「実写版のオファーを受けたときは、奥先生の作品ということでもともと読んでいたので、『あ! 実写化するんだ!』と嬉しかったです。しかも佐藤信介監督ですから、『GANTZ』のタッグということで安心感と信頼感しかありませんでした。撮影中にアニメ化されるという話を聞いて、現場にいた偉い方に『(チョッコーの声をやる人は)決まってるんですか?』と聞いてみたら、『主役の2人以外は決まっていない』とのことでした。すでにチョッコーに愛着が湧いていたので、『じゃあ(僕で)どうですか?』とプレゼンをしてみたところ、『面白いかもね』という流れでやらせていただきました」
「普通の子というよりも、むしろ“いい子”代表だと思います。健さんが獅子神に決まっていたので、僕は獅子神をサポートするために普通の役をストレートに演じようと思いました。獅子神も犬屋敷も癖が強いので、自分はなるべくフラットにいることを心がけました。チョッコーの行動は、すべて親友のヒロ(獅子神)のことを思ってのことなんです。『ヒロを止めなきゃいけない。最悪、殺してでも』という考え方も、ヒロのため。そんな大きなリスクをとってでも行動を起こすのは、彼の強さだと思います。高校生役に関しては、27歳になってもいまだに学生役もあり『年齢のことはどうでもいいかな』というスタンスです。健さんは僕よりさらにふたつ年上ですが、獅子神のあの冷酷さや深みはリアルな高校生には出せないもの。そこまで考えた上でのキャスティングだったんだなと思いました」
「あまり意識はしていませんが、アニメの芝居は実写とは異なるものが求められるので、発声の仕方が自然と変わってはきます。アニメはどうしても、映像として伝えられる情報量が実写よりも少なくなりますし、微妙なニュアンスを顔の表情や身体表現で伝えることができないので、デフォルメされた世界に合うようなお芝居になるのだと思います」
「嬉しいです。そう言っていただける理由を考えると、そもそも自分が原作を好きであることが一番大きいのかなと思います。たくさんのアニメや漫画を見てきていますし、もともと自分が好きな原作の実写化に参加させていただけることが多いんです。『いぬやしき』や『進撃の巨人』、『鋼の錬金術師』や『アカギ』が実写化されるなら、どういう風にやってもらいたいかということは、それぞれの原作ファンと同じ意見や目線を持っているので、そこに忠実にやるようにしています。内容を知らない作品でオファーをいただいたときは、オリジナルを必ず見ます。すると、だいたい面白いんですよ。実写化される原作には必ず理由があるんです。そこで自分の役柄の役割を計算して演じ始めると、絶対に愛着が湧いてきます」
「んー、そうですねえ……よくわかんないんですよねえ(笑)。50歳で自分がどうなっているのかを想像しても、まったく見えないです。この仕事を続けていたらいいと思いますし、そのためには今できることを精一杯やっていくのが一番だと思うので、お仕事をいただけているうちは流れに身を任せていようと思っています。さすがに30歳になったら制服も似合わなくなると思いますし。もしかしたら着てるかもしれないですけど(笑)。漫画やアニメ原作の映像作品は、年齢が若い登場人物が多いので、若いうちに声がかかる限りたくさんやっておきたいです。僕自身、漫画やアニメが本当に好きなので」
「映画やドラマを作る現場は僕にとって心地良いんです。ひとつの作品のために、バラバラのところからワッと集まって、完成したら散り散りになり、完全に同じチームになることは二度とない。そういう関係性って、プロの仕事だなと思うんです。なあなあで仕事をしていたり、結果が出せない人は次に呼ばれなくなる。そこが肌質に合っているのかなと思います」
「佐藤監督が大好きですし、一回仕事をしたことがある人たちとの仕事は勝手もわかるし、入りやすいという大きなメリットがあるから、よりいいものを作れる気がします。佐藤監督は7,8年前と変わらずに温厚で穏やかで、しっかり自分のビジョンを持っている、頼れる監督です。気になることを質問すると、細かいところまで考え抜いていらっしゃるので、しっかりと明確に説明してくれます」
「チョッコーはメカやガジェット系が好だろうし、考え方が現代っ子だろうから、獅子神の体がメカ化しても怯えるのではなく、『すげえ!』と興奮するだろうね、というヒントをくれました」
「原作ファンとして、完成したものを観て、めちゃくちゃ面白かったです。東京に住んでいる人からしたら、『新宿でどうやったらあんな映像が撮れるの?』という驚きと迫力のある映像の連続です。ビルを破壊するような派手なアクションは洋画大作ではよくありますが、それが我々のいる街で起こっているからさらにリアルに感じてしまう。木梨さんも佐藤健さんもお芝居が素敵ですし、まさか一対一で対峙するなんて誰も想像しなかった異色の組み合わせですが、それがものすごくハマっている。どちらにも正義が感じられるのは、このお2人が演じているからだと思います。原作が好きな人も納得する実写作品に仕上がったので、ぜひ観てほしいです」
「詳しくは言えませんが、漫画やアニメとは違うラストシーンがすごく好きです。チョッコーのヒロに対する思いが伝わってきて。引きこもりだったチョッコーもこの戦いを通して、ちょっとは成長したのかなと思います」
Writing:須永貴子
MOVIE
4月20日(金)公開
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