STAGE
坂井真紀 舞台「パラダイス」プレスコール!
同作は、これまで、実際に起きた事件やその時々の世相を題材にしながら、時に無様で、時に滑稽な、世の中にうまく馴染めない人間たちの機微を独自の観点で描き、あたかも登場人物たちの日常を観客が覗き見しているような不思議な空間へと誘う作風で高い評価を得てきた赤堀雅秋が、社会の底辺で蠢く男たちが刹那的な幸福を求め、破滅を予期しながらも走り続ける様を、赤堀ならではの俯瞰した視点から描いた作品。
雑居ビル、窓を閉め切った薄暗い一室。
そこは、梶浩一(丸山隆平)と腹心の真鍋清(毎熊克哉)が取り仕切る特殊詐欺の拠点であり、今は新人を教育する研修の場となっていた。
研修生は望月道子(小野花梨)、若林弘(永田崇人)ら20~30代の7人。
時に暴力を用いて規律を叩き込みながら、梶は研修生たちを教育する。
彼・彼女らの中にある、抱え込んだ富を享受する高齢者への、自分たちを切り捨てた世の中への、格差と分断を生んだ国への憎悪を焚きつけ、詐欺を「復讐」に置き換えて専心するよう仕向けていた。
一方、梶らの上役に当たる“番頭”のヤクザ・辺見豪(八嶋智人)と、辺見のボディガード・青木幸司(水沢紳吾)は常に梶たちの動向に目を光らせている。
ある日、梶に辺見から呼び出しがくる。
辺見は梶が疎遠だった実家の、家族の現状をつぶさに把握して梶に揺さぶりをかける。
久々に実家を訪れた梶が見たのは、くたびれきった家屋と老いが目にもあらわになった母・節子(梅沢昌代)と父・一郎(西岡徳馬)、離婚して実家の肉屋を切り盛りする姉・美紀(坂井)の相変わらずの姿。
詐欺の成果が上がらない中、梶たちと辺見の関係は徐々に悪化していく。
また、家族と再びかかわったことで梶の心境にも変化が起きつつあった。
詐欺集団、ヤクザ、市井の家族。
交わらないままに錯綜するいくつもの想いが積もり、膨れ上がり、初秋の夕暮れに炸裂する。
坂井は、浩一の姉でバツイチの小川美紀を演じている。
COCOON PRODUCTION 2022「パラダイス」は、9/25(日)~10/3(月)森ノ宮ピロティホールでの公演が終了し、10/7(金)~11/3(木・祝)Bunkamuraシアターコクーンにて上演。
ぜひ劇場でご覧ください!
(敬称略)