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山田孝之プロデュース映画「デイアンドナイト」ロングラン上映 御礼舞台挨拶!
同作は、山田孝之が一切出演せずに裏方へ徹した初の全面プロデュースに挑戦し、山田とは旧知の仲である阿部進之介が企画・主演を務める完全オリジナル作品。そんな本作が問いかけるテーマは「人間の善と悪」。家族のいのちが奪われ、自らの善悪に翻弄される者たちの物語は、混沌とした現代で強く生きることの厳しさをも描き出す。
上映後の舞台挨拶にて山田は、「お足元の悪い中、本日はご来場ありがとうございます。さすがに舞台挨拶はないだろうと気を抜いていたせいで全く脳みそが違う方向にいっているので、何をしゃべったら良いか考えていません。(MCの)伊藤さとりさんにお任せします。よろしくお願いします。」と挨拶。
周りの反響を聞かれ、「友達から“吉祥寺に「デイアンドナイト」観にいくよ”って連絡が来たので“ありがとう”と返事をしたら、そのまま何もなく、次の日かその次の日くらいに“観たんだけど何て言っていいかわかんない”と。たぶんそこまでズシッとくるものだと思ってなかったようで、“家族のこととか仕事のこととかいろいろと考えた。良かった”と返ってきました。」と話した。
来場者は初めて作品を観る方とリピーターが半々だったが、なかには11回観たという方も―。山田は、「俺より観ています(笑)。11回観てどんな感じなんですか?違う次元にいきそう。映ってないはずのものとかまで見えてこないですか?」と質問し、会場を和ませていた。
1/26の公開時、60館ほどの上映が現在では83館まで拡大しているが、「しぶとくジワジワと広がっていったら良いなと思っていて、もっと早い段階で非劇場にセカンドラン、サードランみたいに展開していくと思っていたけど、こういったちゃんとした劇場でずっと続くとは思っていませんでした。」と喜びを滲ませていた。
この日は、映画公式サイトで募集した質問に答える一幕も。“奈々が「嘘だよロリコン!」という名台詞はどの段階で誕生したのか?”という質問に阿部が、“孝之は「なんでそんなに出てくるの?」って思うくらい台詞が沸いてくる。それだけ奈々になっていたんだと思う。脚本開発の時、僕が明石を演じて孝之が奈々を演じていたが、その時に孝之が僕に向って“嘘だよロリコン!”って言い、台詞が生まれた”と明かし、山田もうなずきながら、「そう、僕はオーディションもやっていますから。学校の同級生の男の子に声を掛けられるシーンの役を探す時に、“僕、奈々やります。おっさんですけど、想像力を爆発させて17歳の女の子だと自分を信じ込ませてやってください”って。」と自らが奈々役になってオーディションを行ったことも話した。
さらに、「あの台詞にはこだわりがあったのですが、藤井君は脚本を直している時に一度消してきたんです。“藤井君、なんでなくしたの?”って聞いたら“いります?”って言われて。これは奈々の人格を作る超大事な台詞だからって言いました。」と話すと藤井監督が、“長いなと思って消したらすごく怒られて。失礼しました!って言いました”と当時を振り返り、そのやりとりに笑いが起こっていた。
同作は国内でのロングラン上映に加え、ベルギー・アメリカ・ドイツでの映画祭で上映されることが決定。海外で上映されることについて、「テーマを台詞にしてわりと言っているんですよね。脚本開発の段階から、どこまで台詞にするかというのがありました。それこそ海外に持っていったら“善と悪は法律では決められない”なんて、そんなことは誰でもが分かっていることで、わざわざ言うことではないけど、でも国内において若い人たちにはちゃんと観てもらいたいというのがあったので、ある程度分かり易くなってしまうけど言ってあげたほうがというのがあって、僕らの中でギリギリを取りました。その辺がどう思われるのか。」と話し、藤井監督も、“そうですね。あと、海外の映画祭って本編が終わったらザワザワするのでエンドロールの奈々の歌を聞いてくれるのかなって思う”と吐露すると、「最後の歌には字幕は入るのでしょうか。奈々の気持ち、視点だというのがすごく重要だけど、それが伝わらなかったら…。」と思いを募らせていた。
同作でプロデューサーという立場を経験し、「大変だったけど楽しかったです。(今後も)映画は作りますけど、一生のうちでここまでいろんな工程に入って深く作るのはできないかもと正直思っています。プロデューサーといっても立ち位置が作品によって変わりますが、ここまではもしかしたらないかなと思いつつ、一生のうちにあと1本位ここまで入り込むのができたら良いかなくらいの感じです。」と今の思いを語った。
映画「デイアンドナイト」は絶賛公開中!
ぜひ劇場でご覧ください!
【ストーリー】
父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。
そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていくーー。
(敬称略)