── 台割（1冊をどう構成するか）の作成をイチから行うなど、編集長としての手腕を見せた『s’eee』創刊号（2011年10月発行）。鈴木えみを見せる写真集ではなく、対談やヘアメイクのレッスン、ファッショニスタのスナップと盛りだくさんの内容で、多くのファンを魅了した。

「約5年ぶりに本を出すことになり、どんな内容にしようか考えたときに、単なる写真集はいやだなと思ったんです。新しいことにチャレンジして、自分自身が頑張れるものをと考えたときに、丸ごと1冊をディレクションして雑誌みたいなものが作れたらいいなとはじめました。いつもは写真を撮られる側なので立場が逆転するのは面白かったけれど、大変なこともたくさんありました。作っているときは満足いくものができていると思ったのですが、見本誌ができた時点で『もっとこうすればよかったかな、あんなこともできたかも』と思えて。次々とアイデアもわいてくるし、また作れたらいいなと思っていたんです」

── 初めてのことだらけで手さぐり状態だったという。後悔というよりは「やりたいことがたくさんあって」との言葉通り、２号目は約20ページも増量!!　私服の着まわしや、対談、DIYなどさらにパワーアップ。

「悪い意味ではなく、あれがしたい、これもやってみたいという点で満足はいっていないんです。次々とやりたいことがあって、常に満足していないからこそ、また本を出したいと思えるんですよね。満足しちゃったら終わってしまうし（笑）」

── 1号目ではプロ顔負けのヘアメイク術を披露してくれたが、今回は後輩である本田翼のコーディネートに挑戦。さらには自分自身の私服着まわしコーディネートも公開。

「いつも私は写真を撮られる側で表の立場にいます。それが、本を作るにあたり裏方にまわるというのが新鮮でした。翼ちゃんのコーディネートをあれこれ考えるのは楽しかったですよ」

── 注目はガールズトーク炸裂の対談。普段から親交のある女優の榮倉奈々さんやスタイリストの風間ゆみえさんとは、プライベートの会話に近いんだとか。会いたかったというIKKOさんとの対談では、普段聞けない恋愛観に迫った。

「きちんとお話するのは初めてで、きっと深いお話が聞けるのではとお願いしました。美容術については雑誌や本で読んでいたのですが、IKKOさんの恋愛観について知りたいなと思って。人生についても興味深かったですね。これは必読ですよ！」

── モデルをはじめて13年走り続け、今や数々のファッション誌でカバーを飾る存在に。

「カバーに選ばれることはとても嬉しいことなんですけど、自分のなかではいまだによくわからないんです。実感がないとかそういうことでもないんだけど、コンビニや書店で見かけてもすごいことなのかがわからなくて。13歳からモデルとしてやってきて、アルバイトもしたことがないし、もちろんほかの仕事をしたことがないので、何が自分にできるかも未知。ただ、飽き性の私がモデルの仕事については全然飽きないで続けているし、まだまだ勉強することがたくさんあると思っているので自分にはあっているのかなと思っています。本をつくるのも、自分を表現することのひとつでもあるし」

── 常に自分自身に満足がいかず、もっともっとという欲、向上心が尽きない。それは『s’eee』に対する思いと同じ。

「撮影される側から撮る側になっただけでも視点が変わるし、写真のセレクトをすることでその企画の流れを考えないといけなくて1枚ではなく全体の並びで考えるようになる。改めて編集者って大変だなって感じました。同時にモデルとして撮影に臨むときに、より全体を考えられるようになったのは大きな収穫だと思います。まだまだやりたいことがあって、3号目についても頭の中にはあるんですよ。でも、ここで明かしたらつまらないので内緒です」

── 何かヒントでも！とのお願いも笑顔でかわされてしまったが、すでに動き出しているようで次号も楽しみだ。あふれ出るアイデアのもとをたずねると……。

「本や雑誌を読むのも好きだし、ネットサーフィンもするし……。一番はいろいろな人に会うことですね。アクティブでいることが大切かな。刺激がないとわき出てくるものには限りがありますから、新しいものにふれていたいんです。最近、気になっているのはテキーラソムリエの資格（笑）。撮影で訪れたバーの店長さんがテキーラソムリエの資格のバッチをしていたんですよ。私もテキーラが好きなので資格を取りたいなって。もしかしたら次号で報告できるかも……というのはわかりませんが、まずは、2号目を楽しんでください。巻頭のファッションページも好きだし、ビューティページも普段はあまり見られないナチュラルメイクもあって、翼ちゃんのコーディネートやDIYと盛りだくさん。ひとつひとつ全力で取り組みました！　個性的な人たちとの対談も楽しめると思いますし、DIYはぜひ作ってほしいですね！」