「『プライド』を観るたびに『いつか自分も野島伸司作品に出たいな』と思っていたので、夢が一つ叶ってすごく嬉しいです。野島さんの台本って、セリフ1つとってもめちゃくちゃ面白い。フィクションの要素が強いものの、キャラクター同士の関係性にはリアルな部分も多くて、その二つが絶妙にマッチした感じが魅力的。『お互い無事に生還して幸せになろう』とか、日常会話では絶対に出てこないような、野島さん独特の言い回しのセリフを自分に落とし込んでいく作業が、個人的にはすごく新鮮でした。タイトルにもインパクトがあるし、『え?! これどういうドラマなの?』って、めちゃくちゃ気になるじゃないですか(笑)」
「ドラマの前半では“誰もが結婚したいと思うような爽やかな好青年”を意識しながら演じていました。でもある日突然、婚約者の仁美から言われた『気になる人が現れた』という一言と、仁美の“思い人”であるまなぶの存在を目の当たりにしたことによって、今まで作り上げてきた圭吾の人間像が崩れて、どんどん人間くさくなっていく……。これまで悪役に見えるような役柄はあまりやっていなかったので、とてもやりがいがありました。もともと悪いヤツをやってみたかったんですが、圭吾は表面的には好青年なのに、実は相当腹黒い。ドラマの後半、女性に対して、僕には考えられないようなひどい態度を取ったり、とんでもない暴言を吐いたりもするんです。役を通じてじゃなければ絶対にできないことがやれるのも、ある意味役者の醍醐味ですよね。台本通りのセリフを口にするだけでイヤなヤツに見えてしまうので、見た目からはできるだけ悪役感を出さないように、あえて自然にやりました」
「よく受け入れたなと思いましたよ。僕だったら正直その時点で無理です(笑)。圭吾は自分のことだけが大事な男なので、仁美のことを本当の意味では愛せていないんです。あくまで世間体を考えた上で仁美を選んでいるだけなので、そこが自分とは違うと思いました」
「僕ですか? いや、ないですね(笑)。好きな人が現れると僕はそれ以外のことが一切目に入らなくなってしまうタイプなので、そこはまったく共感できないです。たとえ美人でも」
「家族にだって秘密はあるし、恋人にも秘密はあって当然だと思う。その上でお互い良い関係性が築ければいいわけで。個人的にはここまでバカ正直に話す必要は無いと思います」
「笠松くんって、ムキムキなんですよ。『どうやって鍛えてるんですか? 今度よかったら一緒にジムに連れていってください』ってお願いしました。笠松くんはその時々に湧き上がる感情を重視しながら、同じお芝居をしないタイプの役者さんだったので、僕もそこに喰らいついていくような感覚があって、刺激的で楽しかったです。松井さんと僕はお互いにサッカーが好きなので、空き時間はひたすらサッカーの話で盛り上がりました。萩原さんは過去にも一度共演したことがあるんですが、その時は『萩原さんって、すごくドライな人なんだな』と感じたんです。でも、今回は意外と人間的な一面も垣間見ることができました(笑)。第6話で、圭吾が、仁美のお母さん(国生さゆり)とお姉さん(菅野莉央)に本音をぶちまけて、一気に悪に変わる瞬間があるんです。それまでとは圭吾の見え方がガラッと変わるシーンだったので、そこはめちゃくちゃ気合いを入れてやりました。僕がひたすら喋る場面を長回しで撮ったので、良い緊張感もありました」
「僕自身、割とサバサバしている部分があって、女性に対しても結構はっきり言うタイプだったんですが、改めて『女性には優しくしよう』と思いました。でも、圭吾に比べたら自分の方が遥かにマシだから、『まぁ、このままでもいいか』とも思ってるんですけどね(笑)。圭吾は過去にも浮気をしたことがあるのか、それとも今回が圭吾にとって初めての浮気なのか――。それだけで芝居の方向性が全然変わってくるなと思ったので、衣装合わせの時点で監督に訊いてみたんです。そうしたら監督から『今回が初めて』という答えが返ってきた。そこで、圭吾の方向性が固まっていきました。『自分だったら……』みたいな既存の価値観にはとらわれず、あくまでお芝居だからこそ言えるセリフや立ち居振る舞いを、目一杯楽しみながらやりました。野島さんの台本に書かれた言葉が持つ本質的な意味を捉えるのが難しかった分、役者としてすごく勉強になったし、このドラマに参加できて本当に良かったです。これを機に、またいつか野島さんの作品に出られたらいいなと思っています」
「僕も今年27歳で、そろそろ言い訳がきかない年齢になってきたなと感じるので、気を引き締めて芝居に取り組んでいます。自分とかけ離れた役柄を演じる場合、キャラクターの人間性を一から考える必要があったりもするのですが、個人的にはそこが一番面白い。今回のように物語のアクセントになる役は、結構目立つポジションでありながら自由度も高く、いろいろ試せることが多くて楽しいんです。それこそ主演の場合は受けの芝居が中心になってくるから、あまり色が出せないところが難しいと聞いたので、今後はそういった立ち位置のお芝居にも取り組んでいけたらと。僕が尊敬している演出家のスズカツ(鈴木勝秀)さんからは『声を武器にしろ』とアドバイスをもらっているので、機会があれば声の仕事にも携わってみたいです。実は今回、ベッドシーンにも初めて挑戦したのですが、とにかく恥ずかしがらずにやるように心がけたところ、思っていたより緊張せずにすんなりできました。そういう意味では、個人的にも新たな挑戦ができた作品になったんじゃないかと思います。“エロい彼氏”のような役はまだやったことがないので、いつかめぐり逢いたいです(笑)」
Writing:渡邊玲子/Photo:笹森健一
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