「きっと第1話を観ただけだと、僕が演じる一条ジョーはイタい感じで登場するだけなので、まだまだ人物像が見えてこない。けれど、今後とっ散らかしていくので、早く全部観ていただきたいくらいです。このドラマが面白いところは、一条ジョーが全く成長しないところ。一般的なドラマって、どんなにダメな登場人物でも成長していく流れが多い。一条もことあるごとに人として大事なものとは?を自分なりに学びとるんですけど、すぐ忘れちゃって本来の自分に戻ってしまうんです。そういう憎めなくて面白いキャラを見守ってもらいたいなと。それに僕自身がこの役柄を演じてみて、本当に終わりたくなかったんです。この先どうなるかをもっと追いたかった」
「彼は言っていることもやってることもコロコロ変わるんだけど、「この人はスゴイ」と思える人に出会ったら、素直に良いところをパクろうとする。行き当たりばったりだけど、信じた道を突き進む強さを持っていて、そこが魅力だと思いました。あとは劇中にも出てくるんですけど、一条は言葉だけが先走って、行動も伴わないし、結果も出ない。その結果、大失敗をするんです。そこで伊藤歩さんが演じる主人公・坪倉春子が励ましてくれるシーンがあります。一条の一番良いところは“人の悪口を絶対言わない”ところだと。常にどんな人に対しても上から目線で接しないんですよね。自分が一番大切だけど、自分が目立ったり、活躍することによって、みんなも幸せになればいいのにと人の幸せを願える男なんです。そこは良いところだなと思っていて」
「単純に嬉しかったですね。監督が言うには“やっぱり、林くんでしょ”って押してくれたそうで。こういうテイストの役どころはあまり演じたことがない分、可能性を信じて選んでくださったのがすごく嬉しくて。脚本を読んでも、実際に演じてみても一条の要素はまったく自分にないんですよ(笑)。でも、演じていてすごく気持ちがいい役どころです。僕自身は自分に自信がないとか、人付き合いが苦手とか……そういう自分の嫌いな部分がたくさんあって悩むことも多いんです。だから今回みたいな役をやると、自分が本当にやりたいことだったり、「こういう風に人と接したかった」と思うような密かな願望が存分に発揮できる。演じている日々は楽しくて楽しくて仕方なかった。こんな経験ができるのが演技の醍醐味だな~と改めて感じることもできました」
「単純にいただいた作品が時代劇だったとしますよね。その時代に生きていたわけでもないけど、やらなきゃいけない。そんなときは根拠のない自信を持ち続けないとやっていけないですよね。さも、その時代を生きていたかのように演じるっていう」
「実はこうして仕事をしているけど、社会に出てるという感じは全然なくて。社会人感覚が薄いんです。でも、誰にもできないことを仕事にしているというところに誇りを持たなければいけないなと思ってます。役者をやり続けるということは、その人にしかできないことをやり続けていくこと。そういう確固たる誇りは持っていたい」
「成長しないというテーマひとつでも、すでに観たことないドラマになってます。僕自身が作品から感じたのは、平凡よりも常にチャレンジし続ける人生のほうが楽しいんじゃないか?という問いかけでした。人生には局面に立たされて、何かしら選択しなきゃいけないときがくる。そこで自分が考えるよりも、より挑戦的な選択をしたほうが絶対面白い結果になるんじゃないかと伝えてくれるドラマです。主人公の春子さんは11年間会社員として出世を目指して働いてきた女性。そこで新入社員の若者と出会い、彼女の本来のプランではないことに巻き込まれていきます。良いことも悪いことも含めて色んな波にのまれますが、いざ終わってみて、“一条に出会った春子さんと一条に出会わなかった春子さん”を比べたときに、どっちの人生に魅かれるものがあるか自分に置き換えて考えてみてください。全8話で終了してしまいますが、その間にも想像がつかない展開になります。最後まで一条ジョーの生き様を見届けてもらえたら幸せです」
Writing:長嶺葉月
TV
毎週火曜日23:15~NHK BSプレミアムにて放送中!
pagetop
page top