── 戦国乱世の終焉を描いた『軍師官兵衛』。田中が演じるのは織田信長の小姓、万見仙千代。信長の小姓といえば森蘭丸を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。その前任といえるのが、万見仙千代だ。

「この時代は僕も好きで詳しいほうだと思っていたのですが、万見仙千代のことは知らなくて。生い立ちなどを調べるにしても、彼に関する本もなかなかないんですよね。限りある資料の中から得た知識と、周りの登場人物からイメージをふくらませて役に挑みました。仙千代は今でいうとエリートサラリーマンみたいな感じかな。てきぱきと動いて、上司である信長の指示にすぐに対応する。デキる男だったみたいです。戦国時代が好きな自分としては、信長や秀吉と肩を並べて話すシーンはドラマといえ、おお！っとなりました（笑）」

── 大河ドラマへの出演はこれが3作目となるが、名だたる俳優陣が出演する特別な場に“慣れ”という言葉はないようだ。

「どんな現場も最初は緊張しますし、気合いが入るのですが、大河ドラマは独特な雰囲気ですよね。役者としていろいろな経験をさせていただきましたが、『軍師官兵衛』ではまだまだ若手で。軍議をするシーンでは明智光秀役の小朝さん、荒木村重役の田中哲司さん、そして信長役の江口洋介さんなど、先輩ばかりでいまだリハーサルのときには緊張します。もう手に汗びっしょり（笑）。みなさんの芝居に圧倒されてばかりです」

── 「日々、勉強」を痛感させられる現場だったという。

「とにかく刺激が多く、『こんな風に間を取るんだ』とかその都度、ハッとさせられますね。特に哲司さんの目の芝居が印象的で。僕（万見）は荒木村重を追い詰めていかないといけないのに、逆に圧倒されそうになるんです。負けてはいられないなと思って演じていますが、まだまだですね。以前、北大路欣也さんに『目の動きひとつで語れることがあるから』と言われたことがあったのですが、その時はまだよく分からなくて。でも、哲司さんの芝居を見て『ああ、こういうことだったのかな』とすっと入ってきたんです。大先輩の方ですら、まだまだ芝居はわからない、いつまでも勉強だというのを聞くと、僕にはゴールが見えなくて。でも、きっと芝居にはゴールがないんでしょうね」

── 田中の出演は5月25日がラスト！　有岡攻めに関わったといわれる万見仙千代の活躍はいかに!?

「荒木村重をどう追い詰めていくのか、そこが見所のひとつですね。撮影が終わったときは清々しい気持ちでいっぱいでした。ひとつの役を長く演じていると、終わってしまうさみしさもあるけれど、それ以上にやり切ったという気持ちが大きくて。全力投球で挑んだ結果は見てくれている人が評価してくれることだと思うので、ぜひチェックしてください。そして、僕の出演はラストですが、『軍師官兵衛』は年末まで続きますので、引き続き黒田官兵衛の生きざまを見ていただければと思います」

── 終わりがあれば、始まりもある。4月からスタートした『テレビでスペイン語』。ナビゲーターとして田中もスペイン語に初挑戦！

「僕もイチからのスタートなので、見てくれている人たちと一緒に成長していけたらと思っています。スペインはまだ行ったことがないので、ここで勉強して観光に困らないくらい話せるようになりたい！　また、サッカーが好きなので、コミュニケーションが取れるようになったらスペインの方と一緒に観戦できればと思っています。語学を習得するのって、まずはやる気だと思うんです。『スペイン語って面白そう』と思ってくれるきっかけ、始めてみようと一歩踏み出すきっかけを僕らが作れたらいいなと思っています。まずは、気楽な気持ちで見てください」