MOVIE
椎名桔平 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」トークイベント
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』は、今や映画の新たなスタンダードとなったデジタルシネマにいち早くフォーカスした国際コンペティション映画祭。若手映像クリエイターの登竜門として、世界中からエンターテインメント性とデジタルの新たな表現の可能性を感じる作品を公募し、次代を担うクリエイターを発掘することにより、新たな映像産業の発展に寄与することを目的に2004年に誕生した。
今年の特集上映では「トップランナーたちの原点」と題し、ジョージ・ルーカス監督『THX-1138 ディレクターズカット』、クリント・イーストウッド監督『恐怖のメロディ』、スティーヴン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』、三池崇史監督『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』といった、国内外で高く評価され、映画史に名を刻む4人の巨匠監督の才気あふれる貴重なデビュー作が上映されている。
『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』は、1995年の公開当時、東京では新宿シネパトスでわずか2週間のみ公開され、その後現在に至るまでスクリーンで上映されたことのほとんどない、三池崇史監督の幻の劇場用長編デビュー作。椎名にとっても初主演作品となる。
上映後に行われたトークショーでは土川プロデューサーから椎名を主演に起用したきっかけについて“まずはカッコいいから、次に三池監督の(激しい)アクションに耐えられる、最後に椎名の品があるお芝居が大好きだったので”と語られ、それを受けて椎名は、「24年前のことであまり覚えてないですけど、昨日24年ぶりにDVDを見たら覚えているセリフもあるんですよ。台湾にロケに行った時の気持ちも思い出して、飲んだお酒が美味しかったです(笑)。バイオレンス映画はこの作品の前に石井隆監督の作品にも出演させていただいたことがあるんですが、家族愛などの真面目な一面とそうじゃない一面が混在している役がやりがいのあった印象もあるし、ロケも予算も少なかったと思うんですけど大変で、新宿で走るシーンは本当に辛かった記憶があります。でも、あの時期に大きな経験をさせてもらったなという映画です。」と語った。
三池監督から当時の椎名について“カットカットはほぼ1テイクで撮影していたけど、カットを重ねていたので何回もやるのは厳しいし、さらに時間も限られている中でなんとか撮影したんですが、最後のカットを撮った時は(椎名は)吠えてました。芝居とは関係なく。エッジが立っていたんですよ。今もそうですけど、当時はNo.1でしたから。”と語られると、「自分ではあまりそう思ってないんですけど(笑)。何年かして三池組に行ったときに出演している若手の俳優さんに“この男はヤバイんだから”と言われました(笑)。そんなこと言わなくていいのに。」と答えた。
さらに当時の撮影方法について話が及ぶと「時代の持つ良さはありますよね、現在は映画もいろいろ奔放にできないのを感じていますから。最近はNetflixなど海外制作の作品をやらせていただいてるとテーマも含めてリミットなくやれちゃうと感じていて。何か取っ払われてきて、僕ら役者が演じるという意味では自由な感じの波がきて、日本の映画が感化されてもっと自由な方向性に向かうとすれば、あの頃の自由さが土台になるというかリミックスされて時代と映画が変わっていくと思うんです。そういう時にまた三池監督とご一緒できればとも思っています。」と話すと、三池監督から“(椎名は)だいぶ丸くなりましたけどね。丸くなったフリをしてるんですけど、ツメを隠すじゃないけど。いざという時に鈍ってなくて、『行け!』というそこにいける瞬発力を持っていると思う”と評価され、照れ笑いを浮かべた。
また公開当日の気持ちについて「この映画の2,3年前までアルバイトしてて、役者で食べていくことが夢だったので、鮮明には覚えてないですけど、公開初日はよほど嬉しかったと思います」と語った。
24年前の撮影秘話などが語られた笑いの耐えない貴重なトークショーとなった。