「もともと僕はコミックスの1巻から原作を読んでいたファンだったので、映画のオファーをいただいたときはとても嬉しかったです。あの特別なビジュアルの扮装ができるのも嬉しかったし…なにより、これだけの素晴らしいタイトルですからね。個人的にもここまでの大作に参加できたことに非常に充足感がありました。現場では俳優はもちろん、監督もスタッフも全員一流の人たちで、作品への熱もハンパなかった! なので撮影中も不安は全くなく…もちろん撮影はかなりハードではありましたけど、毎日安心して現場にいることができました」
「『進撃の巨人』はすでに原作コミックやアニメなどで広く知られている作品ですから、キャラクターそれぞれビジュアル、声、喋り方みたいなところも固まっていると思ったので、自分が演じるときもなるべくそうしたイメージは壊さずにある程度はそこに寄せていけるよう意識しました。ただ、原作のアルミンは金髪で背が小ちゃくて声が高くて…というキャラクターなんですが、実写化にあたってはすべて日本人キャストが演じるというところも含め、髪の色は原作のビジュアルに寄せない方向で。性格も春馬くんが演じるエレンがスゴく真っすぐで一本強いキャラなので、アルミンはそこに対比した優しさや純粋さ、弱さみたいな部分を意識して演じました。でも…なによりアルミンを演じるにあたって一番大事にしたのは、原作への愛情ですね。ぼくは元々原作のいちファンではありましたが、撮影に入るに当たってコミックもすべて読み返し、アニメも全話見直して…とにかく原作ファン、アニメファンの方々と同じくらい作品を愛して理解するのは絶対的に必要。そうして改めて『進撃の巨人』を好きになって、自分自身が読者・視聴者だったらこういう風にやってもらいたいな、こういうことは絶対にして欲しくないというところはいつも意識し、自分のお芝居にも汲み上げていきました。もちろん、映画版ならではの設定やストーリー展開という部分もありますので、そこはもうバランスですね。アルミンは自分のことを一番に考える人ばかりが集まっている中で、状況を広く見て的確に判断できる賢さがあり、唯一広い視野をもっている。そこはわりと自分にも近しいし、そんなアルミンが後編で珍しく自分の感情をあらわにする場面は、自分自身もスゴく熱くなって気持ちよく演じることができました。 全編通して“作品が本当に伝えたいことが伝えられているか”に常に立ち返りながら、アルミンとしての愛情とバランスを以て世界観を構築していけたと思います」
「まさにリアルな廃墟である軍艦島は、少し脇に入っていくとボロボロに腐りかけたぬいぐるみが落ちていたり、とにかくそこら中にかつてそこで暮らしていた人の念が残っていて…一面に独特の重さのようなものが充満し、まさにこの作品のスタートにふさわしい場所だなって思いました。また、ロケ時には世界遺産になることもすでに報道されていて、そんなところに全員で船で渡ってまで行って限られた時間の中で撮影するのは、すごく意味のあることだと感じました。なんていうか…ロケーションがいいからということだけではなくて、ひとりひとりが“我々はとても大きなプロジェクトをやるんだ”と改めて自分に言い聞かせるための序章の時間でもあったような気がして。気合い、入りましたね」
「少し大げさにというか、普通の日常を描くドラマでするお芝居とは全く違って…舞台まではいかないですけど、とにかく“芝居を大きく”というのは意識しました。例えば巨人と一緒に映っているカットだと人間ってとても小さくなってしまうので、後ろに大きくずっこけるとか、分かりやすく大きなアクションをすることも大事かなと思い…それは出来上がった映像を観ているともう絶対に正しかったです。一番大変だったのは、アルミンが巨人に喰われそうになるシーン。アルミンが死にかけているところをエレンが助けてくれるという原作にもある大事な場面で、それをほぼそのままできたのは嬉しかったんですけど、巨人の口の中にいるのがホントにイヤで(笑)。大きな口のセットの中でお芝居をするんですが、僕は柔らかい素材でできた舌の上にいて、舌はスタッフさんの人力でぜん動し、そこに上のほうからどんどんローションが流され…さらに服の切れ端とか指の欠片とか謎な物が一緒に流れてきては口にも入り…春馬くんとふたりで“これ、なんなんだろうね”って、ヘトヘトになりながら夜中の3時4時に撮ってました。奮闘したおかげでピンチ感ハンパない感じはかなり出ているので、みなさんにはぜひあのシーンでドキドキしてもらいたいですね」
「巨人の体液や息づかいなどがメチャメチャ際立っているのはやはり実写ならでは。彼らが人間をちぎるシーンなどは“あ、これは実際に行なわれているところの怖さだ”というリアルがありますし、あの巨人の前では人間なんて絶望的に圧倒されるしかない。でもそこからちょっとずつちょっとずつ弱い立場の人間が成長し、どう考えても勝てないだろうという相手に挑んでいく…これこそまさに『進撃の巨人』です。僕は弱い役なのであまり自分のアクションシーンはないんですが(笑)、ワイヤーを駆使した立体機動装置の空中戦もめちゃめちゃクオリティ高く表現されていますし、まだ多くは語れないけれど、ストーリー展開も映画版の解釈として非常に良いものになっています。原作ファンの方にはむしろその変更点に注目してもらえたら、先の分からないワクワク感が倍増するんじゃないかな。樋口組一同、“作品のデカさにいかに負けないか”という思いを抱き、誰ひとり期を抜かずに共に闘いながら撮り上げました。『進撃の巨人』、本当に…出れて良かったなって心から思える作品です」
Writing:横澤由香
MOVIE
前篇8月1日(土)・後篇9月19日(土)全国東宝系にてロードショー
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