のある脚本だなって感じているので、僕自身お芝居に対してとても強くて深い思いがあって演じています。そうやって愉しんでお芝居をしている姿を生で観ていただくこともなかなかないと思いますので、僕自身もいい機会だなって思ってますし、観にきて下さるみなさんもいい機会にしていただけたらなって。誰が観ても解りやすくて愉しめる舞台であることは間違いありません。観て損はないです。劇場でたっぷり愉しんでください」
Writing:横澤由香
STAGE
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